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【一流の文章】メール・資料などキチンと書く方法【全年齢対象:メール編基礎】

どうもこんにちは。
仕事術マスター、エンジニア、教育者、元東京大学非常勤講師、とつげき東北です。
今回を初めとして、「まともな仕事をしていく」上で、絶対に欠かせない能力としての「基本的なメール文書」などについて書いていこうと思っています。終了時期は2304年の佐賀オリンピックを目途に考えています。

まず思うことは、これは嫌味ではなく、「世の中の大勢の人が、新卒ならともかく、40歳50歳になってもまともな文書が書けない人がほとんど」という事実です。
これは本当にやばくて、ある種のウンコめいた……失礼。Uめいた怪文書が飛び交うのが旧式の日本企業です(ウンコ、という言葉は不躾なので、今後絶対に使いません)

「たかがメールや文章だろう」と思っている方。
本当に意識を変えた方がいいです。
「キレイに、根拠をつけて、筋道をつけたメール」を書くためには、少なくとも、頭の中に「根拠」や「整理された筋道」ができていなければ不可能なんです。
「キチンとしたメールが書ける」ということは、そのまま、「(一応の)しっかりした根拠」が言えるということだし、「説明してみて」と言われて、順序よく説明できる、ということなんです。文章にできてるんだから、それを口で言えばいいだけ。これができる社会人をほぼ見かけないので、私は愕然としているのですね!(満面の笑みを浮かべながら)

そこで今回、私や、私の友人がやりとりしたもの(まずは今回メールから)について、どう書けばUNKOになるのか、どう書けばUMAKUいくのか、そのあたりを探っていきたいと思っています。(思っているだけで実行しないのは私の習性です!)

ところでみなさんは究極の2択、どちら?

あ、ここで思ったのですが、昔流行った「究極の2択」で、
「ウンコ味のカレー」
「カレー味のウンコ」
どちらが良いか、みたいなのありませんでした?
私は絶対に「ウンコ味のウンコ」を推奨しますね(ドヤ)。
みなさん、覚悟が足りないと思うんですよ。
どうせそこまで追い詰められたならば、極限を求めよ、と思うわけです。
なぜその覚悟もなく「究極」とか言ってるんだと。
そんなの、「まずくてもカレーの方がましだ」で終わるでしょうが。
だから私は皆に「ウンコ味のウンコを推奨」して、私だけはカレー味のカレーを食べますよ。
はい解決!

……なんて話をしたいんじゃなくて、実際の世の中に出てみると、
「文章はうまいけど、内容がへたくそなメール」と
「内容はうまいけど、文章がへたくそなメール」
みたいなものに出くわします。
どっちがいいかは置いといて、とりあえず最悪なのは、
「文章が下手で、内容も間違ったメール」です。
これが意外に、世の中には多いので、みなさまには、そういった「社会人」として生きていくようなことがないように、具体例を交えて解説していきたいというのが今回の趣旨です。

さっそく、実際にあるメール例をみていきましょう。まずはUNKOな例を出してみます。2つほど。もし余裕がありましたら、UNKOなところをあげてみてください。適当に考えてみて下さい。

ウンコ味のウンコメール例

※名前や組織等については架空のものです。
※化学工場で働いている友人(ボルボラさん:note記事『人事評価「並」→「最優秀」に激変! コミュ障のワタシが成功した体験記』)が、以下のようなメールを受け取ったそうです。
内容としては、とある分析装置の手順書(10ページ程度)が決まりと異なる場所に挟まっていたというものです(普通の感覚では分かりづらいかもしれませんが、工場の手順書は厳しく管理されており、勝手に場所を変える等は「危険だからやってはいけないこと」になっているそうです)。

実際に手順書の置き場所のミスを上司から指摘された人がいます(仮名で高橋さんと呼ぶことにします。なお、この人は、ボルボラさんによれば、社内でも超絶仕事ができない人として有名とのこと)。その人が上司に送ったメールが以下です。
何かがおかしいですが、どこがおかしいか、一緒に考えてみてください。レッツUNKOの世界!

タイトル:○○装置の手順書に別の資料が挟まっていた件について
山田課長様

お疲れ様です。
表題の件について、ご迷惑をお掛けし申し訳ございません。

この紙は別の装置の手順書の一枚のようです。
私もこれが挟まっていたとは夢にも思っておりませんでしたが、手順書の中身を確認していなかったと言われれば、確かにそうなので反省致します。
出社次第ご説明させて頂きたいと思いますが、明日は金曜で来週は外部団体の査察がありますので出来れば佐藤部長の印鑑を頂くまでは行っていたい所存です。
可能でしたら、説明(言い訳)は私の出社後にお話し致しますので判子を頂ければと思います。

恐れ入りますが、何卒宜しくお願い致します。

高橋

社会人をそれなりに経験されていたら、既にかなり異様な感じがすると思いますが、では、具体的にはどのあたりがデカいツッコミどころでしょうか?
正解したら、正解するごとに1点ずつ差し上げます!

順番に見ていきましょう。

この紙は別の装置の標準操作手順書の一枚のようです。
私もこれが挟まっていたとは夢にも思っておりませんでしたが、手順書の中身を確認していなかったと言われれば、確かにそうなので反省致します。

まず、「夢にも思っておりませんでした」とありますが、なぜ確認していないのでしょうか。そして、なぜ仕事のメールで夢の話をするのでしょうか。手順書が50ページくらいあるなら1ページ違う紙が挟まっていても分からないかもしれませんが、全体で10ページしかないのに気づかなかったのは、そもそも当該手順書を読んでないように思われます(当たりましたか? はい1点です! ポイントの使い道は私も考えていないので謎ですが、何かしら上手くやってもらえればと思います)。

次です。「手順書の中身を確認していなかったと言われれば、確かにそうなので……」となぜか「言われれば」という条件をつけていますね。
例えば「殺人をしたと言われれば、確かにそうです。悪いことだと思います」とか言うのおかしいですよね。あの、言われようが言われまいが、もとから分かっていたことじゃないですか? 一体何を確認しているんですか?

ともあれ、手順書は言われなくても確認するのが普通であるように思います。1UNKO、ゲットだぜ!

出社次第ご説明させて頂きたいと思いますが、明日は金曜で来週は外部団体の査察がありますので出来れば佐藤部長の印鑑を頂くまでは行っていたい所存です。
可能でしたら、説明(言い訳)は私の出社後にお話し致しますので判子を頂ければと思います。

「言い訳」は本音の部分かもしれませんが、メールの文面でさらす必要のある本音でしょうか。なんで本音バラしとんねん。むしろ相手に悪いように思います(「言い訳」と自認している書類に判子を要求される上の人は嫌がりそうです)。

さらに、同じくボルボラさんからもらった、もうひとつのU-メールの例を見てみましょう。

タイトル:○○装置の定期点検について
島田課長様

お疲れ様です。
標記の件について、ご報告致します。
○○装置の定期点検について直前に期限の注意を受けていたにも関わらず、その確認が遅れ、本日(14日)に確認したところ、12/13が期限となっておりました。

つまり、期限に間に合いませんでした。大変申し訳ございません。
また、試験に関わる皆様にも多大なご迷惑をお掛けし、大変申し訳なく思っております。

これはひとえに私の責任であり、それ相応の罰を受けるのは仕方ないことと考えます。この装置の定期点検は「他の方に頼んだのでしなくて良い」と伺いましたので、本日(14日)は行っておりません。

月曜日はそのことで相談させて頂きたく思います。経緯報告書も提出致します。

いつもご迷惑をお掛けしており、大変恐縮ではございますが、何卒宜しくお願い致します。

加藤

こちらも見ていきましょう。

お疲れ様です。
標記の件について、ご報告致します。
○○装置の定期点検について直前に期限の注意を受けていたにも関わらず、その確認が遅れ、本日(14日)に確認したところ、12/13が期限となっておりました。

この部分はまあいいでしょう。ミス自体はよくないですが、報告としては理解できます。

つまり、期限に間に合いませんでした。大変申し訳ございません。

くどい。
いま言ったことをもう一回言っていますね。口うるさいです。「13日まで」を「14日に確認した」では遅れているでしょうね。世の中の誰がそれを理解できなくて、「つまり……」以下の説明が必要なのでしょうか。

さらにメールは次のように続いています。

これはひとえに私の責任であり、それ相応の罰を受けるのは仕方ないことと考えます。この装置の定期点検は「他の方に頼んだのでしなくて良い」と伺いましたので、本日(14日)は行っておりません。

月曜日はそのことで相談させて頂きたく思います。経緯報告書も提出致します。

「ひとえに私の責任」と何やら「潔さ」みたいなオーラを放っていますが、まさに「ひとえにお前の責任」だわ! 完全に加藤さんのせいだよ!

ついでに、「相応の罰」とは何でしょうか。あまり聞かないですよね。「○○をした者は、■■の刑に処する。」とかどこかに書いてあるのでしょうか。

「まずは軽く爪はぐ」とやればよろしいのでしょうか?
それとも電流、お使いになられますか? 

「そのことで相談」とありますが、何を相談するつもりでですかね。責任が誰にあるかは既に明らかで、問題もその解決策も分かりきってますよね(早く定期点検をしなければならない)。
それでも何か「相談したい」なら、具体的に「爪を何本まではぐのか?」「切腹は勘弁してもらえないか」などの相談内容を書いたほうが良いと思います。

このような酷いメールが世の中たくさんあります。
では、どうすればもっと良いメールが書けるのか、私が不動産会社に出したものを例にして説明したいと思います。

新しい物件を探す「事務的なメール」の例

友人が遠くから引っ越してくる際に、それを手伝っていた東京在住の女性が、1件1件、SUUM●などのサービスを使って間取りを確認し、時には物件に行って疲れ果てていました。
「凸さ~ん、これ面倒なんだけど~」
と泣きついてきました。
なお、相手は、頭の調子が若干外れた28歳の女性です。

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※カスです

「それはまるで並の社会人のやり方じゃねえか! 効率悪い!」
と言って、以下のメールを作成し、「これをその近くの不動産屋にばら撒け」と教えました。仕事術ではなくて文章の書き方noteなので、その「効率化」部分はあまり触れません。

【メール内容】

〇〇不動産株式会社 御中

いつも大変お世話になっております。
●●●●と申します。

突然ではございますが、現在、3月15日頃に入居を希望する友人(成人男性)が、以下の条件で物件を探しています。
御社に、該当する物件がありましたら、ご教示いただければと存じます。

【条件】
・早期に契約可能であること(賃借人は契約時に早期に初期費用を全額入金可能)
・●●駅から概ね1km以内であること
・家賃(共益費を含む)月額7万円以下であること
・1Kで、間取りは6畳程度以上であること
・バス・トイレは別であること
・エアコンの設備があること
・入居時には、敷金・礼金・仲介手数料・保険料 以外の費用がかからないこと
・月々の支払は、家賃(及び共益管理費)のみであること。ただし、災害の保険料が月額納付である場合等、特別な場合は除く。
(■他に条件があったらここに書いて■)
・入退去時の原状回復については、国土交通省「原状回復のガイドライン」に従うこと
https://www.mlit.go.jp/jutakukentiku/house/torikumi/honbun2.pdf


大変不躾ではございますが、該当する物件(又はそれに準ずる物件)がありましたら、間取りやお見積もり、パンフレット等教えていただけますと幸いです。

また、詳細に関してご不明点がありましたら、ぜひ下記にご連絡ください。
お忙しいところ大変恐縮ですが、どうぞよろしくお願いいたします。

氏名
 ●●●●

連絡先
 メール:●●●●●●●●●●●●●●●●●
 電話:●●●●●●●●●●

住所:●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●

【メール内容以上】

このメールがどのようにまとまっていたかを確認してみましょう。

メールテキスト1

メールテキスト2

全体として3つに分けるなら
「入居希望者がいる」
「条件はこうだ」
「条件におおむね一致した場合は、こうしてください。よろしく」

という構成。
こういった「構成力」だけで、メールの質はだいぶ上がります。

はじめに、簡潔な挨拶と概要を書いています。
まず、このメールの相手は比較的事務的に対応する相手であり、要件を簡潔に伝えることが優先されます。また一応、不動産会社にとってこちらは「客」となるわけですから、あまり卑屈な文章を書いたりせずに、「このメールはどんなものか」を即時で伝えています。
ようは「いつ頃入居したい友人(成人男性)が、物件を探している。条件に合うものを教えてください」です。これで相手方は「お、仕事の話だな。契約に結び付くかも……」と、その後ろを読んでくれます。
ここでゴチャゴチャ書いてもむだです。
例えば、3つに分けた内容を1つにまとめて、挨拶文のあとに条件を書き並べると、非常に読みにくいものとなってしまいます。

例えばこんなメールだったらどうでしょうか。

メールテキスト3

ある程度情報が入っているのでギリギリ大丈夫ではあるのですが、ざっと見て、
・このメール全体の趣旨を、最初に読み手の頭に理解させずに条件に進んでいる(「探しているからご紹介ください」と言わずに次に進んでいる)ため、読み手が「次の内容は何だろう」と戸惑っているうちに、情報が流れてくる
・入居を希望する友人の属性がわからない。
・挨拶、お願い事、お願い内容の詳細が1つの文章になっており、「まず何をしたいのか」、「その具体的内容は」がわかりにくい。
・物件の条件を、不動産会社から大家さんにお伝えいただく際などに、整理されておらず、理解させにくい(誤解を与えかねない)。

といったような「雑多な感じ」になります。
このメール単体だけ見たらともかく、先に出した「3部構成」のメールより、ものすごく伝わりづらくなっているのは比較できるかと思います。

「3部構成のメール」とすることで、不動産会社さんは
「ご友人さまが物件を探しているんだな」
「条件はこうか。この条件に沿ったものを探そう」
「探し終わったり疑問点があれば連絡すればいいんだな」
と、3つに分けて理解し、一番手間のかかる「条件部分」に集中することができますね!
私がもし不動産会社の職員だったら、条件がダラダラと文章で書かれていたら、一度「条件」として箇条書きに書き直します。それを最初からこちらで行うことで、「自分たちの条件に抜け漏れがないか」「相手の不動産会社も抜け漏れがないか」の両方を同時にチェックできます。

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