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「村」が「男の子」に変化するまで

「言葉の意味」は時代とともに変わるものですが、変遷をたどると面白いことに気づきます。

例えば、「坊」という漢字。漢字の成り立ちは「土」+「方」で、「方」は左右に広がる意。「坊」は広い村里を意味しました。

そこから、「町や村の一区画」、「部屋、家」といった意味が生まれました。やがて、「寺院内で僧侶が居住する場所(僧坊)」という意味も持つようになります。

そのため、僧侶のことを「坊主」や「お坊さん」というようになったのですね。

さらに転じて、「坊主」は僧侶のような頭を剃った髪型を指す言葉になりました。それがまたも転じて、髪を短くしていることが多かった男の子を「坊主」や「坊ちゃん」などと呼ぶようになりました。

「坊」という漢字の字義は「村里→部屋・家→僧侶の居所」のように変化し、そこから生まれた「坊主」という言葉も「僧侶→頭を剃った髪型→男の子」へと広がったことになります。何気なく使っている言葉ですが、ずいぶん遠いところまで意味が変わったことに驚かされます。

(※写真は唐招提寺の礼堂。僧坊の遺構がある)


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