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本当に欲しかったモノは? ~ 舞台 レイディマクベス ~

主演が天海祐希さんですからチケット争奪戦は必至で、ハズレてもハズレても、申し込みチャンスがあればくじけずに。

観劇日が木曜日だったおかげか、どうにかチケットゲッツ♪

足取り軽く会場へ出掛けました。


ここからネタバレを含む観劇の感想となります。

これから観劇予定の方は後日お読み頂けましたら幸いです!

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今回も原作の「マクベス」を知らずに観劇へ。

先だって観劇しました『天翔ける風に』も元ネタの「罪と罰」が未読、日本の歴史にも大いに疎い状態で楽しめたので、とりあえず「レディマクベス」のホームページにてあらすじをこっそりチェック。
(こっそりしなくても良し)

演者さんが7人でどうにかついていけそうと、鳥頭なりに準備運動完了。


ストーリーは戦争が続いているとある国が舞台。

そこでレディマクベスこと天海祐希さんは、16年前まで最前線でバリバリに戦う戦士でした。

戦地で国を守る同志として闘う、マクベスことアダム・クーパーさんと恋に落ちて、子どもを身ごもります。

産後の体調が回復せず、戦地で戦うマクベスと一緒にすぐにでも戦地へ戻りたいところですが、家庭と子どもを守るために国で悶々と過ごしています。

自分を産んだことで天海さんが悶々としていると薄々感じている二人の娘が吉川愛さん。


天海さん主催の食事会が開催されています。

招待されているのは、国の統治者ダンカンこと栗原英雄さんの血縁であるだけで「特権」に守られて過ごしているマクダフこと鈴木保奈美さん。

そして、天海さんと幼馴染のバンクォーこと要潤さん。
血を流さずに国に革命を起こしたいと夢物語ばかり話しますが、統治者に一目置かれている天海さんを良く知る者として、ボチボチの地位にいられたら良いと思っているフシがあります。

残るひとりは、天海さんと若い頃から戦地で戦い、天海さんが戦線離脱後もアダムさんと一緒に奮闘・出世し、彼らなら国を上手く統治してくれると信じているレノックスこと宮下今日子さん。


食事会では国の今と今後について、話し合っています。

そんな中、栗原さんが「国の統治者を血縁者以外から選ぶ」と宣言したことにより、それなりのバランスで関係性を築いていた人々にズレが生じ始めます。

天海さんは「アダムと一緒に」国を統治したい。

鈴木さんは「他人」が統治者になった場合、夫が他国へ逃げて「国」のあることないことを吹聴していることに端を発し、子どももろとも殺されるかも・・と疑心暗鬼を抱きます。

要さんはのらりくらり。

宮下さんはアダムさんが統治者となり、天海さんが「支えるような形」で国を統治して欲しいと願います。

そして、統治者候補の筆頭であるアダムさんは・・・。

今までの戦地での自分の虐殺行為や、これからも人を殺し続けることに耐えないといけないこと、天海さんの「希望」からのプレッシャーで心を病んでいます。

栗原さんは当初、順当にアダムさんに統治者を譲るつもりでしたが、アダムさんの心の疲弊に気付き、他の者への委譲を考え始めます。

天海さんは「希望」が叶わない可能性に気が気で無くなります。

そんなみんなのざわつきが続く中、栗原さんが体調を崩します。

「統治者を殺した者が、統治者となる」

争いが続く渦中ではそれが当たり前。

天海さんは「希望」を手に入れるため「実行」します。

アダムさんが「統治者」となり、天海さんの「希望」は叶います。

しかし、アダムさんの心は壊れてしまっていて・・・


それぞれの登場人物のエゴ具合が凄いです。

戦下では仕方ないにしても、腹の探り合いがなかなかです。

終始穏やかな口調の要さんが、イイ感じにズルイ立ち位置の幼馴染を好演されていたように思います。
ふと、ホクトのきのこのCMを思い出すような囁き具合を思い出します。

鈴木さんもギリギリの立ち位置だけに、キーキーした物言いがイライラさせてくれます。

宮下さんの常に忠実な部下っぷりは、本人の意思とはいえ、考えることを放棄した怖い人間性を感じました。

自分が生まれたせいで思うように行かなくなった天海さんへ、吉川さんは本来なら感じることが無いはずの強い負い目を感じつつ、余りにも「希望」に執着する天海さんへラストでは凄い一撃をかまします。

天海さんは思うように行かなくなった状況から、「希望」が現実に変わる可能性を見出せた瞬間への変貌具合が、まぁ怖いこと!

極限の状況に置かれた人間が「希望」を叶えるために、一線を越えて行く様が生々しかったです。

ただ一点、アダムさんは日本語のセリフと英語のセリフを混合していたのですが、英語のシーンでは迫力のある演技でしたが、日本語は如何せんたどたどしく、吉川さんが通訳を兼ねていて微妙な感じに見えてしまいました。

日本人の俳優さんが演じていらしたら、通訳シーンのようなまどろっこさが無かったかも・・?なんて、えらそうに思ってしまいました。

個々の人物のもっと細かい心の動きや、舞台セットによる晒されるような見せ方は面白かったです。


いつの世でも、跡目争いや権力継承には執着や駆け引きが生まれるもの。

欲望が希望を上回った時、手に入れたものからしっぺ返しを食らったりするのかもしれません。

身の丈で治めることや程々にしておくことは、気が付かないほど強い意志が必要なのかもしれませんね。



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