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音読よりも国語力を伸ばす方法。(6min)

小学生の音読という宿題の危険性については以前にnoteしたが、今日は「じゃあ音読の代わりに何をしたらいいの?」というお話。

音読の問題点

音読という宿題がなぜ危険かというと、子どもたちが、文章を読む本質を「内容の理解(イメージ化)」ではなく「発声」だと思ってしまうからだった。
もしこれが身についてしまうと、どんな文章もじっくりと味わったり、愉しんだり、内容を吟味したりできなくなってしまう。
そして中高生になったときに、文章を読んでも「自分が理解できているのか、理解できていないのか、わからない」という状況に陥る。

よく「幼い子どもたちは大人より吸収力に優れている」なんて言うが、まさにその通りである。
この敏感で繊細で大切な時期に良くない習慣を身につけてしまうと、成長してからその悪習を捨てるのが本当に困難になる。

うちの教室に来てくれているT君は「国語が苦手」と言っている中2の男の子。定期テストでは約50点くらいとれるが、実力テストでは20点前後しかとれない。
彼に国語の授業をしたときに

文章は、1文1文を頭の中でイメージしながら読めばいいんだよ


と教えるとやはり

え、そうなの?

と驚いていた。
それから文章を読むときにはイメージ化するよう努力をしてくれるようになり、少しだけ文章の理解はできるようになった。
しかし、やはり完治することは難しい。気を抜くと文章をただ目で追っているだけの時がある。また文章に対する抵抗感も根強く残っている。

音読の代わりにすべき2つのこと

では音読の代わりに、お家でできることはないのだろうか?
保護者さんからそんな相談を受けたとき、僕は子どもたちの力をのびのびと最大限に伸ばすため、次の2つのことをおすすめしている。

①小1〜3までの読み聞かせ

子どもたちは日常生活の会話の中で様々な語彙を身につけていく。しかし会話をしているとは言っても、家庭内で使われる語の数はどうしても限られてしまう。
そこで、ぜひ保護者さんが国語の教科書を子どもに読み聞かせしてあげてほしい。教科書はそれぞれの学年での発達に合わせて、わかっておいてほしい事柄や言葉がとてもよく整理され、作られている。これを1文ずつ、ゆっくりと、子どもたちの顔を見ながら読んであげる

そうするとたまに子どもが「それどういう意味?」と聞いてきたり、あるいは難しい顔をしたりする部分があるはずだ。
そんな時は、一緒に「どういう意味なんだろうね?」と考える。このときに決して「こういう意味だよ」と答えを押し付けてはいけない。
そしてその時点ではまだ理解が難しそうな場合は、その言葉をあえて日常生活の中で使うようにする。そうすることで子どもたちは自然と言葉の意味や使い方を身につけていけるのだ。

なお、国語の教科書の読み聞かせは、学校の進度に合わせる必要はない。無理に先を急ぐ必要もないが、子どもたちが「先を読んでほしい」と言えば、先に進んであげよう(知的好奇心が刺激されている証拠である)。逆に子どもが「今日はもういいかな」となっていれば、その日はお休みしても大丈夫である。

もしその学年の教科書が終わってしまえば、今度は次の学年の教科書を自分で購入するのも良い。あるいは書店でちょうど良いレベルの本を購入し、それをまた読み聞かせしてあげよう。この「ちょうど良いレベルの本」を選ぶのが難しければ、読書感想文の課題図書を参考にするのも1つの手である。

②文章を1つずつ絵にすること

文を理解することはどういうことかというと、頭の中でイメージ化する、ということである。
例えば自分が読んだ小説が映画化されたときに「なんかこの俳優さんじゃないんだよな」と感じることがあると思う。これこそまさにイメージ化している証拠だ。

しかし、子どもたちに「頭の中でイメージ化しよう」と言っても、もちろんそれがどういうことなのか伝わらない。そこでイメージ化の練習のために「文章を1つずつ絵にする」ことをおすすめする

小1〜3年までは、保護者さんが文章を音読し、読んだ部分までを絵にする。
小4以降でも読むのが苦手な子には読み聞かせでも構わない。子どもが「自分で読みたい!」と言う場合は子ども自身に読ませる。ただ、慣れるまでは保護者さんが「ここまでを読んで絵にしようね」と設定してあげる。そして1つずつ丁寧に絵にしていくのを見守るだけだ。

子どもたちに見えてくる変化

ここで大切なのは、この作業を「楽しんですること」。低学年であればあるほど、よりそれが大事になる。
無理にさせる必要は全くなく、子どものペースに合わせて、ゆっくり取り組もう。

僕の教室での国語の授業は基本この形式である。そして描いた絵に関して、僕から一切口出ししない
これまでに文章を絵にしたことがない子たちのほとんどは最初、

「えーわからん」
「描けない」

と、やろうとしない。絵が苦手な子なら尚更である。
そんな時は「これってどんな形をしてるのかな」「どんな色なのかな」とイメージを広げられるような問いかけを少しだけ、ゆっくりとしてあげる

ふざけてわざと雑な絵を描く子もいる。そんな時はそれを注意することもなく、また逆にそれにノッてあげることもなく「〇〇君にはそう見えたんだね」と笑顔で進める。

すると必ず、少しずつきちんと描けるようになってくるのだ。絵の上手い下手に関わらず、絵を褒められることではなく、イメージ化すること自体が楽しくなってくる

もちろん個人差はあるが、週に1日通ってくれる子の場合、小1ならその日のうちに描けるようになる印象。
小2は4週目から、小3は約2ヶ月後くらいから文章を絵にできるようになってくる。

ただもちろん、これらすべては子どもたちが自発的にすることが大切である
「やらされ感」が強いと、結局は文章に対する抵抗感は減らないし、イメージを広げることもできない。

文章が読めないと、国語だけでなくどの科目でも間違いなく苦労することになる。
YouTubeやスマホゲームが大流行し、文章を読むのが苦手な子が増えている昨今だからこそ、一人でも多くの子どもたちに、文章を読む楽しさを味わってほしいものだ。

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おわり

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考えることが好きになれば、算数も国語もぜんぶ好きになる。すべての子どもたちに学ぶ楽しさを感じてもらうべく奮闘中。TRES代表。