見出し画像

他人が無責任にマウスピースサイズに対してあれこれ言ってはいけません。

マウスピースサイズの違い。これって何なのでしょう。

世の中にマウスピースが1種類しかなかったら

仮に、世の中に1種類のマウスピースしかなかったとしましょう。何が起こるでしょうか。最初から1種類しかなかったら、多分「そういうものか」と思って全ての奏者がしばらく使い続けるのではないでしょうか。

しかし、その奏者の中から「マウスピースのサイズを変えたら何か起こるのではないか」という発想が生まれると思います。

その結果何が起こるか。

  • フィット感が変わって前より吹きやすい/吹きにくい感覚を手に入れる

  • 音の響きや音色が変わった

この2つの変化を感じるはずです。

マウスピースはなぜ様々な種類があるのか

人間は歯並び、歯の大きさ、唇の厚さや形状、唇と歯(歯茎)の位置関係などが異なります。そうなると、マウスピースのサイズによって違和感を覚えたりフィットしたりと様々なことが起こります。

マウスピースのカップの深さやスロートサイズなどの空間サイズが変化すると、音色に影響が出ます。基本的には空間が大きいほど響きが豊かになるので、オーケストラや吹奏楽、いわゆるクラシック音楽などの生演奏をするなら大きいほうが向いていると個人的には思っていますが、かと言って大きすぎると空気圧コントロールが大変に感じる人もいます。
一方で空間サイズが狭くなると体内の空気圧が多少軽めであってもしっかり反応してくれる傾向にあり、音の立ち上がりがより明瞭になり、音が細く鋭くなる傾向にあり、ジャズやポップス、レコーディングなどのマイクを介して演奏する場面で求められる表現に近づいていきます。

ちなみに材質の違いなども響きや音色にに関係します。

自分に合ったマウスピースは自分にしかわからない

このように、マウスピースは形状やサイズが変化するとフィット感と音色や響きに影響を与えるわけですが、当然自分の体に合ったものは自分にしかわからないし、自分がどんな場面で楽器を演奏し、どんな表現や音色を求めていくかはその人が決めることです。

したがって第三者が誰かのマウスピースサイズを決めることなどできません。

もう少し大きいマウスピースにしたらいい、とか、高い音が出ないならマウスピースを小さくすればいい、なんてこと誰かに勧めたり強制させるのは止めたほうがいいです。お互い何も得しません。

ただし、講師という立場で生徒さんにマウスピースとは何か、何がどのように影響を与えるのかを解説したり、実際に生徒さんが合うものを一緒に探すのは良いことだと思います(その際も講師が強制的に決定させてはいけません)。

初心者に向いているマウスピースが経験者に向いていないのではない

初心者の方に合う中庸サイズのマウスピースという考え方もあります(この理由に関しては下記に掲載したリンク先記事に詳しく書いてあります)。

ただし、初心者に合う中庸サイズのマウスピースが、経験年数を重ねた人に向いていないという結論にはなりません。自分自身で最も求めている音色、響き、そしてフィット感を理解した上で経験者が中庸サイズを選択する可能性は当然あります。

SNSでマウスピースサイズについて第三者が根拠なく指摘しているやりとりを目にしたので、自分の見解を書いてみました。

ちなみに、この記事を掲載している「別冊」という名前のマガジンとは違うnoteマガジン「ラッパの吹き方:Re」では、過去に別の場所で掲載していたトランペットや音楽に特化した記事を、今の考え方に合わせて加筆修正して隔週土曜日に再掲載しております。先日マウスピースについて、より詳しく書いた記事がありますので、ぜひご覧ください。

荻原明(おぎわらあきら)

荻原明(おぎわらあきら)です。記事をご覧いただきありがとうございます。 いただいたサポートは、音楽活動の資金に充てさせていただきます。 今後ともどうぞよろしくお願いいたします。