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【書評】『現代語訳 信長公記』(ちくま学芸文庫)

 織田信長の家臣であった太田牛一による信長の一代記。信長を知る基本史料である。

『信長公記』の活字翻刻版は刊行されておらず、同書の全貌を知る貴重な書籍である。もっとも、ちくま学芸文庫版は1980年に刊行されたものの復刊で、見解が古い点もある。

 例えば、桶狭間の戦いは従来言われてきた「奇襲説」は否定されており、『信長公記』本文を分析した「正面攻撃説」が有力になっている。が、本書67ページの地図は古い見解のまま…そうした点がもったいなく感じる。

 大元の史料ではどうなっていたか、触れてみて初めて分かることもある。その意味では意義のある書籍だとは思う。他の版元の版とも読み比べてみたいものだ。

 

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