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『The First 90 Days』③転職や昇進直後30日の戦略

『The First 90 Days』/ Michael D. Watkins

前回の記事:『The First 90 Days』②転職や昇進したときの心構え

転職や昇進などで自分の仕事の役割が変わったとき、どのような気分になるだろうか。期待に胸が膨らむ人もいるだろう。あるいは不安を感じている人もいるかもしれない。

それでも、もっとも大きな感情はおそらく焦りではないだろうか。そして上位の役職であればあるほど、急ぎの対応が求められる窮地であればあるほど、焦りを強く感じやすい。

自分の役割変更の直後には特に、観察することと動くことのバランスが重要だ。動かなければならないという焦りから、観察することは軽視されがち。しかし社内外問わず組織を異動する場合、観察することの重要性は極めて高い。

今回はそんなお話。上記の本の内容を参考に、自分自身の意見をまとめていく。

最初の一ヶ月は学習に徹すること

異動後の30日間は組織についての学習に専念すること。もちろん製品や市場などの勉強もすることも必要だが、それ以上に組織文化組織内での政治のありかたについて理解を深める必要がある。

新参者の自分がどのようにそれらを学べばよいのだろうか?それについて本書には良いヒントが紹介されている。

ひょっとしたらできるだけ多くの人間に会ってヒアリングをしたいと思うかもしれないが、闇雲に突っ込むのは危険だ。時間も多く必要だし、最初や最後に聞く人の意見が頭に残ってしまうかもしれない。

そのため、上司へのヒアリング結果を重視すること。そして、あらかじめ質問を決めておき全員に同じ質問を投げかけること。それらによってバイアスを軽減できる。

聞くべき質問は、
・組織が過去に達成した業績
・組織の現状と戦略
・組織のビジョンと将来の方向性

について。

もちろん、人によって異なる意見が返ってくるかもしれない。しかし、必要なのは上司やメンバーの認識を確かめることなのだからそれでよい。ヒアリングの過程で、過去の業績に大きく貢献した人、現在の社内政治で避けては通れない人を判別できるとなおよい。

組織は理屈では動かない

ここからは僕の考え。著者の教えは極めて実践的だと思った。組織は論理では動かない。組織を動かしているのはヒトである。どれだけ自分が正しいことを言ったとしても、肩書や権力が大きくても、内部の人の心情を蔑ろにして組織を動かすことはできない。

それを知るためには組織内での文化を知ることが重要だろう。

組織文化とは、その組織が重視する優先順位やプロセスのことだと僕は思っている。組織文化は、組織にいるヒトの過去の経験や信条に基づいて形成される。こうした内面的な部分は組織外からは見えづらく、組織内に入ってから自分自身で判断していく必要があるだろう。

特に、組織が過去に達成した業績やそのプロセスについての洗い出しを行うこと。

更なるヒント

全く異なる角度からの切込みにはなるが、異なる地域や国のビジネスの価値観を理解するための手法がある。Thinker50にも選出されたErin Meyerの8つの観点だ。

意思決定やコミュニケーションの違いを尺度としてとらえるための観点ではあるが、これを使うことで異動前後の組織の違いを測ってみても面白そうと思った。

『The Culture Map』/ Erin Meyer

以前まとめた記事も参考にどうぞ。

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