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みんなの「定義」があるまち西陣 だから面白い

僕は今、京都でLaughterというコーヒーショップを運営しています。

僕がお店を構えているのは、京都市上京区の「西陣」と呼ばれるエリア。
「西陣織発祥の地」として、全国的にも名が知られています。

応仁の乱が終了した後、全国各地に離散していた織物職人たちが京都に戻り、織物づくりを山名宗全率いる西軍の陣地が置かれていたあたりで、織物づくりを再開したそうです。
この頃から、西軍の陣地跡ということで「西陣」と呼ばれるようになったそうです。

しかし、西陣はあくまで地域の名称であり、西陣区や西陣町といった行政区域はありません。
つまり、地図上には西陣という単語は出てこないですし、「ここからここまでが西陣」という明確な規定もありません。

ここで面白いのが、それぞれの人によって西陣の定義が若干違うこと。
○○エリアがどの辺までを指すのか?という話は全国どこでもあると思いますが、西陣の場合面白いのは京都特有の「通り」でエリアの区切りが行われること!

ちなみに、西陣織工業組合のHPでは西陣地区を「南は丸太町通、北は上賀茂、東は烏丸通、西は西大路通に囲まれたあたりを指します」と紹介しています。

こんな感じで、四方を通りで囲まれた京都では北は○○通、南は○○通という表現でエリアを区切ることが出来ます。

これが、西陣に住んでいる人や関わりがある人でも何通りまでを西陣に含めるかがバラバラなのが面白いです。

以前お店に来た大学生の子に
「皆さんが思う西陣はどこからどこなのかを調べて、卒論を書いています!」という子がいました。
京都市内の通り名が書かれた地図を渡されて、自分が思う西陣エリアをまるで囲ってほしいと言われて、僕も自分が思う西陣を地図に書き込みました。
その子に聞いたところ、大きな違いはないものの人それぞれで西陣の定義は少しずつ違ったようです。

「エリア」の定義がはっきりしていない分、たまに全国発売されるような京都ガイドで、かなり離れた場所でも「西陣」とし紹介されていることがあり、「○○駅まで行ったら西陣ちゃうやろ~(笑)」と思うこともありますが、このあいまいさが「西陣」というまちの大きな魅力でもあると思っています。

「西陣織」のイメージが強いからか、伝統産業・古き良き歴史があるまちというイメージを持たれがちですが、一歩足を踏み入れてみれば若い店主さんが開いた新しいお店も結構あるし、住宅街なので小学生や中学生も沢山います。

伝統と革新が織り交ざった、良い意味でのカオスさを持ったまちです。

最近は「西陣」を冠したイベントなども行われるようになり、「西陣」をキーワードに色んな人やモノが集まってきている気がします。

超有名な観光スポットが沢山ある!というわけではないし、お世辞にも光津アクセスが良いというわけでもないけれど、その足で歩いてもらえば必ず好きになってもらえること間違いなし。

底知れぬ魅力を持つまち、西陣でぜひお待ちしております。

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