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辞めたくないけど転職する。

「後ろを向いて歩こう」

この記事を通して皆さんに届けたい、私なりのエールです。

転職だけでなく、人生でなにか選択を迫られるときに思い出して、ふっと心を軽くできたらいいなと思います。



今月末で、新卒入社から約1年半勤めた会社を退職する。

私は、ものを捨てることが出来ない。
物を捨てるだけでなく、一度始めたことは途中で辞めたくない。人との関わりは一度できたら切りたくない。経験や思い出は忘れたくない。
なにかを捨てることが、本当に苦手だ。
過去と、過去に基づいて見えてくる未来に固執してしまう癖がある。
つまり、変化を恐れている臆病者、といったところだろうか。

そんな臆病者の私が、今の仕事を捨て、転職する決断をした。
新たな道を歩くことにしたのだ。

『何かを得るためには、何かを捨てなければならない』

そんな苦しい選択を迫られる瞬間が人生にはあるのだと実感した。しかし、本当に大切な何かを捨てるしか方法はないのだろうか?



私は、大好きなテレビに関わる会社に入社した。

テレビの裏側に触れる日々は楽しく、誇らしく、私は運良く恵まれた環境にいると感じていた。

中でも、現在の上司との出会いが最大の幸運だったと思っている。
相談をすれば、私の性格に合わせたアドバイスをくれる。私が若手だからって無理を言う相手には怒ってくれる。「もし失敗したら俺が頭を下げるから大丈夫」と、1年目から仕事を任せてくれた。心から信頼のおける人だった。

私に期待もしてくれていた。だから、やれるところまでやってその期待に応えたいと思っていた。


だが、どうしてもテレビ業界の雰囲気と仕事内容が合わない。私の思い描く働き方とは程遠く、それを叶えるならば転職しか道はなかった。

転職するならば、未経験分野への挑戦。
20代前半の今のほかにタイミングはあるだろうか?

将来を考えると結婚も出産もしたい。でも仕事は続けてキャリアアップしていきたい。だから今でなければ手遅れになる。
今しかない。
上司とまだまだ一緒に働きたい、大好きなテレビに関わりたいという感情を、理論で押し殺したのだ。


上司に退職を伝えるのは心苦しかった。
否定はせず、うん、うん、と聞いてくれた。ごめんね、そうだよね、と。
皮肉にも、この優しさにさらに心が苦しくなる。

でもこれで良かったんだ。
そう思うと同時に、心の中に湧き上がる数々の感情。

将来への期待。
転職の面接の手応えもよく、自分に合った会社を選んだという自信。
私は正しいことをしたんだという安心。
私は正しいことをしたんだと思わないと立っていられないほどの不安。
もうテレビに関わることの出来ない寂しさ。
今の仕事でしか見られない景色もあったのではないかという後悔。
上司の期待に応えられなかった悔しさ。

…これで良かったのかな。


ここまで来て、辞めない選択肢はない。でも「辞めたい」も「辞めたくない」も捨てられない。願いが叶うならば、体が2つ欲しい。

この1年半の経験を捨てたくない。
上司を信頼し、尊敬する気持ちを捨てたくない。

でも、私は新たな道を歩いていかなければならない。



私は臆病者だ。
「今」を捨てる勇気も覚悟も持ち合わせていない。

でも、私は新たな道を歩いていく。

何かを得るためには、何かを捨てなければならないのかもしれない。
けれど、捨てたくないものがあったら、心の中に残しておいていいよね。

前へと歩いていくけれど、後ろを振り返ると自分が歩いてきた道があって、上司がいて、楽しい日々があって。
今まで歩いてきた道と、これから歩く道は1本に繋がっているんだから、たまに戻ってもいいよね。私が歩く道なんだから、後ろに戻っても、迷わずまた今の場所に戻ってこれるよ。

あんなことがあって楽しかったな、なんて。
あの時はこんなこと頑張ってたな、なんて。
だから今の私があるんだな、って。



前を向いて歩こう。
でも、自分勝手で都合の良い理由をつけて、たまには後ろを向いて歩こう。

ここでの日々を忘れず、私はあんな上司になりたいという気持ちを忘れず、次の場所に、いってきます。

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