【書評】外山滋比古『「忘れる」力』

まずタイトルが魅力的。『「忘れる」力』とは。「記憶術」とか「忘れない方法」などを謳う自己啓発書やビジネス書が多い中での「忘れる力」。

著者である外山のエッセイなので所謂、方法論や術、アイデアといった類の内容ではありませんが、言葉を大切に扱われている方なだけに、自分の様な読書経験が豊富ではない読者にも優しく、分かりやすい表現の文章なので嬉しい。

現在進行形だからか「子育て」をテーマにした箇所では非常に勉強になりました。「ザ・育児書」「ザ・教育書」ではないので別の角度からアプローチされているような感じを受け、とてもいい刺激で心地よい。この本を読んだという経験をこれからの育児(育自)にいかせられたら・・・と思います。 

書はたくさんの気づきを与えてくれる。引き出しを増やすだけではなく、引き出しに入っているモノの活用や繋がりを気づかせてくれることもある。ただし、読むだけではだめで自分の中で思索し、咀嚼し、取り入れ、取り込み、使うことで花が咲く。その過程で「忘れる」ということも必要で、「覚える」ことばかりでは頭の中に情報が溢れてしまい、逆にパンクしてしまう。

こうしてアウトプットとして書き出すことも、ある意味では「忘れる」(=頭の中から吐き出す)ことでいいのかもしれない。インプットとアウトプットの妙を教わったように思う。


この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?