「人魚の眠る家」

 脳死は人の死か?

 日本で脳死判定と臓器移植が行われ始めた頃、よくこのテーマが議論されていたように記憶している。人の死亡を判定するのは心臓停止なのか脳死も含めるのか。当時、よく考えもせず「自分が脳死状態になるようなことがあれば臓器移植を」と思っていたものだ。確か、移植カードを持っていた時期もあった。

 最近になって妻と延命治療や脳死について少し話す機会があった。その際に「脳死は人の死か?」について議論することに。脳死などで延命治療が必要になった場合には「延命治療はしないで」というのが自分のスタンスだったけれど、家庭をもち、逝った後に残る人がいる立場になってみると本当にそれでいいのか?という問いを抱くようにもなった。

 そんな出来事があってか東野圭吾さんのファンということもあり原作は読んでいたけれど、映画はまだ観ていなかったので、いい機会だと思い鑑賞。ストーリーや結末を知っているにも関わらず、ラストの薫子の家での騒動からの件には涙をこらえるのに必死だった。子を持つ親として作品に触れると受ける印象というか感性が増すように思う。特に活字では良くも悪くも自分の頭の中でのイメージで終わっているシーンを、映像として目を通し、脳に入ってくるとより一層感じ入るものがある。よりリアルに感じられる、といった方がいいのかもしれないけれど。

 篠原涼子さん、西島秀俊さんという実力派俳優さんが演じていることもプラスの要因として働いているのだろう。早く観れば良かった、というのが鑑賞を終えた直後の率直な感想だった。

 今回の鑑賞を通して改めて「脳死は人の死か?」、そして自分の身に降りかかった際の「延命治療をどうするか」を考えたい。


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