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教師目線で解説-5作品の絵本の感想-

こんにちは!教師のエノモトです!
ここでは、2024年11月の新作絵本のレビューを、教師の視点からの感想としてお伝えします。子どもたちへの教育的な効果や読書体験の豊かさを中心に、それぞれを詳しく紹介します。

『そういうゲーム』 – 生きる意味を見つめるきっかけに


ヨシタケシンスケさんの最新作『そういうゲーム』は、子どもにも少し難しいテーマですが、そのシンプルな表現が子どもたちにも深く届く絵本です。この本では「生きること」や「意味を見つけること」について、主人公が日々の出来事から学ぶ姿が描かれています 。

教師としての視点から見ると、この絵本は、子どもたちに「生きることの意味は一つだけではない」という大切なメッセージを教えてくれる良い題材です。物語の中で主人公が疑問を抱き、答えを見つけようとする姿は、子どもたちが「なぜ学ぶのか」「なぜ努力するのか」といった疑問に向き合う機会を与えます。日々の学びや人との関わりを通して答えを探すことは、勉強だけでなく人生の全ての場面に通じる考え方です。子どもたちにとっても、読み聞かせを通じてこの絵本をきっかけに自分の「生き方」について考え始められる素晴らしい時間となるでしょう。

『パンダのおさじくん』 – 日常の中の小さな楽しみを発見


柴田ケイコさんの『パンダのおさじくん』は、ユニークなキャラクター「おさじくん」が日常の中に楽しいひとときを見つけるお話です。おさじくんのかわいらしい呪文は、読み手もつい声に出してしまいたくなります 。

この絵本は、日常の「退屈な時間」も少しの工夫で楽しく変えられるということを教えてくれます。子どもたちにとっては、おさじくんの呪文やリズム感のある言葉が楽しい体験になるでしょう。また、教師としては、子どもたちが物事の新しい見方を発見するきっかけになると感じます。授業でこの絵本を取り入れることで、「発見することの楽しさ」を伝えたり、「何気ない日常にも楽しさがある」という気づきを与えたりできるかもしれません。教室で読み聞かせをするだけでなく、子どもたち自身に日常の中で楽しい瞬間を見つけてみる活動を取り入れると、この絵本のメッセージがより深く心に刻まれるでしょう。

『くもりときどきかみなり』 – 自然を感じる力を育てる


荒井真紀さんの『くもりときどきかみなり』は、天気の移り変わりをテーマに自然の美しさや不思議さを描いた絵本です。細やかなイラストが、天候のさまざまな様子を伝え、子どもたちの興味を引きつけます 。

この絵本は、自然と触れ合う感性を育てるために理想的な作品です。子どもたちが自然や天候の変化に対して好奇心を持ち、そこから新たな発見をするきっかけになるでしょう。天気は、日常生活の中で誰もが身近に感じるものですので、この絵本を通じて自然科学や地理への関心を育むことも期待できます。教師として、季節の変わり目にこの絵本を取り上げることで、自然と触れ合いながら学ぶ授業活動を取り入れ、体験型の学びに繋げていくのも良いでしょう。

『ねむれない夜のおはなし』 – 安心して眠れる温かい物語


『ねむれない夜のおはなし』は、夜の静けさと温かさを感じさせる一冊です。眠れない夜に一人で過ごす子どもたちが、優しいキャラクターたちに包まれて眠りにつくまでの物語が展開されます。夜が持つ不安や静けさを、優しく癒してくれる内容です 。

この絵本は、夜が怖いと感じる幼い子どもたちに特におすすめです。教師としては、子どもたちが不安に思うことや安心することについて話し合うきっかけとして活用できるでしょう。例えば、授業で「夜に感じる怖さ」について話し合い、その中で「安心して眠る方法」を見つける活動を行うことで、自己理解を深める時間を提供できます。このような活動を通じて、子どもたちに「怖いこともあるけれど、乗り越えられる」という安心感を持たせてあげたいですね。

『ちいさなミイのうた』 – ユニークな視点を通して自己表現を学ぶ


トーベ・ヤンソンによる『ちいさなミイのうた』は、ムーミンシリーズのミイが主人公で、彼女のユニークな視点や表現力が描かれています。ミイは個性が強く、はっきりと自分の意見を持つキャラクターとして描かれており、自己表現の大切さを教えてくれます 。

教師の視点から見ると、この絵本は、子どもたちに自己表現や自分の考えを持つことの重要性を伝えるための良い題材です。ミイのように、たとえ周りと違っても自分の気持ちや意見を大切にする姿勢を持つことは、子どもたちの自信や自己肯定感の向上に繋がります。授業でこの絵本を使い、子どもたちに「自分らしさ」について考えるワークショップを行うと、彼らの個性を尊重する場を作ることができるでしょう。

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