就活生だった1年前の私へ
就活時代の直感を、今、言葉に
就活はよく恋愛に例えられる。
その人が優れているから好きになるのではなくて、
なんか一緒にいると楽しいな、
なんかよくわからないけど波長が合うな、
なんか、いいな。
よくわからない、その「なんか」に惹かれて、
直感的に好きになる。
何を隠そうわたしも1年前、
就職先を決める際に、
言葉では表現しきれない何かに突き動かされたような感覚と出会った。
でもそれと同時に、
その何かに突き動かされながらも、
それを冷静に引き留めようとする自分もいた。
1年経った今、
はっきりとその感覚を言葉にできる。
トレンダーズの魅力
トレンダーズに魅力を感じた理由のひとつに、
社会においても、自分にとっても感じる
二重の意味での「新しさ」があった。
社会的な新しさとは、いわゆる、新興産業であるということ。
Web、SNS、インフルエンサー、
どれをとってもこれからの企業活動と切っても切り離せないだろう。
自分がここで力をつければ、
その先の未来はきっとあるだろうと思えた。
もうひとつの、自分にとっての新しさとは、環境の新しさだった。
わたしはいつからか、
大学名や会社名、肩書きが嫌いになっていた。
もう少し正確に言うと、
そうしたものを通して、
一人の人間が語られることに虚しさを感じていた。
例えば、大学時代のバイト先での出来事。
「大学、どこ?」と聞かれて、
「一橋大学です」と答えれば、
その瞬間、なんだか頭良さそう、と見られた。
レジ打ちがすぐにできるようになると、
さすがだね、と言われた。
なにもさすがではない。
レジ打ちなんて練習すれば、誰だってできるようになる。笑
覚えるスピードなんて、覚えようとするか否かの、
スタンスの問題だと思う。
一橋大学出身→頭良さそう→レジ打ちすぐできる→やっぱ頭いい、
みたいなロジックになっていることに呆れていたし、
一橋大学というフィルターを通して、
私という人間が語られてしまうことに、
一抹の虚しさを感じていた。
だからこそ、自分はフィルターを通して人を見るのではなく、
その人が何者なのかを、できるだけ素肌で受け取りたいと思っていたし、
逆に、相手にもそれを求めるようになっていた。
その思いの延長線上で出会ったのが、
ここ、トレンダーズだった。
その、フィルターを剥ぐために、
トレンダーズに来たと言っても、過言ではないと思う。
内定承諾後、ぶつかった壁
けれども、内定承諾後、
フィルターを剥ぐという行為は、
自分のアイデンティティをも塗り替えることだったんだと、
初めて気づいた。
それに気づいたのは、
就活を終え、久々に大学の友人と飲んだとき。
どこの会社に就職するの?と聞かれて、
会社名を伝えても、うまく伝わらない。
隣の席では、
「その会社、うちのサークルの先輩がいるよ!」って、
話しているのが聞こえてくるけれど、
うちの会社は、私の大学からは、私が2人目らしいし、
1人目の先輩は、もうすでに転職されてもういないって話だったし、
大学の友人と話が合わなくて、寂しかったし孤独感を感じた。
思い返してみると、高校も大学も、
学校名を伝えれば、大体の人が「いい学校ね〜」と評価してくれる学校で育った私。
だれもが「いい学校ね」と認めてくれるということに安心感を覚え、
その学校そのものの社会的知名度が、
自分自身のアイデンティティを、大きく支えてくれていたことに、
ここにきて、やっと気づいた。
今まで、邪魔で邪魔で仕方なかった「フィルター」は、
こんなにも自分の身を守ってくれていたんだと、
初めて気づいた。
フィルターを取り外して、手に入れたもの残ったもの
そこから1年たった今、
それでも私は胸を張ってこの場所、トレンダーズで生きている。
ここは、
学歴や社会的知名度ではない何かで、
自分を表現しなければならない場だと思う。
本当に、個の力が鍛えられる場所だと思う。
会社の名前に個人がぶらさがるのではなくて、
個人の名前で会社がつくられる環境だと思う。
フィルターを取り外して手に入れたものは、
ここ、トレンダーズという圧倒的に「個」の力が鍛えられる場所であり、
私に残ったものは、
自分でこの場所を選んだという、覚悟と責任と、
何よりもこの選択を正解にする未来をつくるという、強い意志だけ。
それと同時に、逆説的だけど、
就活時代に大事にしていた思いは、
私の新たなフィルターとなっているようにも思う。
それは、
私はやっぱり、
みんながどう評価しているかではなく、
自分はどう思うのかを大事にしたいということ。
その人が何の役職についているのかではなく、
その人はどういう人なのかを大事にしたいということ。
そして、
社会や組織に裏打ちされた、
社会的につくられた「正しさ」ではなく、
個人の意思や行動から見える、
その人の在り方に向き合い続けたいということ。
就活では言葉にならなかった思いは、
あとになってこうして気づく。
でもこうしたすべての経験と思考過程が、
今の自分を支えてくれていると思う。
だから、考えて考えて考えつくしたら、
最後は、感じて。
直感を信じて。
柳原 彩