【書評】「新説の日本史」(SB新書)
皆さんは、学校で習ったり、本で読んだりして歴史の知識を得ていると思う。しかし、歴史学の研究は日々進んでおり、通説が変わっていくことは珍しくない。
本書は、従来知られていた見解と、最近の研究動向をわかりやすく紹介している。執筆陣はいずれも第一線の研究者だが、一般向けに分かりやすい解説となっている。
例えば、鎌倉時代に後鳥羽上皇が起こした承久の乱。最近では、鎌倉幕府の打倒が目的ではなかったという説が登場しているという。
新説が登場しているのは、古い時代ばかりではない。「昭和天皇は、戦後も政治的影響力を保持していた」など、私たちに近い時代でさえも、評価が覆ることもあるのだ。
もっとも、新説が出てきたからといって旧説がすぐ否定されるわけではなく、反論や再反論を通じて、時間をかけて通説が書き換わっていく。
歴史学は無味乾燥なものではなく、むしろダイナミックに変化し続けている。そうした「生きた学問」としての歴史に気軽に触れられる良書だと思う。
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