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気持ちがざわつく。 ~ 舞台 パンドラの鐘 ~


舞台を観に行くと、公演中やこれから上演される舞台のチラシを頂いたり、置いてあるものを貰って帰ることがあります。

そのチラシをペラペラと見ていた時に、白石加代子さんとバッチリ目が合いました(笑)

以前に「ムサシ」の舞台チケットが取れていたのに、例のアレのワクチン接種日と運悪く重なってしまい、甥っ子に泣く泣く代わりに観劇を託すということがありました。

なので、今回は満を持してポチリ!

平日の18時開演も余裕で仕事をやっつけて会場へ出掛けました。



舞台上はすでに板張りに4本の支柱が立っている状態で幕は下りておらず、丸見え状態でした。

自分は17時30分頃に3階の席に着座。

周りには人がまばらで1階席もガラガラ。

平日だからかなぁ・・と思っていると、18時に近づくにつれて座席が埋まり始めて、気付けばほぼ満席! 
何となく嬉しくなります。

開演前5分のブザーが鳴り、目薬を差してスタンバイOK。


少しすると、1階席の通路を変わった服の人がゆっくり席に向かっているなぁと思いきや「成田凌さん」で、会場が暗くなる前に舞台は始まっていました。



ややネタバレが入ると思います。
観劇予定がおありでしたら、また後日お読み頂けたら幸いです。


ストーリーは・・・

大鶴佐助さん扮する考古学教授助手が長崎で遺跡の発掘作業を、同僚の柄本時生さんと行っています。

考古学教授の片岡亀蔵さんは大鶴さんや柄本さんに指導をしているようで、ちゃっかり大鶴さんの論文を丸パクリ。なぜなら遺跡から発掘された「クギ」から感じるインスピレーションが、大鶴さんの豊かな想像力を呼び起こし、まるで古代を見て来たかのような内容だから。

時代が思いっきり遡ったところで“同時進行”している古代では、葵わかなさん扮する若き姫が国を治める王だった亡き兄に変わり女王となります。
そしてその王の亡骸を山奥に埋葬するのは成田凌さん扮する葬儀屋。

山奥へえっさえっさと仲間たちと埋葬に向かう途中で、ひょんなことから棺の中身が王ではなく王が飼っていた猫と知ります。
実は王は死んでいないと知ってしまうところから、国の動乱に巻き込まれて行きます。


方や遺跡を調べていく内に「クギ」は棺桶を打ち付けていたものと大鶴さんは「閃き」ます。様々なガラクタが発掘されていく内に大きな「鐘」が発掘され、その中に骨が混ざっていることがわかります。
この骨はダレの骨なのか?



古代では葵さんの国がイケイケどんどんで他国を圧倒し、様々な品を略奪して行きます。
その中に巨大な「鐘」が混ざっていました。
その「鐘」の音色に葵さんは心躍らせて行きます。
それとなく成田さんに心を寄せつつ。

「鐘」を鳴らすのは死者を弔う時。
鳴れば鳴るほど「死者がいる」ということになります。
ある時期から戦況は一変していて、「鐘」は自軍の兵を弔う為に鳴らされているのですが、真相を知らされていない葵さんは楽しく日々を過ごしています。
そんな葵さんを小さな頃からお世話をしている白石加代子さん、護衛の玉置玲央さん。
いつしか国の衰退を葵さんのせいにして、国を建て直す為に、死んだことにしていた「狂っている兄(片岡亀蔵さん:2役)」を再度、王として立てようと奔走し始めます。



遺跡発掘に現を抜かしている内に、大鶴さんは彼女だった前田敦子さんをちゃっかり教授の片岡さんに横取りされ、論文も横取りされます。

その論文の正確さには過去の者たちにも現代の者たちにも都合の悪いことがあるため、過去から出向いてきた使者が論文共々、“執筆者”である教授の大鶴さんをも過去に連れて行って「歴史の改ざん」を諮ります。

ここから一気に物語は古代と現代にリンクし、恐ろしい戦いへ雪崩れ込んで行ってしまいます。



舞台の前半部分は正直なところ、理解しづらいことが多く、ひたすらセリフを必死に聞き取る状態で、今ひとつストーリーとして頭に入って来ませんでした。

ところが中盤の「鐘」が発掘されたところから、一気に前半にちりばめられいた伏線?がどんどん繋がって行きます。

自分はお恥ずかしいことに、日本の歴史も世界の歴史にも疎いので、細かいところについてはおかしな理解となっているかもしれませんが、舞台を観た感想として敢えて「感じたこと」を書いてみると・・

日本の天皇制に関して「女性天皇」の存在、第二次世界大戦終結に向けた方法の賛否両論、弔いを含めた死者への対峙の仕方、アメリカと日本の関係性、富裕層とそうで無いものとの相互関係、全世界レベルの人間の在り方。

この辺りが「感じた」ことです。

後半の静かな、そして圧倒的な切迫感に気持ちがギュっとなりました。

ラストシーンの「扉」に関しては、目にしている景色が「どんな風に見える?」と聞かれているような気がします。


野田秀樹さん作の舞台鑑賞は2回目でした。
前回の「フェイクスピア」同様、ラストに向かっていく過程は気持ちが苦しくなるものがありました。
責任ある人間が責任のある行動を取れるのか?
考えることを止めると、災いは繰り返される。
そんなことを思う舞台でした。


重々しい書き方になってしまいましたが、劇中は割とダジャレが出没し、役柄に応じたお茶目なセリフもちりばめられて、クスクスと笑うことも多かったです。
葵さんと成田さんの仄かな思いのやり取りと悲しい別れ。
前田さんとその母の南果歩さんの「ホントかよ!!」的スタンス。
特に前田さんの色んな意味での浮世離れしたキレっぷりが良かったです。
大鶴さんは「所謂、THE・日本人」、そんな感じでした。
白石さんは・・、舞台にいるだけでそれだけで何だか有難いです(笑)



音楽もダンサーの方々も素晴らしく、古代の衣装にスニーカー、お茶目な小道具など見所いっぱいでした。


3回目のカーテンコールでは、思わずスタンディングオベーション!
1階席はほぼ全員で、2階・3階席では自分だけっぽかったです。
どうもアーカイブ用のカメラが入っていたようなので、うっかり撮られていないことを祈るばかりです。。。(苦笑)



機会がありましたら、ぜひ生の舞台を!
またはアーカイブがあるようなので、そちらでもぜひご覧になってみてはいかがでしょうか?




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