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不登校先生

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2021年の春に「うつ病」になりました。 15年間小学校の講師として働き、 この年もそのまま働くだろうと思っていた時に 突然自分にやってきた「うつ病、退職、療養の日々」について、…
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#親友

不登校先生 (1)

不登校先生 (1)

・・・・まもなく、貨物列車が通過します

      黄色い線の内側にお入りください・・・・

まもなく、貨物列車が通過します・・・・・

    ・・・黄色い線の内側にお入りください・・・

沈み始めた夕焼けの色が、貨物列車の赤色と重なる美しさで、

「もう思い残すこともないな、この駅に」

そんな思いが湧いてきて、体がどう動いていたか、覚えていない。

赤が紅になって、目の前一面が真っ赤になり

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不登校先生 (15)

不登校先生 (15)

助けてくれたのはもう一人の自分だけか。

実際に、一人でここまで何とか踏みとどまるのは、

本当に一人だけでは、無理な事だった。

3人の親友。

3人の親友に助けられた。落ちそうになる自分の腕を

引っ張り上げて落ちていくのを何とか救ってくれた。

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

一人目のゆかさんは、僕に心療内科を紹介してくれた親友。

昨年度1年間一緒の学校で働いた、栄養教諭の

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不登校先生 (16)

不登校先生 (16)

救ってくれた二人目の親友は、ケンちゃん。

大学時代の同級生で、こちらは20年来の付き合いがある長い友人。

ケンちゃんは僕と同じく、学校の現場で働いている教員だったが、

僕が病んで不登校になる半年前に、

赴任校の管理職からのパワハラで、相当なストレスの末、

うつ病診断で病休→休職中の、不登校先生仲間でもあり、

不登校の先輩でもあるともいえる親友だ。

「ホームから飛び込みそうになったよ。

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不登校先生 (17)

不登校先生 (17)

不登校先生になっちゃうかもしれん。

家に帰って最初に冷静に電話をかけたのは、

実は、ゆかさんでもなく、ケンちゃんでもなく、3人目の親友。

たてなくんだ。

彼は大学生時代に出会った親友。説明するとなんだか不思議で縁深い。

大学時代は一つ下の後輩だった。

学部は違ったのだが、僕がアルバイトをしていたコンビニエンスストアで

深夜勤務をしていた同僚の部活の後輩でもあり、

アルバイトの後輩と

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不登校先生 (61)

不登校先生 (61)

「じゃあ20日からお世話になるよ。」

電話で話していた相手は、高校時代からの親友、たけっさんだ。

たけっさんとは、お互い親元を離れての下宿生活で、

同じ釜の飯を食った仲で、3年間ずっと一緒にいた友だ。

高校時代の親友は、他にも、

こうちゃん・なおちゃん・ちゅうといった仲間がいて、

それ以外にも、ななさん、ちーさん、さっちゃん、などなど。

実は高校の時の僕らは、だいぶ特殊なクラスで、2

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不登校先生 (62)

不登校先生 (62)

今回の帰郷。

個人的な目的は、自分の心の回復度合いの確認をしたかったのと、

故郷で元気をもらいたいということなのだが、それを踏まえたうえで、

会いたい人、行きたい場所がいくつかあった。

まずは、来年米寿になる恩師が「終活を始めた」ということで、

生きているうちにちゃんと顔見せに戻っておこうという目的。

気付けば僕ももう40過ぎて後厄の年、恩師も歳を取る。

コロナ禍はリアルの再会を大き

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不登校先生 (63)

不登校先生 (63)

九州新幹線で1時間半。家からトータルでも2時間半。

鹿児島中央駅に到着した。

「ただいまぁ。」

改札を出たと同時に、思わず口からこぼれる。

まだたけっさんとは合流していないのだが、やはりこの場所に足をつくと

「来た。」「行った。」ではなく、「帰った。」という思いになるのだ。

帰郷とはそういうものかもしれない。

18でこの地を離れた僕にとって、

鹿児島中央駅はどれだけグレードアップし

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