下田 知行

日銀金融研究所シニアリサーチフェロー。元企画局審議役。元IMF日本代表理事代理。元一橋…

下田 知行

日銀金融研究所シニアリサーチフェロー。元企画局審議役。元IMF日本代表理事代理。元一橋大学特任教授。金融政策、金融規制、金融市場、決済政策。Nikkei FinancialでGlobal Policy Watch連載。https://researchmap.jp/TShimoda

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自己紹介。noteでやりたいこと。

 はじめまして(正確には、すでにマニアックな投稿2件の後です)。  下田知行、1964年10月14日生まれ(最初の東京オリンピックで重量挙げの三宅義信選手が日本の金メダル第一号を獲得した直後に産気づいたというのが母の口癖です)、鹿児島県出身です。  日銀で約30年間、政策の第一線を経験しました(うち5年間はIMF(国際通貨基金)とBIS(国際決済銀行)という国際機関に勤務)。「異次元緩和」の企画・立案を行う企画局審議役、バーゼル規制など金融規制の国際交渉を行う金融機構局国際担

    • 分断された世界とSDGs ~100年持続可能な美意識で「複線的」「動物的」SDGsを~

      形式主義が蔓延ると極端に走りやすくなる。脱炭素を例にしよう。環境アクティビストは石炭を絶対悪とみる。石炭火力発電を続ける日本は劣等生のレッテルを貼られ、炭素が出ない新技術に取り組んでも後向きにみられる。企業には何百項目もの質問状が送られ、美しいキーワードをいかに並べるかで評価される。点数を稼ぐために添削屋や代筆屋が繁盛する始末だ。もっとも、お膝元の欧州ではエネルギー危機で止めるはずだった火力発電はフル稼働、米国でも環境が看板の民主党でさえ石炭産地の議員は温暖化対策を止めようと

      • 市場の反応も予想どおり?答え合わせ:11月FOMC展望

        昨日の「展望」の予想は正しかったのか。答え合わせです。 声明文の変化、パウエル議長の記者会見での発言、そして市場の反応、すべて予想どおりであった。 dovishと解釈したがる市場の反応もこれまでと同じである。 一方、パウエル議長の記者会見での発言は、「展望」でご紹介したクオールズ副議長の講演と全て整合的だった。 「FRBは市場が考えるよりhawkish」という私の見方が正しいかどうか、率直で分かりやすい同副議長の講演テキストをぜひ読んでご判断頂きたい。 以下、具体的な予想

        • 頭の切り替えが必要?世界的低インフレ時代の終わり:11月FOMC展望

          11月3日米国東部時間午後2時(日本時間4日午前4時)、米国の金融政策を決めるFOMC(連邦公開市場委員会)が決定内容を公表します。世界の経済や金融市場に大きな影響を与えるその決定内容を予想します。 読みやすいPDFもダウンロードできます。 今回の着目ポイントは以下の3点です。 ・テーパリング開始は織り込み済 ・「インフレは一時的」という看板をどこまで下すか ・「最大雇用」と「インフレ抑制」の優先順位に変化がみられるか (外部環境)  私は、7月の「FOMC展望」から「

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        自己紹介。noteでやりたいこと。

          テーパリング?利上げ?中国恒大問題? 9月FOMC展望

          noteでは引用やリンクを使って関連情報も含め立体的に読めますが、PDFでは赤字で重要なポイントをハイライトしていて読みやすいです。合わせてご覧ください。 FOMCとは何かについては、7月の展望の記事に解説しています。ちょっと専門的なテーマですが、日本を含む世界経済や金融市場に大きな影響を与えることもある政策判断です。 今回の予想のテーマは以下の点です。 「市場が思うよりFedはhawkish」との従来からの見方は不変 2022年中の利上げ開始を示唆するドットチャートと

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          (さっそく振り返り)ジャクソンホールパウエルFRB議長講演

          日中にnoteで予想したパウエル議長講演が終わりました。さっそく答え合わせです。すみません。ちょっと専門的です。  「サプライズなし」は市場の大勢でもあったので、別に誇ることでもないが、講演のトーンや細部も含め、ほぼ正確に予想できていたと思う。  テーパリングの条件(インフレと雇用のsubstantial progress)は、インフレについては既に満たされ、雇用についてもclear progressがあったとして、年内開始を明言。  デルタ株による下振れリスクは「注意深

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          ジャクソンホール・パウエルFRB議長の講演内容を予想する

           8月27日米国東部時間午前10時(日本時間同日午後11時)、カンザス連銀主催ジャクソンホール経済シンポジウムでパウエルFRB議長が講演します。  イエローストーン国立公園近くの山岳避暑地に日本を含む世界主要国の中央銀行首脳や学者が集まり、3日間世界経済や経済政策を集中的に議論するのがこの「ジャクソンホール」ですが、今年は昨年に続きオンラインでの開催になり、日程も1日間に短縮されました。  昨年の「ジャクソンホール」では、直前に臨時のFOMC(連邦公開市場委員会)を開催し、

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          (答え合わせ)7月FOMC展望

           7月28日米国東部時間午後2時(日本時間29日午前3時)、FOMCの声明文が公表されました。 「FOMCって何?」と関心のある読者の方は昨晩の記事をご覧ください。  さて、昨晩の予想は当たっていたでしょうか。答え合わせです。  ダウンロードは不便という読者のために、以下、テキストも貼り付けます。PDFでは、ポイントを赤字で示しているほか、昨晩の予想記事も再掲していますので、便利です。  予想どおり「インフレが一時的でないリスク」がこれまで以上に強調されるようになった

          (答え合わせ)7月FOMC展望

          2021年7月FOMC展望

           FOMCとは連邦公開市場委員会(Federal Open Market Committee)の略で米国の金融政策を決める会議です。日本でいえば、日銀の金融政策決定会合に当たります。  世界経済はドルを基軸通貨としていますので、米国の金融政策は、米国経済だけでなく、日本を含めた世界全体にインパクトを及ぼします。  また、為替や株価など金融市場にとっても、米国の政策の方向性を判断するうえで重要なイベントであり、決定が公表される米国東部時間午後2時を固唾を飲んで見守ります。決定

          2021年7月FOMC展望