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書評

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2020年1月の記事一覧

書評「渦 妹背山婦女庭訓 魂結び」 大島真寿実

書評「渦 妹背山婦女庭訓 魂結び」 大島真寿実

この小説は面白かった。少なくとも、副題にもなっているこの妹背山婦女庭訓が大当たりになったところまでは、かなり面白く読めたような気がする。やっぱり、こういう立身出世もの、レベルアップものは、スラムダンクとかもそうだと思うけど普通に面白いよね。

自分の好みとしては時代劇ものだとか、それから関西弁が出てくるものというのはとっつきにくいという印象を持っていて、だからこの本なんかは普通に書店に並んでいるだ

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書評「むらさきのスカートの女」 今村夏子

書評「むらさきのスカートの女」 今村夏子

正直なところ、この作品を読んで何の感慨もなかった。これは、面白いのか?これを読んで賞を与えた人というのは、いったい他の読者に対して何をここから読み取ってほしいと思って賞を与えたのか?確かに力の入らない小説で、前の作品ほどは暗くはない。しかし、何が言いたいのかよくわからなかった。

こういう読み物って、何か特別な読み方があって、それに沿わなければ楽しめないものなのだろうか。読んでいるこちら側が、この

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書評「熱源」 川越宗一

書評「熱源」 川越宗一

新しい小説を久しく読んでいなかった。新しい長編小説を読むにあたっての一番の大きな課題はその選択である。特に、ある決まった時期に、「小説を読む」ということだけを決めていながらどれを読むかを直前まで決めていなかったような場合は、その選択は非常に大きな問題となる。そこで、今回は昨今受賞作が決定したばかりの直木賞と芥川賞との受賞作品を選んでみることにした。これがうまくいけば、今後、「楽しむためだけに読む本

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