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『Good to Great』③誰バス理論

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『Good to Great』/ Jim Collins

今回は「誰バス理論」について。プロジェクト成功には何をするかの前に誰とするか(who before what)を重視すべきとしたこの理論。日本に与えた反響も大きかったらしく、多くのメディアや書籍で引用されている。

Greatな会社に求めらるメンバー像

少し前章のおさらい。Greatな会社に必要なのはカリスマ的なリーダーよりもむしろ一見して地味ではあるけれど芯の備わった人物ということだった。

ではGreatな会社に必要なメンバーの素質とは?

著者は条件としてTeachableもしくはLearnableであることを挙げている。高い能力を持つ個人よりも、自身の技能を組織に共有していくことができる人物のほうが適任であるという。

カリスマに依存する組織は再現性に欠ける。これはリーダーだけでなくメンバーにも同様に当てはまることだろう。

who before what

この章の核となるポイント。世の中は先行き不透明で一寸先は闇。計画は頻繁に変更を余儀なくされる。将来の予測ができないからこそ、誰と働くかを何をするかよりも先に決定するのがよいだろうというのが著者の主張。

リーダーは適切なメンバーをアサインし、不適切なメンバーを外す。カリスマリーダーによるトップダウン方式で目的地を決めるのではなく、対話的なリーダーのもとでメンバーの議論して目的地を決めるのがよいとのこと。

ただし、会社に不適切なメンバーがいたからといって解雇をすればよいというわけではない。一度アサインしたメンバーを降ろすことは簡単ではない。ましてや日本企業は理由なく解雇を行うことは不可能。そもそも解雇は最終手段である。

そのため、著者は企業人事に対して以下のアドバイスも残している。

①雇う前の判断は慎重に!
当然と言えば当然なのだけれど、意外と徹底できなさそうなのがコレ。人手不足だから、面白そうだからと安易に人を雇ってしまうと後々後悔することになるということだろう。

②解雇する前に別の機会を与えてみよう!
不適切と思った人材も、別の部署やプロジェクトに移してみると生き生きと動きだすかもしれない。要は適材適所。

③優秀な人材は問題処理ではなく、チャンスに配置せよ!
前線にはエースを配置する。スポーツと一緒ですね。

一般ビジネスマンの「誰バス理論」活用術

この理論の言わんとすることはよくわかるのだけれど、僕のような一般ビジネスマンにとっての活用はの場は難しい。

人事権を持たない僕らにとって、バスに乗せるも降ろすもあったものではない。ボスからプロジェクトに乗れと言われれば乗る、降りろと言われれば降りる。大体の人がそんなところだと思う。

それでも、なんとか「誰バス理論」を自分の身の回りに適用できないかと考えた末、僕自身は以下の2つの価値観を得るに至った。もしよければ参考にしてほしい。

所属する会社や組織は事業内容よりも人を重視する
就職活動・転職活動はもちろん、サークル加入時なども同様。組織のメンバーに向上心があり、技能を一緒に学べそうな集団であるか?目的意識が明確な集団であるか?カリスマに依存した組織ではないか?事前にチェックするのが吉だろう。

プロジェクトの難易度をメンバーの顔ぶれから判断する
プロジェクトがGreatなメンバーで囲まれたプロジェクトだった場合、健全な議論を繰り返しながら理想のゴールを設定できるだろう。では、Greatなメンバーではなかったら?自分が先導権を握って強硬突破するか、自尊心の強そうなメンバーにお任せするかの二択になってしまうかもしれない。プロジェクトの進め方や力の入れ具合を考える際に「誰バス理論」を思い出してみると良いかも。

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