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芸能人や人気作品のファンが喜ぶプロモーションの作り方とは

企業がブランドや商品をプロモーションする際に、芸能人やタレント、アーティストなどの著名人をキャスティングしたり、有名なエンターテインメント作品とコラボレーション(以下、コラボ)したりすることが数多くあります。

企業やブランドと著名人(や作品)がマッチしていて、心を動かされることがあれば
「なぜこのタレントが出演しているんだろう?」
「この漫画とせっかくコラボしているのに、なにか違う……」

と感じることもありませんか?

ファンが多い著名人や作品であるほど、プロモーションが大きく話題化しやすい一方で、ファンに受け入れられなかったり、著名人や作品にばかり注目が集まってしまうとブランドや商品の宣伝効果が得られない可能性があります。

今回は、著名人や人気作品を起用したプロモーションを企画する際に重要な考え方、作り方をご紹介します。ブランドや商品のマーケティングやプロモーションを担当している方は、ぜひお役立てください。

著名人や人気作品とのコラボは「売れる」?

企業・ブランドが著名人や人気作品とコラボする理由は、その「ファン」に認知・購入してもらいやすいと考えているからです。

一方で、認知・購入につなげたい思いで企画したにも関わらず、企画内容によってはファンに受け入れられず、ブランドや商品に対してネガティブにクチコミされるケースも増えてきました。

トライバルは、企業やブランドが著名人や作品のファンの心に“刺さる”コンテンツを作り、認知獲得・購入意向の向上につなげるには、以下の2つを意識することが重要だと考えています。

・「ファンダム」のことを理解した上でコンテンツを制作する
・「ファンダム」から2つのリアクションを引き出す

ここからは、まず「ファンダム」についてご説明します。

好きなモノに生きがいを感じる「ファンダム」

ファンダムとは、ファンの中でも特に好意の対象に熱狂し、独自の文化を持っている人たちのことを指します。

ファンダムが熱狂する対象は、主に音楽やアイドル、ドラマ、アニメ、漫画、小説、スポーツなどのエンターテインメント(以下、エンタメ)に関連する人やキャラクター、作品自体であることが多いため、本noteにおける「ファンダム」もエンタメに対する熱狂的なファンの集まりのことだとご認識ください。

ファンダムは所得や時間を費やすこと以上に、エンタメに関わる著名人やキャクター、作品に対して「生きがい」を感じています(トライバルではこれを「可処分精神(※1)」が占められていると呼んでいます)。

例えば、2020年10月16日(金)に公開される人気漫画「鬼滅の刃」の映画に関するツイートでは、興行収入に貢献しようと呼びかける内容が散見されました(煉獄さんとは同作品内に登場するキャラクターです)。

ほかにも、駅構内に自分の“推し”であるアイドルを応援するための広告を出稿したり、地方だけでなく海外のイベント・ライブにも遠征したりする人が一定数います。

ファンダムに近い人であるほど、好きな対象に関するモノやサービスに興味を持ちやすく、好意度や購入意欲を高めやすいと言えるでしょう(冒頭の話に戻りますが、以前から著名人や人気作品がプロモーションに用いられるのはそのためです)。

※1 SHOWROOM代表の前田裕二さんがインタビュー記事(東洋経済オンライン「前田裕二『可処分精神を奪い合う時代が来る』」)で使用した言葉

ブランドや商品を、ファンダムが受け入れやすい形で届ける

ファンダムに向けたコンテンツを制作するときに注意しなければいけないのは、ファンダムは「自分の好きなモノが好き」であって、そこに関わるブランドや商品のことも自ずと好きになるわけではないということです。

つまり、著名人や作品を起用すると自然とファンダムが受け入れてくれるのではなく、あからさまな商売目的であることが見え隠れしたり、違和感があったりすると、反対にブランドや商品が嫌われる可能性もあります(それほど人や作品への愛が深いとも言えます)。

だからこそ重要なのは、ファンダムに存在する文化や共通言語、会話における文脈を汲んで、その中で受け入れられるようにブランドや商品について伝える(登場させる)ことです。

それはファンダムに迎合することではなく、共通部分を狙うということ。
共通部分とは、ファンダムの文化や共通言語、会話などの文脈と、自社のブランドや商品が持つそれが重なり合う部分を指します。

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企業やブランドによるプロモーションは(当然ですが)ブランドや商品が前面に立ったコンテンツになることが多いため、ファンダムに受け入れられ、話題になるコンテンツにするためには上記のバランスを意識することが重要です。

ファンダムを感動させるコンテンツを用意しよう

また、ファンダムに向けたコンテンツは、以下のリアクションを引き出すような企画内容にすることもポイントです。

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このようなリアクションを引き出しながらブランドや商品を届けることで、著名人や作品に熱狂しているファンダムがブランドや商品に興味を示してくれることになり、より手に取りたいと思ってもらうことができるでしょう。

以下のツイートは、エンタメとコラボした企業に対する内容で非常に多くの共感を集めました。2・3つ目のツイートは1つ目のツイートのリプライです。

(マジレジェとは「うたの☆プリンスさまっ♪ マジLOVEレジェンドスター」というアニメ作品の略称です。)

ファンダムに受け入れられるようなコンテンツを丁寧に用意することで、ブランドや商品に対する感謝の気持ちや(このツイートに書かれているような)愛着心が芽生えるかもしれません。

また、作り込んだコンテンツをファンダムに届くようにするためには、メディアプランニングも重要です。
たとえばソーシャルメディア広告の中でも、特にTwitter広告における「キーワードターゲティング(※2)」は、ファンダムがツイートする特定のキーワードでをターゲティングできるため、確実に届けることができます。Twitterはエンタメとの親和性も高いため、ぜひお役立てください。

※2 キーワードターゲティングについてはこちらを参照してください。

実際にファンダムの人たちが“動いた”事例

最後に、ファンダムに向けたプロモーション事例を3つご紹介します。

1)オーディオテクニカ 完全ワイヤレスイヤホン「ATH-ANC300TW」
音声広告(Spotifyのデジタルオーディオ広告)に声優を起用した事例で、トライバルが実際にご支援したプロモーションです。

声優がファンダムから愛される理由の一つである「声」を、Spotifyを通じてファンダムに届けるというアイデアで企画しました。施策後にブランドリフト調査を行ったところ、広告の接触者と非接触者とでは好意度と購入意向に10倍の差があり、ファンダムに対する施策としての効果の高さが分かります。

またTwitterには、広告であるにも関わらず好意的に感じているツイートやオーディオテクニカに感謝するツイート、そして実際に商品を店頭に見に行ったツイートなどが見受けられ、前向きなクチコミ(UGC※3)の創出にも貢献できていることが分かります。

※3 User Generated Contentの略で、ユーザーが生成したコンテンツのこと。ソーシャルメディアやクチコミサイトへの投稿などが含まれる。

2)森永乳業 「オレ様に、甘えちゃいな。」
栄養バランスオレ「Miloha(ミロハ)」のプロモーションとして、CMに「新テニスの王子様」の人気キャラクター「跡部景吾」を起用した事例です。

公開日にはこのCMに関連したキーワードがTwitterでトレンド入りしただけでなく、あたかも森永乳業が「跡部景吾」を(キャラクターではなく実在する人物のように)キャスティングしたことが話題になりました。

森永乳業のプレスリリースに「跡部景吾」がCM撮影後のインタビューを受けたようなコメントを紹介していたり、映像の構成が俳優の倉科カナさんが出演した同シリーズのCMと同じにしたりしたことも、プロモーションが話題化した理由の一つだと考えられます。

跡部景吾のファンダムに「分かってるね……!」や「そうきたか!」と思ってもらえた事例ではないでしょうか。

3) リクルートホールディングス「Follow Your Heart & Music」
同社のビジョンである「Follow Your Heart」をテーマに、新進気鋭のアーティストとコラボした施策。新たな一歩を自らの選択で踏み出す若者を音楽の力で応援した事例です。

企画の趣旨に賛同したアーティスト5組が参加し、「挑戦」をテーマにしたミュージックビデオを作成・公開。ミュージックビデオは各アーティストが希望したクリエイターとそれぞれ共演した内容になっています。

アーティストの世界観とリクルートのビジョンがマッチしたプロモーションに、アーティストのファンダムからは好意的なクチコミが寄せられました。

エンターテインメント×マーケティングの可能性

著名人や人気作品を起用してファンダムの認知・購入につなげるには、以下の考え方が重要です。

・「ファンダム」のことを理解した上でコンテンツを制作する
・「ファンダム」から2つのリアクションを引き出す

この考え方は、著名人や人気作品を起用するときだけでなく、ファン(フォロワー)にリーチすることを目的にしたインフルエンサーマーケティングにおいても重要な考え方だと言えるでしょう。

一般的なブランドや商品において、エンタメにおけるファンダムほど熱量の高いファンが集団として形成されているケースは多くありません。言い換えれば、ファンダムとともにマーケティング活動をすることが、まだまだ大きな可能性を秘めているとも言えます。

トライバルのエンターテインメントマーケティングレーベル「Modern Age/モダンエイジ」は、エンタメに精通したメンバーが多く、さまざまなファンダムの言語や文化、文脈の理解に長けています。
こののnoteを読んで、ファンダムに向けたプロモーションやコンテンツ企画を試してみたいと感じた方は、お気軽にお問い合わせください。

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