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ウクライナとフェイクをめぐる私の考え方

 先日、ロシア軍がウクライナに侵攻を開始しました。激しい戦闘が続いているとみられ、遠く日本でも多くの人が関心を寄せています。

 今回のように、世界的なニュースがあると出回るのがフェイク情報です。

 例えば、上記の映像をSNSで見かけた方がいると思います。上記記事から引用します。

 ロシアのウクライナ侵攻が本格化している中、軍隊に招集された父親が幼い娘を抱きしめて呆然とする姿が公開され、涙の場面を伝えている。
 25日(現地時間)ツイッターなどソーシャルメディアには、ウクライナで撮影されたと推定される40秒の短い映像が共有された。 映像でウクライナ軍に入隊する若い父親は、小さな娘と涙の別れを告げた。

 しかし、Buzzfeedの指摘によれば、拡散された動画は根拠不明であるとのことです。

「ロシアによる侵攻からウクライナを守るため、娘に別れを告げる父」だとする映像が、世界で拡散されている。
 2月24日のロシアの軍事作戦開始を受けてネット上に広がった動画だが、遅くとも21日に親ロシア派の支配地域で「ウクライナの侵略から逃れる住民」のものとして発信されていたことが、BuzzFeed Newsのファクトチェックでわかった。
 ロシア側が投稿した可能性もあり、根拠がはっきりしないため、取り扱いには注意が必要だ。」

「フェイクへの注意」を喚起する記事はあるものの、訂正情報の拡散力は偽情報の拡散力に及ばないのが普通です。

 そもそも、戦争というタイミングは自陣営を優位にするための宣伝(プロパガンダ)がつきものです。今回ではロシア側もウクライナ側も偽情報やミスリーディングな情報を流す可能性があります。

 また、インターネットの発達した現在では政府やマスメディアが組織的に流布する情報だけでなく、個人が全世界に拡散する情報を発信することもできます。個人発の場合、政治的意図を持つケースもあれば、愉快犯的なケースや経済的動機(アクセス数・広告料稼ぎなど)を持つケースもあります。非組織的な発信は統制を受けない分、予測不能で厄介です。

「非常時、SNSにはフェイク情報があふれるもの」、そして「一般人が真偽を見分けるのはまず無理」と思っておいた方がいいでしょう。上記の「娘を見送る父親」も、Buzzfeedの判定は「根拠不明」(誤りと証明できないが、証拠・根拠がないか非常に乏しい)であることに注意してください。「誤り」を証明するのは極めて難しいのです。

 ショッキングな映像は思わずSNSでシェアしたくなりますが、即断は控えましょう。かといって、目に入る情報をことごとくフェイク扱いするのもお勧めできません。「A国側の発信する情報はみなフェイクで信用できない」という形態のプロパガンダに飲まれる危険もあるからです。

 大切なのは、真偽の判断を「保留」することだと思います。概ね信じていいものかどうか、材料がそろうまで待つ、というのが私の情報収集の考え方です。


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