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戦略PR 世の中を動かす新しい6つの法則

こんにちわ、あさおと申します。
とあるファッションブランドでデジマや越境ECサイトの運営なんかの仕事をしています。

ここでは1冊の本を読んで、学んだこと・実践できそうなことなんかを自分の思考整理も兼ねて、語っていきます。
単なる書評にはならないように、マーケティングやECサイト運営、越境ビジネスなどで使えそうな切り口で、日々の仕事にすぐ使える形にしていくつもりです。


今回は、「戦略PR 世の中を動かす新しい6つの法則」という本について。

この本では、「属性順位転換」という考え方を得られたのが大きな収穫でした。

いきなり「属性順位転換」と言われてもなんのことだかさっぱりですが、PRに限らず、マーケティングや営業などさまざまな職種で持っておいて損はない視点だと思います。

これは、要するに”いいものとは何か”を再定義するということです。

具体的な例を本書からお借りすると「ドライブに行きたい!」という消費者ニーズがあるとします。
この消費者ニーズの大きな括りを変えるのは難しいです。

ところがそれに対して、「ハイパワーで見栄えのいいクーペを!」、「子どもたちが楽しめる広い車内空間を!」、「家計や環境への低負荷を!」というより具体的なニーズは変えることができます。

今まで「燃費なんか関係ない!車はかっこよさが全てだ!」と考えていた人が、なにかをきっかけに「これからの時代はエコだ!家計にも優しいし一石二鳥!」と考えを変えることは十分にありえるでしょう。

これらの具体的なニーズ、つまり属性の順位を入れ替えることを「属性順位転換」といっています。

この「属性順位転換」を起こすこと、つまり”いいものとは何か”を再定義することで、新たな「買う理由」を生むことができるのです。

この考え方を持つことは、PRや広報はもちろん、マーケティングや営業など分野でも、成果につながる施策のヒントを与えてくれるでしょう。

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何事もまずはゴール=目的を明確にする必要があります。
では、PRの目的とは一体何でしょうか?

本書の中では、PRの究極の目的はビヘイビアチェンジ(行動変容)であるとされています。

どのように行動を変えてほしいかは、色々なパターンがあるにせよ、ビジネスにおいては最終的に自分たちの商品を購入してほしいとなるはずです。


情報洪水と消費飽和の時代には、商品そのものの差別化はおのずと難しくなる。「物欲」のあり方も変わる。生活者の可処分時間の取り合いが激化し、「敵」は同一カテゴリー内のライバルとは限らない。だから、商品やサービスそのものよりも「買う理由」のほうが重要になっていく。

上記は本書からの引用だが、このような現代の状況では、何かを買ってほしいときに、商品のマインドシェアよりも「買う理由」のマインドシェアに注視すべきです。

そこで「買う理由」へアプローチとして、前述の「属性順位転換」の考え方がでてきます。

つまりPRとは、”いいものとは何か”を再定義することで、新たな「買う理由」を生み、ビヘイビアチェンジ(行動変容)を起こすことであるといえます。


この戦略PRを実行していくのに役立つ要素として、題名にもある6つの法則が紹介されています。

それが、

1.「おおやけ」の要素 -- 「社会性」の担保
2.「ばったり」の要素 -- 「偶然性」の演出
3.「おすみつき」の要素 -- 「信頼性」の確保
4.「そもそも」の要素 -- 「普遍性」の視座
5.「しみじみ」の要素 -- 「当事者性」の醸成
6.「かけてとく」の要素 -- 「機知性」の発揮

の6つです。

では、1つ1つの要素についてみていきましょう。

まず、「おおやけ」の要素です。
最初に挙げられるだけあり、本書でも”戦略PRにまずもって重要なのは、「社会性」である。”と述べられています。

この要素において、重要なポイントは2つあります。
それは、「社会インサイトの見極め」「ソリューションの有言実行」です。

「社会インサイトの把握」には、グローバルとローカルの視点の両方が必要になるということに注意が必要です。
世界で共通の課題意識と、その地域や文化で共有されている課題意識をそれぞれ考えなければならないのです。
この辺は、マーケターには当然の内容かもしれませんね。

「ソリューションの有言実行」は、口だけにならないようにしっかり実行を伴ったものにしましょうということです。
その課題を解決するのがなぜ自分たちなのかを示すと共に、実際に解決策を実行することで、本当の意味でのPRとなります。

「おおやけ」のポイント
1.社会インサイト=世の中の空気を読むことが重要。その際に、グローバルとローカルの差を意識する。
2.「おおやけ」な課題を解決するのがなぜ自分たちなのか。その「正当性」があり、具体的なソリューションが用意できていることが大事。


2つ目は、「ばったり」の要素です。

人は偶然に出会ったと思えるものに惹かれるものです。
それは広告やPR、ひいては商品でも同じことが言えます。

たまたま立ち寄った店で、たまたま手にとった商品がいい商品だったら、テンションが上がる人が多いと思います。

これを狙って引き起こそうというのが「ばったり」の要素です。
自然なかたちで出会った(と思える)コンテンツ、偶然に見つけた(と思える)コンテンツ、というのを意図的に演出するわけです。

「ばったり」のポイント
1.情報洪水・行動ターゲティングの時代だからこそ、「ばったり(情報接触の偶然性)」が生活者の受容性を高める(ばったりエフェクト)


3つ目は、「おすみつき」の要素です。

「おすみつき」とは、誰かからオススメしてもらうということです。
その誰かとして現代ではインフルエンサーを有効に活用していく必要があります。

この要素では「ステマ」とみなされないように注意が必要です。
本書では、そのためのポイントは「何に対して対価が発生しているのか」ただひとつとされています。

「おすみつき」のポイント
1.「おすみつき」とは第三者の「支持」や「推薦」。それを与えるのがインフルエンサー
2.影響を与えてはじめてインフルエンサーであり、その起用や活用法は自由に発想すべき


4つ目は、「そもそも」の要素です。

「そもそも」とは、縦の時間軸で時代の流れを見る視点です。
しかし、この視点はものすごく潜在性が高いため、リサーチをしても見つけることができません。

問題意識を持ち、世の中をさまざまな角度から見て、試行錯誤を重ねていくしかありません。

「そもそも」のポイント
1.世の中に大きな「そもそも」=普遍的な問いかけをすることで、同時多発的な気づきを喚起する
2.社会で表面化していない、潜在的「みんながそう思っていること」をねらう
3.「そもそも」は普遍的な原点回帰。その「周期」を見極めてPRを仕掛ける


5つ目は、「しみじみ」の要素です。

この要素は、消費者の感情に訴えかけるということです。
感情に訴えかけることで、自分にも関係があることだと当事者意識を持ってもらうことが狙いです。

そして、これなくしてビヘイビアチェンジは起こりません。
そのしみじみ感をつくるためのキーワードが「ストーリーテリング」「自己投影」「インサイト」です。

情報を物語化して伝える→その物語に自己投影をし自分ゴトとして感じてもらう→それがインサイト=潜在的な本音と結びつく

という流れでしみじみ感をつくっていくわけです。

「しみじみ」のポイント
1.「しみじみ」させるとは、感情を揺さぶり、当事者意識を持たせること。自己投影できるストーリー性が必要
2.人を動かす「しみじみ」は、その人が持っている潜在的な本音(インサイト)と密接である


最後が、「かけてとく」の要素です。

ここは個人的に実際行うのが1番難しいと感じた要素です。
この要素は「やられた!」という印象を受け手に与えるということです。

その目的は、「受容効果」「共有効果」を得るためとされています。

「受容効果」は受け手の心を開いた状態にしてくれる効果のことです。
「共有効果」は受け手が「やられた!」と感じた内容を他者へも広めてくれる効果のことです。

PRに限らず、マーケティングにおいてターゲットを「レセプティブな状態(受容性の高い状態)」にしておくことは非常に重要だ。たとえそれが素晴らしい商品情報やメッセージだとしても、受容性のない状態で発信しては届くものも届かない。どれだけ相手が「心は開いた」状態で伝えるか。それが勝負だ。あらかじめターゲットの受容性を高める方法論はいつくかあるが、「やられた!」という感覚を最初にもたせるのも有効な手段。理屈ぬきにそれを高める効果があるわけだ。

とくに「受容効果」の方は、マーケティングでも重要だと本書でも上記のように述べられています。

「かけてとく」のポイント
1.PRにおけるクリエイティビティとは、「状況を的確にとらえた、機知性をもったリアクション」である
2.「やられた!」という反応を与えることで、ターゲットの「受容効果」と「共有効果」が高まる


では、この本から得られることで、明日の仕事からすぐに活かせることはなんでしょうか。

それは、やはり「いいものとは何かを再定義する」という視点をもつことです。

本書で紹介されている6つの要素を利用して、自分たちに有利になるような属性順位転換を起こすことを狙いましょう。

具体的には、それぞれの要素である「社会性」「偶然性」「信頼性」「普遍性」「当事者性」「機知性」を満たすことを意識しましょう。
それこそSNSでの投稿ひとつからでも、改善していくことができます。

いきなり全ては無理でも、1つずつ身に付けていきましょう。

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