とつき@月の雨

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とつき@月の雨

俳句をやらない人も読んで楽しい俳句鑑賞・句集鑑賞、そして「俳句ってそもそもどうやって味わったらいいの?」ということをできるだけ、わかりやすくシンプルに楽しく伝えていきます。普段俳句に触れない方に向けて、季語や俳句に「ときめく」「読む」ためのワークショップも開催中です!

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  • 季語/俳句ワークショップ

    月の雨開催の、季語や俳句に関するワークショップに関する記事およびご感想記事をあつめたマガジンです。

  • 俳句×短編小説

    好きな俳句をモチーフに、短編小説を書く企画です。

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    句集鑑賞をまとめています。

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    俳句の読み方に関する記事のまとめです。詠む方じゃないです。

  • 俳句鑑賞ログ

    Twitter(現X)の俳句鑑賞ログのまとめです。

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俳句を"読む"人がもっと増えますように

こんにちは。もしくは、はじめまして。三倉十月と申します。 私のnoteでは、誰にでも楽しんでもらえるような形で、様々な俳句や、現代の俳人、そして句集の紹介をしていきたいと思います。誰にでもというのは、つまり、俳句の世界に足を踏み入れていない人たちにもという意味です。 また、俳句の読み方(詠み方じゃないよ!)が、よくわからない方に向けて、とても簡単に読む時のコツをお伝えしてみようと思います。俳句は独自の型があって、それを知ることでより良く句の内容がわかりやすくなると思います

    • 「季語で遊んでみるワークショップ」を開催しました!

      今年の2月と3月に、普段あまり俳句に触れたことのない方に向けて「季語で遊んでみるワークショップ」というものを企画・開催しました。 これまで対面式のワークショップを2回、ZOOMのオンラインワークショップを2回開催しています。これはどちらも自問自答ガールズ(後述)を対象にした内容でした。そして私の同人(オタク的な意味)の友達との会を1回。こちらには我が子も参加しました。これまでに参加してくださった方は、全部で37名になります。(我が子を入れたら38名) 37名の方の中で、こ

      • "かわいい"の世界が、内包する宇宙。句集『鳥と刺繍/箱森裕美』鑑賞。

        【キーワード】 #かわいい #モチーフ #エッジ #エモーショナル #関係性 #お菓子 #観劇 #ファンタジー #創作 #日常 #現代 #文語体 #口語体 #旧かな使い 箱森裕美さんは1980年生まれ、栃木出身の俳人です。『鳥と刺繍』は、2023年に私家版句集として発行されました。文庫本サイズで、フルカラーカバー付き。カラフルな刺繍のステッチで世界観を表現している素敵な表紙は、nacochi designさんによるものです。ポケットに入れて持ち歩けるサイズのかわいい一冊です

        • 俳句×短編小説「またたき」

           チタはヨヨの手の中にある二つの小石を見ていた。一つは三途の川の上流のように清々しい青で、一つは業火のごとく赤い。どちらも僅かに光っている。 「仕事っても難しいこたぁない。これを探すだけさ」  ヨヨは鼻の下を擦って言った。 「一体どこにあるの?」 「どこにでもある」 「どこにでも……?」  しかし二人のまわりには黒い岩がゴロゴロとしているだけで、視線を広げてもどこまでも黒い平野が地平線まで伸びていた。東側には一直線に、世の果てである断崖から、業火が燃え上がるのが見える。そう。

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          花も仕事も性器のことも、分け隔てなく。句集『汗の果実/松本てふこ』鑑賞。

          【キーワード】 #冷静 #シニカル #日常 #食べ物 #花 #性器 #青春 #学校 #会社員 #仕事 #現代 #旧かな使い #文語体 松本てふこさんは1981年生まれ、2019年発行の『汗の果実』が、第一句集となります。現代の東京を生きる会社員、という属性は私と大きく変わらないはずなのに「え、そんなことも句になるの?」というような、日常の中の当たり前すぎて目に止めなかった素材や、「え、そんなふうに詠んでしまっていいの?」というような、日常の見え方がガラリと変わるようなことを

          花も仕事も性器のことも、分け隔てなく。句集『汗の果実/松本てふこ』鑑賞。

          俳句の"読み"方②口語体/文語体&新かな/旧かな

          俳句を読んでいると、いろんな表記や文体があることに気づきます。 この記事では、(あまり俳句を読み慣れていない)読み手としての目線から俳句の文体と、表記(かな使い)について、簡単に説明してみようと思います。なお文法などの難しい話は全く出てこないのでご安心ください。 いろいろな俳句の文体/表記 例として、手持ちの句集や雑誌に掲載されていた句などから、さまざまな表記・文体の句を並べてみました。 すっと読める句と、一読では少し難しい句が混じっています。 特に、旧かなの俳句は普

          俳句の"読み"方②口語体/文語体&新かな/旧かな

          俳句鑑賞ログ③

          某倉庫型家具店で毎年売り出されるクリスマスツリーの生木を一度だけ買ったことがある。ネットでぐるぐるにされ大量に積まれて選ばれて、東洋のすみっこの家々でささやかな聖樹となる。モミの芳香が強くて、遠い静かな森から脈々と続く命を感じた。 街並みが違うだとか、行き交う人たちの姿が違うだとか、食べ物が違うだとか、そうしたことよりもむしろ鼻をかむ音で気づく”異国”の生々しさ。それは多分命が立てる音だから。少し驚いた心も、少しずつ深くなる雪がやわらげてくれる。ゲズントハイト! 十二月の

          俳句鑑賞ログ③

          此処と何処のはざまで、酩酊する言葉たち。句集『地球酔/土井探花』鑑賞。

          【キーワード】 #ポップ #怖かわいい #面白い #色彩豊か #少し不思議 #サブカルチャー #アニメ #人間関係 #風景 #旧かな使い #口語体 突然ですが、MOTHER2というゲームをご存じでしょうか? 90年代中頃に流行ったRPGゲームです。このゲームの中にムーンサイドという町が出てきます。フォーサイドという明るくて都会的な町にいるはずなのに、とあるきっかけで、世界が反転したように、夜の町ムーンサイドになってしまう。ここは同じ町のはずなのに、何もかも違う。「はい」が「

          此処と何処のはざまで、酩酊する言葉たち。句集『地球酔/土井探花』鑑賞。

          俳句の"読み"方①一物仕立てと取り合わせ

          俳句の"読み"方の記事では、知っておくとより俳句が読みやすくなる基礎的な事柄をいくつかお伝えできればと思います。詠み方(作り方)で調べても同じような情報は出てきますが、こちらの記事では"読む"視点で書いておりますので、その辺りはどうぞご理解ください。(作る、のおすすめコンテンツも後半載せております) さて、俳句の型は、シンプルに分けると、二種類あります。 俳句の初心者向けの作り方のドリルなどを見ていると必ず出てくるのがこの俳句の型の違い。まずは読んでみるという場合は、この二

          俳句の"読み"方①一物仕立てと取り合わせ

          いのちの健やかな肯定と、俳句への信頼。句集『すみれそよぐ/神野紗希』鑑賞。

          【キーワード】 #健やか #かろやか #誠実 #俳句愛 #アラサー #恋愛 #結婚 #妊娠出産 #育児 #口語体 #新かな使い 1984年生まれの神野紗希さんは、若手俳人の中でも最も活躍されている方のうちのお一人です。口語体で、ひと世代前の俳句では(少なくとも主流派の中では)あまり使われてこなかった、カタカナの言葉、現代的な言葉を気軽に取り入れつつ、まっすぐで素直な作風で、瑞々しい詩情あふれる世界観を編み出しています。 神野紗希さんの句は多くのアラサー前後の女性にとって

          いのちの健やかな肯定と、俳句への信頼。句集『すみれそよぐ/神野紗希』鑑賞。

          俳句鑑賞ログ②

          「かしらん」と口にする男で最初に思い浮かんだのは漫画ののび太くん。昔の小説や漫画にはけっこう「かしらん男子」がいる気がする。のどかな感じがして好き。ドラえもんの青さと冬の青が重なる。 ざらざらしてどこかあたたかい手触りの布地。色味は少なくてコントラストも穏やかな大きな布をイメージした。目の前にあるの草も木も山も枯れて寂しい風景に、手触りのある"冬という大きな布"が覆いかぶさっているような優しい質感を感じる句だ。 滝壺に触れることは難しいし、滝壺を聞き分けることもできない。

          俳句鑑賞ログ②

          色んな人の俳句を読みたいと思ったら、アンソロジーを読もう!『天の川銀河発電所 Born after 1968 現代俳句ガイドブック/佐藤文香 編著』

          色んな素敵な俳人がいて、色んな句集が出ているのもわかったけど、そんな一気に全部買えないし、どう探したらいいのかわからないよ😔、と思ったそこのあなた。 とてもおすすめの俳句アンソロジーがあります。 2017年発行『天の川銀河発電所 Born after 1968 現代俳句ガイドブック』です。 若手俳人の佐藤文香さんによる編著です。 何を隠そう私もこちらのアンソロジーでたくさんの素敵な俳人を知りました。詩客の俳句時評や、Twitterでの俳句鑑賞を書く時なども、本当にお世話に

          色んな人の俳句を読みたいと思ったら、アンソロジーを読もう!『天の川銀河発電所 Born after 1968 現代俳句ガイドブック/佐藤文香 編著』

          俳句鑑賞ログ①

          Twitter(現X)でツイートしていた鑑賞のログです。10句ずつ、不定期に追加していきます。 鉄格子の門の向こうに無花果がたわわに生っていて、つい手を伸ばす景。あっさりと詠んでいるけれど、白い手首の内側の血管とむちっとした赤黒い無花果の対比に生々しい生を、鉄格子の冷気で手首の内側がひやりとする感覚は微かな死を想起させる。 料理を始めた頃「適宜」や「少々」に「わからん!」と本気で腹を立てていた。いつの間にか適当にできるようになったが、それは料理への苦手意識が消えた時期と同

          俳句鑑賞ログ①

          自己紹介をします。

          三倉十月(みくらとつき)と申します。 1980年生まれ、東京出身。都内で会社員をしていますが、最近はリモートワークなので基本家にいます。10月生まれではありません。 俳句を始めたのは2020年です。それまでの趣味であった同人活動からも卒業を決め、コロナ禍で飲みにも行けず、お出かけもできず、何か新しいことを初めてみたいなと思っていた矢先、漫画『ほしとんで』を読んで、俳句おもしろそう!やってみたい!と、この世界に足を踏み入れました。 2021年の春より、俳句結社「炎環」に所属

          自己紹介をします。