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16歳。一人、旅に出る。#番外


ある高専生の、5日間のお話。


今回はプロジェクトに直接関わった話ではありませんが、どうしても書きたかったので…


まず、このnoteを読んでおられない方は先に読むことをおすすめします。


あの日の丹後の高校生・あやとしての視点を書かせてほしい。


*****


「クラファンを支援してくれた人の中に丹後でサウナを作っている人がいて、ぜひテントサウナを!っていってくれてるんやけど、どう?」


3月25日、たまたまrootsに行った日に突然、朱珠さんにサウナに誘われた。

サウナ???サウナってあのサウナ??

幼い頃、注意書きもよく読まず入り、中にいた大人と気まずい空気になったのをよく覚えている。
それ以来、サウナとは縁がなかった。


ここで、、リベンジサウナができるのか…!
しかもプロジェクトのクラファンを支援してくださった方のサウナで!!!


「あと、北海道から同じ高校生が来てサウナに参加するんやけど、たぶん1つ年下の子かな!」


あれ。
「まさか、その子って…」


大当たりだった。私が思い描いていたその子。まさしくこの旅の主人公、かんちゃん
(かんちゃん、という呼び方はこのnoteから…)

初めてnoteを見た時、文章の面白さに惹きつけられ、年下であるという事実に舌を巻いた。
第58回宣伝会議賞中高生部門協賛企業賞など、いくつも言葉の賞を手にしている同世代!
しかもこれのすごい所はこの時彼女は合計で500本のコピーを応募している所だ。


そんな、インターネット上のすごい人物が目の前に現れる…!


不思議な感覚になりながら、その日を待った。





3月28日、3日目、部活終わりに集合場所へ行き、新しく出会う人を考えた。


朱珠さんから「あやちゃんと同じタイプで可愛い声の子だよー!」と聞いていたが、(尚、ここで初めて私の人見知りがバレていたことが発覚)会話が続く自信はなかった。


車に乗り込んで、隣に座る。



「はじめまして……かんです。」


「はじめまして……あやです。」


焦った。
他に何を話せばいいか分からなくなった。


まず、noteの感想を言った方がいいのか?
推しの話とか、超言葉術のこととか、小説とか、でも、いきなり自分のnoteの内容を知らない人からされたら怖いかな??いや、自分の説明もしないと…


そんなことを考えながら口ではぎこちなくレモンの話をしていた。



そしてあっという間に私たちは同じテントサウナの中にいた。

窓からカジさんが見えてびっくりした。


オレンジのテントにぱちぱちと燃える薪、ロウリュの香り、入った瞬間の空気を忘れる事はないだろう。


ストーブを囲む長椅子に腰掛け、足を椅子に上げながら、2人の話を聞いた。


テントサウナに招待してくださったのはぬかとゆげさん。クラファンで応援してくださったキリさんとはこの日残念ながらあまりお話出来なかったが、丹後のジョン・レノンことカジさんがサウナについて教えてくれた。


じわじわと熱くなる顔にタオルを巻きながら、進路の話をした。


今、ここにいる3人は全く違う人生を歩いている。そう思わされる時間だった。


カジさんの今までの歴史はまさに波瀾万丈という言葉がぴったりだった。


高校、大学、そしてゾンビ。
その全てがまるで小説のようだった。


人の縁は本当に不思議だ。カジさんの新章は今も紡がれている。


詳しい話は本人の書いたものを見るとより楽しめるだろう。


そしてかんちゃんの話。


5年間の高専と寮。北海道から丹後への旅。
どれも私には経験した事のないものだった。


彼女の口から出る専門用語の1つも理解できなかった。生きている年数はそんなに変わらないはずなのに、こんなにも違うものかと驚いた。


寮での暮らしも耳新しいことばかり。
このなかであのnoteは出来ているんだ。


そう思うとなんだか嬉しくなった。


今まで地元の学校に通い続けてきた私にとって、1人で大人とやりとりする、遠い場所に行く、なんてことは想像も出来なかった。


これには計り知れないエネルギーが、勇気がいるだろう。それをやすやすとやり遂げている同世代の女の子とサウナに入っている。雪解けの川に飛び込み、あまりに速い流れに笑う、通行人に発見される。


ここにいる3人の歩んでいる人生は全く違う。


だけど、サウナによって交わった道が、同じ人間である事を意味している。
平面だったかんちゃんの言葉が今、目の前で3Dになった。


とても、とても幸せな時間だった。




サウナから上がって、ちょっとお菓子を食べて、次の目的地、まちまち案内所へと向かった。


古い材木屋をリメイクしたまちまち案内所はどこか懐かしくて新しい。ここも多くの人の支えで焚き火のように誰かを温める場所になっている。


沢山の人の好きが詰まった本棚は、タイトルを見るだけでもその人と対話しているようだった。




次に向かったのは網野町、八丁浜。


途中のkanabunさんでタピオカをいただいて、(朱珠さん、梅田さん、ありがとうございます!)沈もうとする太陽を追いかけるように浜に到着した。


白波が音を立てて迫ってくる様はthe•冬の日本海。船越さんでも出てきそうな勢いだ。
力強い波は簡単に私達を飲み込むだろう。左手に持ったタピオカが冷たいのか、海風が冷たいのかわからない。


寒い!
あまりの寒さに浜にいたのはだいたい5分もなかっただろう。

頂いたタピオカと借りた手袋に荒れた八丁浜。


それでも、せっかくの夕日を見逃すのは惜しくて車を少し走らせた先にある標準時線に行くことになった。


日没ちょうどを狙って、車を飛び出して階段をのぼる。


目の前に広がっていたのは淡い茜色の空と海。
4人で海を見てはしゃいだ。


やっぱり私は海が好きだ。


どう頑張ったってこの美しさの全てを言葉にすることも写真にうつすこともできない。

何千年も前からそばにあるこの海を私達はどれほど知っているだろうか。この海のそばで暮らしていた人をどれほど見ようとしてきていただろうか。

知りたい。もっとこの瞬間につながるまでの歴史を。

遥か昔、この地にいた人々はこの水平線を見て、何を思うのだろう。

やっぱり自分の目で見たほうが綺麗だなぁ


太陽が水平線に吸い込まれるのを見届けて車に戻った。


行きの車とは打って変わって、ずっと何かをしゃべっていた。(8割くらいはカジさんの話だった)



家に帰って今日のことを話す。


話していても、自分のことじゃないみたいだ。
1年前の自分にはこんなこと、想像も出来なかった。

人見知りの私が血の繋がらない大人達と初対面の同世代の子と一緒に半日を過ごすなんて。1年前の私が聞いても絶対に信じないだろう。



後日、朱珠さんからかんちゃんが無事丹後を出た事を教えてもらった。


彼女の帰る遥か北の大地。いつか私が目にすることはあるのだろうか。



それから、またちょっとしてからプロジェクトのクラウドファンディングが目標金額を達成した。


そのときもnoteに思いを書き込んだのは彼女の影響だ。沢山のお祝いの言葉をもらって嬉しかった。こんなにもプロジェクトを喜んでくれる同世代がいるなんて、私は本当に幸せ者だ。


今回もまた、彼女のnoteに動かされて書いてしまった。勝手に書いた番外編だけど、書かなきゃいけない気がした。


きっと彼女の言葉には人を動かす魔法がかかっている。

次に会うときはいつになるだろう。
レモンが実る4年後、それより早いかもしれないし、遅くなるかもしれない。


また、いつか。
それまでに話すこともっと貯めとかなきゃ。
一緒にサウナにも行きたい。
今度は初めから、迷わずに話せるように頑張ろう。


頑張んなきゃな。

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