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『Good to Great』⑥自律された企業文化

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『Good to Great』/ Jim Collins

ビジネスマン必読の書として名高い本書『Good to Great』。

これまで、Greatな企業にとって必要な人材と価値観について取り上げてきた。本書の要約もいよいよ終盤戦。ここからは、イノベーションを迎えるためになすべきことを考える段階である。

本章はこれまでの総集編とでもいうべき内容。Greatな会社に必要な要素を今一度整理したうえで、そこから生まれるGreatな文化について学ぶ。

「企業らしさ」の源

Greatな会社に求められる要素を再掲すると以下の通り。

1. 謙虚さと強い意志を兼ねそろえたリーダー
2. TeachableでLearnableなメンバー
3. 建設的で正直な議論を可能にする風土
4. 自社の強みを最大限に生かす戦略

すべての要素は変動的である。リーダーやメンバーは交代する可能性があるし、風土や戦略は時代とともに移り変わる。常に最適を検討し続けることによって、会社にとっての優先順位とプロセスが定まっていく。これこそが企業文化と呼ばれるものだ。

Greatな会社では、社員によって「企業らしさ」が厳守される。一方で、「企業らしさ」に当てはまる範囲であれば社員は極めて高い自由度をもって行動することが許される。つまり、極めて自律された文化を持っている。

ここからは僕自身が思いつく具体的な例として2つの組織を紹介。僕自身もこれらの企業のすべてを知っているわけではなく、メディアの情報を鵜呑みにしているだけではある。それでもこれらは自律ある企業文化のイメージとしては間違っていないと思っている。

まずは、東京ディズニーランド

東京ディズニーランドのホスピタリティについては数多くの書籍が出版されているのでご存じの方も多いだろう。

ディズニースタッフの間にはマニュアルが存在するものの、企業理念である「GIVE HAPPINESS」から逸脱しなければ自由度の高い接客が許される。前例のないサービスを提供することもある。

一方で、本当にやってはいけないこともわきまえている。おそらく、スタッフたちは「何をすべきか」と「何をすべきではい」かを理解できる自律できる人材なのだろう。そして、その背景にはディズニーの風土と戦略が明確に存在する。

続いて、富士そば

驚くことに、富士そばにはマニュアルが存在しないという。それによって社員は創意工夫ができるし、高いモチベーションを維持することにつながるのだろう。

他の企業がディズニーや富士そばの方針を表面上だけ真似したらどうなるか?前例潰しOK、マニュアルは存在しない自由にやってくれと言われたらどうだろうか?

おそらく現場は混沌となる。Greatな企業文化はGreatな人・風土・戦略が揃って初めて機能する。そのことを忘れてはいけない。

「何をするか」よりも「何をしないか」

著者のジム・コリンズは企業文化を固めていくために重要なステップとして、"Stop-doing lists"を作ること、すなわち「やらないことを決めること」を挙げている。

リーダーは限られた経営資源を最適に分配することを目指す。そして、その結果で組織の優先順位とプロセスが定まっていく。

資源を過度に分散させてしまっては、社員に「何をすべきでないのか」を伝えることができない。あれもこれもと手を出すことなく、本当にやるべきことだけをやる。それ以外は一切やらないという捨てる覚悟こそが文化を鮮明にしていくために必須なのだと思う。

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