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アメリカで感じた「小学生の持ち物は3つだけでよい」

2年弱のアメリカ暮らしを経て、昨年末に日本帰国したLarge cedarです。

先日の記事で、日本暮らしを再開して噛み締めた日本の良いところ・好きなところベスト6を書きました。

今度はアメリカ滞在中に、「これはいいな。真似したい」と思ったポイントを書いていきたいと思います。題して、アメリカの「これいいな」シリーズ。第一弾は"小学生の持ち物"です。


❏小学生の息子がバックパックに入れてたのは「水筒」「おやつ」「連絡ファイル」だけ

アメリカ滞在中、一番驚いたのは子供の学校システムの違いです。

息子は小1の終わりに、日本の公立小学校からアメリカの公立小学校に転入しました。転入手続きのプロセスについてはこちらで詳しく書いてます。


転入手続きをしているなかで、今でも鮮明に覚えているシーンがあります。
初登校日が決まったとき、Public School Departmentの職員の方に「子供の持ち物は何でしょう?」と質問すると、返ってきた答えは「Just a backpack and a water bottle.」

え?リュックと水筒。。?

私の頭の中には、?マークしか浮かんできませんでした。筆記用具は??教科書は??どうやって勉強するの?

きっと、後日‟持ち物リスト”を渡されて徐々に揃えていくんだろう。そう自分を納得させて帰路についたのを覚えています。

結局その後2年間、息子のバックパックにいつも入っていたのは「水筒」と「おやつ」、後日担任の先生から渡された「連絡ファイル」だけでした。

「連絡ファイル」は先生からの宿題やお知らせのプリントを入れたり、家庭から提出する宿題を入れるファイルです。

「おやつ」は午前中のスナックタイムに食べる軽食で、我が家は毎日フルーツとおせんべいを持たせていました。たまに忘れてしまう子もいましたが、忘れた生徒のためのスナックも教室に常備されていました。

ほんのたまに、追加の持ち物が必要なこともありましたが「工作に使う箱が足りないので、不要な靴箱のある家庭は寄付して」とか「教室のティッシュとウェットティッシュの寄付をお願いします(年に一度の恒例行事)」というあくまで任意のものでした。

降雪量の多い地域なので、真冬になるとスノーブーツとスノーパンツ、手袋などを着用するようにというお知らせは来ていました。

雪嵐がくると学校は休校に。一軒家の人は自宅前の歩道を雪かきしないと罰金を科されるので大変。

❏必要なものは全部学校にある

学習に必要なものは、全部学校にありました。

筆記用具(毎年使い回し)は自分のクラスルームにあるものを皆でシェア
するし、Art(美術と音楽)の授業で使う絵の具や楽器などは、Artの教室に常備されているものを使わせてもらいます。

ちなみに教科書は一人ひとりが机の上に広げて読む形式ではなく、先生がスライドに映し出したものを皆で見ていたようです。このほうが先生の方に注意を引きやすいのかもしれません。あとは各自に配布されるワークブックを使っていましたが持ち帰ることはありませんでした。

トイレには手拭きペーパーが常設されているのでハンカチも必要なく、ティッシュは保護者がクラスルームに寄付したものを皆で使います。

スクールランチではカフェテリアでトレーを使うので、ランチョンマットは不要です。体育(PE)では指定の体操着なんてありません

このシステムが原因で何か問題が発生した、という話は一度も聞きませんでした。そして学習レベルに大きな差があったとも思えません。

言い換えれば、これくらい大雑把でも成り立つのだから、そんなに頑張って細かいルールを決めたり守ることに、先生も子供もパワーを投入するのは減らせるのではないかと思いました。

人気のチョコレート屋さん L.A. Burdick Chocolate。程よい甘さの叶うケーキが手に入る貴重なお店。

❏先生と生徒がストレスを感じない環境づくり

日本の学校では「忘れ物をして先生に叱られた」という話は今でもよく聞きます。「躾の一環として必要」という認識が、まだまだ根強く浸透していると思います。

一方でアメリカの学校の先生は、「一部の生徒が騒いで授業に支障が出ている」ことが理由で怒ることはあっても、「忘れ物」が理由で怒ることはなかったようです(もちろん先生によって差はありますが)。

それは忘れ物によって困ることがほとんど無いからではないでしょうか。「おやつ」を忘れても教室におやつスペアがあるし、「水筒」を忘れても共用の水飲み場はあります。「連絡ファイル」がなくても宿題は持ち帰れます。日本のように、授業プランにあわせて必要な持ち物を生徒に周知・リマインドしたり、当日忘れた子がいた場合は叱ったり、フォロー対策を考えるといったことが必要ない。(そもそも息子たちの小学校は全クラス、担任の先生とアシスタントの先生の2人体制でした)

つまり先生は準備してきたプラン通りに授業を進め、学習指導にフォーカスできる。これは生徒にとっても大きなメリットだと思います。

ポーツマス条約が締結された、ポーツマス。ゆったりとした港町で古い建物も多く、シーフードの美味しいレストランが軒を連ねていました。

❏学習機会を奪いかねない、変動し続ける持ち物の管理

そもそも日本の学校は、持ち物が多い上にその日によってかなり変動がある。例えば、習字の授業の日は書道セット、体育で縄跳びを習うときは縄跳び、給食当番の週はマスクなど細かい。当然忘れ物の確率は高くなります。結果、先生の叱る回数が増え、子供達も少なからず萎縮してしまいます。

知り合いのアメリカ人は「先生が忘れ物なんかで叱っていたら、生徒達は気軽に質問できなくなってしまう。質問しディスカッションすることで理解を深めることができるのに」と話していました。

そういう観点からみると、
持ち物を大量&複雑にする。
先生の叱る回数が増える、生徒は萎縮する。
先生が授業にフォーカスしにくくなり、生徒は質問しにくくなる。
ディスカッションなど理解を深める場を展開しにくくなり、結果として学習機会を損なわれていく。
という構図すら浮かんできてしまいます。

持ち物チェックや忘れ物防止の躾も重要だと思う一方で、学習機会を損ないかねない「生徒の忘れ物」を減らすため、思い切って「生徒の持ち物」をシンプル化していくのも、ひとつの良いアイデアだと思います。

月曜の朝、子供達が見るからに重たいランドセルを背負い、両手にはパンパンの手さげ袋を下げよろよろと登校しているのを見ると、何とも言えない気持ちになるのは私だけではないはずです。アメリカと違い、せっかく子供達が一人でも登校できるような安全な環境があるのだから、重い荷物や忘れ物なんか気にせず、もっと身軽に登校できるようになっていくと良いなと思いました。

最後まで読んで頂き、ありがとうございました。
次回はアメリカの小学校の授業について感じたことを書きたいと思います。

度々通ったボストン科学博物館。ここでは、専門家が電流と電圧に関するダイナミックな実験を見せてくれます。

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