つばさっち

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【書評】外山滋比古『「忘れる」力』

まずタイトルが魅力的。『「忘れる」力』とは。「記憶術」とか「忘れない方法」などを謳う自己啓発書やビジネス書が多い中での「忘れる力」。 著者である外山のエッセイなので所謂、方法論や術、アイデアといった類の内容ではありませんが、言葉を大切に扱われている方なだけに、自分の様な読書経験が豊富ではない読者にも優しく、分かりやすい表現の文章なので嬉しい。 現在進行形だからか「子育て」をテーマにした箇所では非常に勉強になりました。「ザ・育児書」「ザ・教育書」ではないので別の角度からアプ

    • 【書評】出口治明・駒崎弘樹『世界一子どもを育てやすい国にしよう』

      読み終えた後に奥付を確認して驚きました。2016年に著された書籍だということに。ここに書かれた内容、提起されている問題はまだ解決されているとは言えず、むしろ遅々として進まず先送りにされている印象さえある。この6年間、日本は、政府は、企業は、国民(自分を含め)は何をしてきたのか。 子育てで取り上げらる課題のひとつと言えば「待機児童問題」が思い浮かぶかと思います。長年言われ続けているにも関わらず「待機児童ゼロ」とはほとんど耳にしない。実際には「待機児童ゼロ」と発表している自治体

      • 山中伸弥 成田奈緒子『山中教授、同級生の小児脳科学者と子育てを語る』

         いや〜面白かった。お二人とも知ってはいるけど、大学時代の同級生とは。しかも、本文中では関西弁のままで書かれているから、余計にお二人の素顔を見たような気がします。  もう名言?格言?がたくさんで紹介していたらキリがないのですが、結論から言うと親(大人)がどれだけ子どもを信じていられるか、ということかなと。そして、自分とは違う人間(他人)ということをどれだけ意識していられるか。人も違えば、生きる時代も環境も変わってくるわけで。それを今までの、自分の経験や価値観だけで判断しては

        • 朱野帰子『対岸の家事』

           twitterだったかFacebookだったか、SNSで目にしてからずっと気になっていた一冊をやっと読むことができた。前情報がそこまであった訳ではないので、読んでみてビックリというか衝撃を受けたというか。家事、育児の現実がそこには描かれていました。  自分も男性ながら育児休業を取得したことがあり、すごく描かれている内容を身近に感じました。子が生まれる前や育休取得前に思い描いていた日々とは全く違う現実。毎日のやることをこなすことが精一杯で、気づけば夜中。疲れ果てて、眠るもの

        【書評】外山滋比古『「忘れる」力』

          映画「グリーンブック」

           アカデミー賞候補うんぬんっていう情報は全く知らず。Amazonprimeビデオのオススメ映画によくあがってくるし、会社の映画好きな先輩が「やっと観れたんだよー」と言っているのを耳にしたので興味がわき観賞。  いわゆる、白人の黒人に対する差別をテーマにした作品。現代の日本に住んでる自分からするとなかなか体験することがないし、感覚として理解しにくいけれど世界に目を向ければ肌の色や民族・部族などによる差別や迫害はまだまだ残っているわけで。観ていて悲しくなるし、黒人へ投げ掛ける発

          映画「グリーンブック」

          映画「僕の初恋をキミに捧ぐ」

           原作ファンだったので、映画館へひとり足を運んでまで観た作品。まあ、男がひとりで観に行くようなものではないので、映画館の立地もあったろうけど中高生のカップルがいっぱいで恥ずかしかったなぁという思い出がよみがえりました(笑)  当時も思ったことですが原作を題材とした全くの別物として捉えた方がファンとしては幸せなのかなと。やっぱり漫画や小説などを実写化する場合には賛否がわかれるし、この作品にすれば全12巻のコミックを2時間前後の尺にまとめるという無理があるわけで。それを考えれば

          映画「僕の初恋をキミに捧ぐ」

          鏑木蓮『見えない鎖』

           ふとしたきっかけで著者とこの作品を知ることになり、せっかくなので・・・と読み始めました。失礼を承知で打ち明ければ、もしかしたら著名な作家さんかもしれませんが、これまで自分のアンテナにはひっかからず、恐らく今回のような機会がなければ自分から手にとって、というか行き着いたかも怪しい。  さて、中身。殺人事件が起こり、その真相解明を警察ではない主人公たちが解明していくというよくあるパターンではあるのですが。被害者が主人公の身内ということもあり、タイトルからの勝手なイメージで暗い

          鏑木蓮『見えない鎖』

          映画「るろうに剣心 The Beginng」

           いやー、実写版「るろうに剣心」シリーズの中で一番の作品ではないでしょうかね。これは映画館で観たかった。特に雪のなかで闇乃武たちとの死闘のシーンは劇場のスクリーンで見ないと、あの迫力が100%伝わらないのではないか?と。それだけに足を運べなかった自分が残念で堪らない。  今作と観てすぐに思ったことは、佐藤健さんが今まで最高に剣心(抜刀斎)に見えたこと。表情?雰囲気?なんでしょうかね。流浪にとなって、のほほんとしてる「剣心」よりも人斬りとして恐れられ、でも自身の中では葛藤して

          映画「るろうに剣心 The Beginng」

          映画「るろうに剣心 最終章 The Final」

           原作ファンです。『るろうに剣心』はジャンプで第1話が掲載された時から読んでいて、ハマって、アニメも楽しみにしていて・・・と自分の青春時代と共に過ごした大切な作品。特に原作の中でも大好きな「人誅編」。さて実写版はどうなるかな、と期待と不安が半々で鑑賞開始。  「うん。うんうん。うんうんうん。」  めっちゃいい!実写化するとどうしても、こういった作品は非現実的な動きとかをどう再現するかとかで「あー、残念」となりがちだけど。殺陣が相変わらず凄い。迫力ある。原作の戦闘シーンとは

          映画「るろうに剣心 最終章 The Final」

          久本和明『僕たちはみんなで会社を経営することにした』

           友だち( https://note.com/hisamotokazuaki )が本を出版するといことで、ずっと読むのを楽しみにしていました。会社を経営していること、様々なことを学び、採り入れ、独自の?経営手法を模索している様子はSNSを通して知っていたのですが、「じゃあどんなことをしてるの?してきたの?」ということを知ることができた一冊でした。  もうね、友だちだからという贔屓目はなしで素晴らしいの一言。自分は経営者ではないけれど目から鱗、自分なりにこの本から学んだことを

          久本和明『僕たちはみんなで会社を経営することにした』

          池上彰 佐藤優『真説 日本左翼史』

           先日の衆院選では与党が政権を維持しましたが、話題にあがっていたのが野党共闘。その中でひとつの政党として存在感をあらわしていた?共産党。そんな共産党や社民党などの派生から現在に至るまでの勉強ができる一冊でした。  政治のことがわかるというよりは、日本の歴史、流れが理解しやすく池上彰さん、佐藤優さんの対談で描かれています。冒頭で今回の著書を読むにあたっての予備知識的なことも説明してくれているので、よく知らないという方でも内容に入りやすいのではないでしょうか。著者の二人がどちら

          池上彰 佐藤優『真説 日本左翼史』

          映画「氷菓」

           原作ファンとしては映像化はアニメで充分だったので全くと言っていいほど、映画化には期待していませんでした。だってキャストは豪華?だけれど自分の中のイメージとは違いすぎるから。折木が山崎賢人くんだなんて。いやいやキラキラしすぎでしょ、みたいなツッコミから始まるよね。キャストもったいない(笑)  話の流れとしては原作にそこそこ忠実だったのかな。結末を知っている分、気楽に見られたけれど。ちょっと俳優さんたちが高校生にはもう見られない。。。  ちょっと残念。いやだいぶ残念。と思う

          映画「氷菓」

          映画「糸」

           久しぶりの投稿です。なるべくこれからは下手なりに投稿を続けようと思います。目指せ文筆家!?  という決意を投稿するたびにしている気がする。まあ、このアカウントを期待してる方はいないだろうから自分の思考整理やメモの代用としても活用していこう。  読書や映画鑑賞自体は続けていて、最近ではコスト削減(笑)のため図書館、kindleUmlimited、Amazonプライムなどいわゆるサブスクも含めて最大限に活用中。慣れればなかなかよいものですね。    で、投稿再開に選んだ

          「人魚の眠る家」

           脳死は人の死か?  日本で脳死判定と臓器移植が行われ始めた頃、よくこのテーマが議論されていたように記憶している。人の死亡を判定するのは心臓停止なのか脳死も含めるのか。当時、よく考えもせず「自分が脳死状態になるようなことがあれば臓器移植を」と思っていたものだ。確か、移植カードを持っていた時期もあった。  最近になって妻と延命治療や脳死について少し話す機会があった。その際に「脳死は人の死か?」について議論することに。脳死などで延命治療が必要になった場合には「延命治療はしない

          「人魚の眠る家」

          飲茶『正義の教室』

           お世話になっている先輩がビブリオバトルに出場した際に紹介した本がこの『正義の教室』だった。哲学系の本は普段なかなか読まないのだけれど、どうせならこれを機会にと思い手にとってみた。  勝手な思い込みだけれど、「哲学」と聞くと硬いイメージがあり、とっつきにくく、読みづらい・・・ここで言う読みづらいは本当に読み進めるのが辛くなるという感じ・・・そんな偏見があったのだけれど、小説テイストで哲学なかんずく「正義」について語られていくので、身構えていた自分がアホらしく思えるほど、楽し

          飲茶『正義の教室』

          『いのちの光』

           「発達障害」という言葉を聞いて、どのようなイメージを抱くだろうか。ひと昔前に比べたら知られるようなったと思うけれど、どう認識されているかと問われるとマイナスなイメージがあったりしないだろうか。  発達障害だけではなく「障害」と聞けば、最近では「ひとつの個性」という捉え方もあるし、自分の周りでは耳にする。ただ、ひと口に「個性」といっても様々。それは障害のあるなしに関わらず、である。そして捉えることよりも受け入れる、受け止める、ことは難しいのではないだろうか。  「発達障害

          『いのちの光』