見出し画像

「大丈夫?」って聞かないで

コーチという仕事をするようになって、言葉の使い方が人に与える影響について、以前よりも気にするようになりました。
そうして気づいたことの一つは、「大丈夫?」という言葉の罪深さ。

「大丈夫?」って聞かれると、多くの場合、「はい、大丈夫です」しか言えません。
「でもそうは見えないよ?」って言われても、「いえ、本当に大丈夫ですから」と余計頑なに言うしかありません。

だって、「実はこれで困ってて」なんて言おうものなら、
必要以上に心配されたり、
大騒ぎされたり、
いらないアドバイスを言われたり、
下手に励まされたりするだけだから。

そんなことをされたら、余計に「言うんじゃなかった」って思います。

人に心配をかけるのも嫌だし、必要以上に介入されたくもない。

どちらも面倒だから、本当のことは話さない。
当たり障りのない表面的なやりとりで返しておく。

親御さんや上司の方、ご夫婦やカップルで、「うちの子供、うちの部下、うちの夫/妻、彼/彼女は何も話してくれない」という時、
このループにハマっていることがとても多いです。
私も身に覚えがあります。

大変な状況の時、心の声を絶対に話したくないわけじゃない。
だけど、「ただ聴いてくれる」で済まされるケースはほとんどない。

聴く方も難しいのです。
近しい人であればあるほど。
自分にとって大事な人や関係ある人が大丈夫じゃなかったら、どうにかしてあげたいと思って当然。
自分に落ち度があるかもしれない?と不安にもなります。
だから、どうにか役に立ちたくて、なんとか解決したくて、つい色々聞き出そうとしたり、解決策を提示したくなります。

実は、話す方からしてみたら、ただ言葉として自分の体から吐き出せれば、それだけで、いやそれこそが助けになる。
「そっか。そうなんだね」って言ってくれるだけでいい。
同情も共感もしてくれなくていい。

ただ一緒に同じ景色を見て、沈黙のまま、そばにいてくれたら、それが一番ほっとする。
そうしている間に、気持ちは落ち着いていく。気分も転換されていく。
もしくは、何事もなかったかのように、普通に振る舞ってもらうのもいいかもしれない。

「沈黙」は、私がカウンセリングやコーチングを学んで身につけたスキルの中で、最も価値のあるものの一つです。
同情や不必要な共感をしないことも。

質問も同情もせずに、静かに相手の話を聴いてみる。
何も出てこなかったら、出てくるまで待ってみる。

よかったら試してみてください。
普段とは違う何かが聴こえてくるかもしれません。
沈黙のパワーに気づいたら、ぜひ、CTIにも学びにいらしてくださいね。


では、また!

◆今日の写真は、いつかの海より。波や川の流れや焚き火がパチパチいうのを一緒に眺めることは、どんな言葉よりも相手の助けになる時間かもしれません。

この記事は、2022年9月28日配信のここみち便りをリライトしたものです。
「ここみち便り」は、コーチング、リーダーシップ、その他、仕事や日常を充実させるヒントをお届けしているメルマガです。毎週水曜お昼ごろ配信。
ご登録はこちらから。


* * *

続きはこちらから。


ちょっと観点は違いますが、「独立後のリアル」の少し関係がある回。私の気に入っているエピソードのひとつです。

●ポッドキャスト「独立後のリアル」
#74 「気が利く人」は先回りしない!?



この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?