宇津保物語を読む6 嵯峨院(仲頼抄)#2
賭弓の饗宴に、仲頼あて宮を見て思い悩む
訳
こうして過ごすうちに、正月18日の賭弓の節会の時に、左方が勝利したので、左大将邸には近衛府の次将たちや上達部、親王たち、さらには左右の近衛府の人たちもが三々五々と訪れた。饗宴の準備は他に類を見ないほどに十分に整えられており、招かれた人々は、席にお着きになった。食膳が運ばれ、盃が交わされ、宴が始まる。
仲頼は、技の限りを尽くして演奏をした。垣下には行政、楽所には仲頼が控え、多くの楽人たちも、とうていかなわないほどの演奏を