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潮井エムコ
2021年2月9日 23:56
先生とは卒業してから10年ぶりに連絡を取る。沢山いる生徒の中で私のことなんか覚えていないだろうと、諦め半分でメッセージを送ってみたが返事はすぐに来た。「お久しぶり、もちろんおぼえていますよ」思わず声が漏れるほど嬉しかった。状況が状況なだけに文章で説明するととんでもない時間と長さになりそうだった為、電話でお話しできないかと尋ねるとすぐに先生から着信があった。震える手でスマホを握る。「
2021年2月2日 19:11
数学や英語、古典といった勉強が大嫌いな私にとって、副教科は学校生活において最高の気分転換だった。そもそも副教科のほとんどは美術で占められていた為、3年生にしてようやく始まった家庭科の授業はクラス中が楽しみにしていた。家庭科の先生は笑顔のかわいい温和な女性で、私は彼女のことをすぐ好きになった。家庭科室に集められた私たちに先生は言った。「今からみなさんには結婚をしてもらいます」皆が口
垂直居士
2021年2月27日 23:16
今年の誕生日を迎え、私は、私を産んだ母が死んだときの年齢となった。以下には、その母にまつわる思い出と感傷を、ただ思いつくままに書いた。 母は、私が中学校に入ってすぐの4月に亡くなった。白血病だった。死の一年以上前、突然体調を崩して倒れ、長期入院したのち、一度回復して退院したものの、すぐに再発して再入院し、自宅から車で30分ほどの場所にある病院で闘病生活を送っていた。亡くなった当日、学校から帰