【書評】三崎律日「奇書の世界史」
「奇書」という言葉はよく聞く。だが、「奇書とは何か?」を考えてみると意外と奥が深い。
ただ「奇妙な本」といっても様々な姿がありうる。
1.出版当時は大真面目に書かれていたが、現在では奇妙に感じる本。魔女狩りの手引書「魔女に与える鉄槌」、「野球と害毒論」などがある。
2.出版当時には奇書扱いされたが、現在の常識ではそれほど奇抜に思えない本。コペルニクスの「天体の回転について」がこれにあたる。
3.作者が世間をだますために書いた嘘まみれの本。「台湾誌」「ビリティスの歌」「椿井文書」などは、作者のでっち上げである。
4.作者の意図や、書物そのもの来歴が謎に満ちている本。「ヴォイニッチ手稿」「非現実の王国で」などである。
5.持ち主が不幸になるなど、オカルト的曰くがついた本。「サンゴルスキーの『ルバイヤート』」があてはまる。
一口に「奇書」といっても、様々な形があるものだという気づきを得られた。雑学好きにはおすすめできる一冊だと思う。
この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?