見出し画像

徒然なるままにインド〜インド旅行記プロローグ〜

インドは呼ばれないと行けない?

インドに行く事を周りに報告すると、殆どの人が私に聞いた。
「なみちゃんついに呼ばれたの?」
え?なんの事?行く本人だけきょとん。

呼ばれない状態で行ってしまうと何かあるのだろうか?

招待されていない誕生日会に行ったみたいな空気になったらどうしよう。
かなりの強心臓の私だが、異国でその空気は些か辛すぎる。
誤魔化す為にジャパニーズ折り紙でも持って行こうか?紙飛行機しか折れんけど、それで何日誤魔化せるやろか。

今回滞在するのは南インドのケララ。インドを三角で例えると▽の下の方
帰国前にデリーまで国内線で移動してイスコン寺院とオールドデリーを散策して帰国
デカン高原て世界史でやったな、お前ここにいたのか

小さな島国で生まれ育つと、大陸の大きさや国境沿いの混ざった文化に触れることが国内ではない。
インドは公用語がヒンディー語で補助公用語に英語。英語表記も多く、サブウェイでも英語のアナウンスが聞けるが、田舎に行くと英語は通じない、各州で言語が異なる多言語国家。
憲法公認の22の州の言語と844の方言がある。
人種も7種、そりゃ言語も統一できないわ。
ここまで広いと、憲法よりも宗教で囲う方が確かに統制は取りやすいかもしれない。

お隣のパキスタンとのお国関係はよろしくなく、停戦中。ビザ取得の際も3度程パキスタンとの関わりを聞かれた程。
ムンバイの辺りに行くとかなり都会だが、他の地域はのびのびしている。医療や政治も自然や統計学を用いた独特の文化(アーユルヴェーダ医学やジョーティッシュ占星術)がまだ根付いている。
占いとハーブって女子力高いやん、インド。


話は戻るが、どちらかと言うと私がインドを呼んだ感覚の方が近い。
でも人が言う「呼んでいる」という感覚が「風が強く吹いている」状態ならそれに近いのかもしれないし、その線引きは難しい。
南インドのケララに降り立ち、大きなバナナの葉を揺らすスコールをやり過ごし、砂利道を歩きながら農地で草を食む牛に目を細める。
そして徐に両手を広げ「これが私のアナザースカイ」の感じはないな。

自分にとって海外はいつでも『ちょっとそこまで』そんな感じだ。
コンビニよりは遠く、宇宙より近い。

私がコンビニ感覚でインドを選んで「いらっしゃい」と呼応してくれたような気はしたような気がする。


サヨナラ関西

賑わう国際線ロビーでチェックインを済ませる。
関西からは3人、羽田から4人参加者とシンガポールで待ち合わせて合計7人でインドに向かう。
もう10年近く通っているアーユルヴェーダサロンのオーナーが企画しているツアーで、提携している南インドのリゾートでトリートメントやヨガを受ける女子旅だ。

とはいえ、ほとんど個人旅行なのでビザや海外旅行保険は個人で、航空券と宿泊先の手配は向こうでしてもらえるシステム。
おかげでめちゃ安いし、ディープにインドを楽しめる。
オーナーと一緒に行ってくれるスタッフはインド人の明るいマッチョなお兄さん。
通訳もしてくれるし車の手配もみんなしてくれる上に医者だから、体調不良にも対応してくれる至れり尽くせりのツアーだ。

関空で30分くらい時間があったので、ESIMの設定をする。
スマホがまだ携帯電話と呼ばれていた頃は「海外モード」みたいな設定があった気がするが、今はなんでもアプリ1つで解決する。

Wi-Fiは、グループで借りないと高いし、ルーターを持ち歩かないといけないので、友達がいない私はスマホ一台で済むESIMアプリを選択。
主回線(今自分が日本で使っている回線)を設定画面でオフにして、買ったSIMを追加してオンにするだけ。
これで海外でもインターネットは使えるから、困った時のGoogleもはぐれた時にはLINEで連絡もすいすい取れる!
だが、スマホにSIMロックがかかっているとちょっと面倒なので国内で必ず確認を。

シンガポールでジュエルする

羽田空港からはダイレクトで行ける便もあるが、関空からはトランジットしないと行けない。
でも、私はけっこうこれが好き。
だって海外でトランジットするってなんかかっこいいやん。イキりエピソードは旅の数だけある方がいい。
しかも一回の旅行で1カ国得した気分になれる!

シンガポールに降り立つとまず肺いっぱいに空気を吸い込む。
スーッと鼻から脳にまで一瞬で通る懐かしいメントール臭。
タイガーバームのにおい!
これぞシンガポール!!異国感満載で胸が躍る!

シンガポールのチャンギ空港の自然と都会の混ざった空間が大好きだ。
空港内は緑や水が多くてリラックス出来るし、あちこちにあるショップは全て洗練されている。

ここは空港内施設のバタフライガーデン
無料だから文句は言えないが、1匹も写り込んでなどくれない
蝶とは現金な生き物である
結局世の中人も昆虫も甘い汁か

次の便までの間に羽田から来たみんなと合流し、空港内にある大きな滝「ジュエル」を見に行こうと言うことになった。

空港内は広い。
あちこちでスタッフに聞くが「ターミナル1よ」「ターミナル2にあるわ」と聞くたびに答えが変わる。
よし、もうちゃんと海外旅行だな!と私は俄然楽しくなる。
なんとかたどり着いたジュエルは一度空港の外に出ないと行けないらしく、時間が間に合わないのでターミナル間を移動する電車の中から見た。

この規模の施設がおもむろにあるってな
真ん中に大きな滝がある
動画はかなり綺麗やけど、切り抜くとなんかな😅

空港内にここまで大きな施設があって無料で見れるっていいなぁ。
シンガポールは割と観光税をとられるので悩ましいところはあったけど、その税金が生きているのを感じると、あの時払っておいて良かった気もする。
日本では感じれないですねぇ、岸田さん!!

日本人はアイドルじゃない

日本からシンガポールまでが約6時間、そこからコーチンまで約4時間。
機内はほぼインド人になり、機内食もがらりと変わる。

日本ーシンガポールは日本食っぽくて蕎麦がついていた。
だがシンガポールーコーチンはビリヤニ、急にインドがギアを上げてくる。
てめえら、ここからはインドだぞ?ひよってるやついる?
望むところじゃねぇか。と、食べたものの、ビリヤニが酸っぱ辛い。
フライト中に頭痛がしていたせいで吐き気をもよおし、ついていたヨーグルトのみ食べることを選択したが、これがもっと酸っぱい!

後で聞いたが、ヨーグルトはビリヤニと混ぜて食べるもの。そうすることで辛さをマイルドにしてくれるとのこと。
昨日から聞いておきたかったわ、そのインド豆知識。
こんな感じで私は頭空っぽでインドを詰め込みにきたが、旅の仲間は各々が各分野のインド通の日本人。

年間何度かインドに渡ってスパイスや雑貨の買い付けをしている人、料理教室をしている人、ヨガやインド料理占星術が好きな人、アーユルベーダのトリートメントサロンで働いていた人。
そこに混ざったBリーグと格闘技を愛してやまない変態という最強のパーティだ。
私は踊り子くらい役にも立たないが、そんな奴だって必要だろう。

って強い心で旅してる。

入国審査は椅子に座っての面接方式。
これがめちゃくちゃ時間がかかる。
だが、私はこの手のことは大得意でスピーディ。
国境を越えた万国共通の無害なバカな顔をしているのか、顔から正義感が溢れているのか、よくわからんが数分で通過。
不安な顔をすると時間がかかるのかもしれない。のんきで良かった。

コーチン空港は広くて綺麗
居心地は最高なので荷物が出てこなくても待てる

コーチンに着くと滞在先のリゾートの方たちが車でお迎えに来てくれて、マリーゴールドのレイをかけてくれた。
少し甘い菊の花みたいな青々した香り。

手作り感が・・・みんな、夜鍋してくれたんか?🥹

ここでふと違和感を感じる。
東南アジアの空港だと、ロータリーに出た瞬間に囲み取材みたいに人が群がる。
チップ欲しさの「コンニチハ」の応酬と荷物の奪い合いでもみくちゃで、突破したら今度はドライバーがグイグイ声をかけてきて前に進めないのが醍醐味。

勝手なインドのイメージだと、その倍くらいグイグイ声をかけたりお節介をかけてきたりするのかと思ったが、寂しいくらいに何もなかった。
そもそも外国人が居ないのもあるが。
その詳しい理由は、旅の半ばで知ることになる。

そんな事も知らない私は、逆に来いよ?我、日本人ぞ?お金持ってるんだぞ?と、さもしい気分になる。

私がアイドルなら心が折れて、インドの空港にマイク置いてる。
母親の腹の中からやり直します。
この狭い心を大陸の広さで大きくしてくれ、インド!

カエルだってオケラだってコオロギだって

インド名物の渋滞に引っかかりながら、車で約1時間。
外の景色を見ていると教会が目立った。
インドはヒンドゥー教がほとんどだと思っていたが、そうは問屋が卸さないのかキリスト教の教会が夜遅くまでライトアップしている。
負けじとヒンドゥーの寺院はもっとギラついていて規模が大きい。
クラブか?と思ったら寺院。パリピはいないが僧侶はいる、そんなインドの午前0時。
まぁ日本の寺もよくライトアップしてるし、どこの神様も派手なものがお好きなのね。

到着したリゾートもロザリオが壁にかかっていた。
ここにもインドならではの深い理由が根底にあって、無宗教の日本人には考えられない苦労を目の当たりにする

みんなで宿泊するのかと思ったら、私を含めた3人が別の場所に急遽決定。
なんでもいいから休みたいと、深く考えず移動すると・・・え?ここ、人んち?

深夜なのにニコニコの年配の女性(ママ)と、ウエルカムドリンクとフレッシュフルーツ、初めて見るサイズのオケラが出迎えてくれた。
私の当てがわれた部屋は2階で、とてつもなく生活感が溢れている。
引き出しもクロゼットも私物を慌てて詰め込んだあとがあり、理由はわからないが私を受け入れるために必死になった形跡に頬が緩む。
シャワー浴びれて眠れたら私はそれで満足。

シャワーの使い方やトイレの使い方(!)DJのミキシングマシンくらいある電気のスイッチを教えてもらったが頭に入らず、どうにかなるか!で1階のリビングに降りてフレッシュマンゴーを食べる。
疲れた時は呑気が1番だ。

日本のトイレより広くていい
手前の桶があるところがシャワーで、奥の便器があるところにはお尻用のシャワーがある
こうゆうのが部屋中にある。右端の幾何学な穴がコンセント
例えトイレの横にあったとしても、トイレの電気がどうにかなる訳でもない
正解は住んでいる人間の脳内にのみ存在する

テーブルに乗るものは、ママのお庭で育ったフルーツと、摘んだハーブで作ったハーブウォーター。
これがいわゆる丁寧な暮らしなんだなぁ、と感心。
田舎のインド人は女子力も世界一だ。

外では野球部の声出しくらいカエルが鳴き、裸足の足元(インドも玄関で靴を脱ぎ、室内は基本裸足)には大オケラとちっちゃいコオロギが元気に跳ねている。
窓を見るとヤモリがうねり、その外は漆黒の闇。
隣に家はない。

丁寧に生きるにはそれなりの覚悟も必要だな、と小指サイズのオケラを捕まえて外に逃しながら思った。

家族写真いっぱい飾ってるし、壁にLOVEって描いてた。私の為に誰が追い出されたんだ?

この記事が参加している募集

#一度は行きたいあの場所

54,172件

#創作大賞2024

書いてみる

締切:

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?