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子離れに失敗した。

気が滅入っている。

誰かに聞いてもらいたくて、頭の中のアドレス帳をくってみる。

最初に長女の顔が浮かんだ。

あかん、あかん。子どもに変な心配はかけられない。

じゃあ・・・
ご近所だった彼女は最近疎遠だし、
ママ友の彼女と話すと余計なことまで話してしまいそうだし、
彼は・・・、きっと何も返してこない。

考えたら、誰も相談する人がいなかった。
自分の老後を想像すると、悲しくなる。

そんなことを思っていると、長女からLINEが来た。

「おかあさんは最近どう?チグハグしてるっていってたけど」

そうだ、前にちょっともらしてしまっていた。
つい、甘えて本音を言ってしまう。

『今日、世界で一番自分が嫌いだって思った。こじらせた』

しまった。子どもに愚痴を言ってしまった。どうしよう、一番の相談相手が子どもになってしまうなんて。やっちゃいけないパターンだ。子どもに心配かけてしまうなんて。

「え」

「うちはおかあさん好き」

私の欲しい言葉が返ってきた。

どうしよう、泣いてしまう。抱っこしておんぶして、手を引いて歩いた子どもに、寄りかかってしまいそうになる。

早く家を出なさいとか、親離れしてねとか言いながら、自分が子離れできていない。

「また帰省したときに、いっぱい聞かせて」

今、長女は大阪で頑張っている。部屋の半分をベッドに占領された小さなワンルームで、テレワークをしながら、自分でご飯をつくり洗濯をし、生活している。

子離れには失敗した。だけど、子育ては大成功だった。

帰省したら、「頑張ったね」と、ぎゅっと抱きしめてやりたいと思った。


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