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川光 俊哉 Toshiya Kawamitsu
2019年2月25日 19:28
春昼あかるく しずかな 道をゆきみつあみ ねじれた 人とゆき全存在を道草に投げ捨て 川で休む午後あくびするにもじゃまなものチーズを噛んだまっくろなわたし わたしが大きすぎもっと うつろになれたならつばを吐いても 爪 のびてもう日が落ちる さようなら血が頬 つたう まだ まだ 重い枝にとまって 雲を食べ雨をふらせて 海の底やっと やすらかな ふたりの時間
2019年2月22日 22:47
灯台へまたたくうちに根をはってかげろう つむじにただよわせマストは立った ゆっくりと痛ましいほどつつましく散歩するのも許可制でソファに沈めば 足が出てまた怒られる ひとりきり誰も知らない 鈴の音くちびる 寒く 波に塔あたたかくして 息をとめ本をならべる ほほえみ 浮かべ葉脈 なぞって 日が暮れてかわいいだけではゆるされずなにを売ろうか あきらめようか
2019年2月21日 12:53
戦慄遠い いなずま 耳 すましつめたい手をした破壊者が花粉にさらされ もう 悪夢こうのとり 飛ぶ 空 見たかかろやか 廊下で踊ったかつかみどころのない めまい助けてほしい 思い よせあらゆる あこがれ ひとしずく氷河期ならば 物質でもうじき 虚像 おしのけてときに醜悪 でも ここにあるほのかな 気配 つなぎとめ正午 二都 とかげ ふるわせて袖のレースをふるわ
2019年2月19日 19:10
雨やどり前髪 ばらばら のびすぎたいつものように切りそろえぼんやり地上で雨やどり形成される 凪 こがね聖なる 野ばら のぞみなき明滅 きれぎれ めくるめく縦 横 ななめ 万華鏡心 しめつけ 目の前の数字 点線 ただ おそれ背ものびるのに 未完成待ちこがれたもの ざわめき 慟哭閉じこめられた みどり色あせり いらだち あきらめて川を渡れば 立ちあがれ 骨
2019年2月17日 11:52
火炎樹気をつけしたら しばられて飛べない鳥のように 行くゆっくり広がる 祝福にあなたはつかまる 時間 とめふたたび生存することをゆるされ 茎に 傷 つけて誰かのための あかり 手に「ここに」「ここで」と待っている大きな心に身をゆだね咆哮するなら崖の上しあわせすぎて すべて うしなう小石のようなあの人がきちんと 夕日に 顔を向け背負って 影を 光と影を
2019年2月16日 15:23
北風白に 灰色 同じ血のかなしみ 顔を寄せ よそ見愛撫の餌食 糸をたれ今年最初の影を踏み取り残されても 悪口に幼虫 少しも痛がらず小柄で 地味な そのかたちまるで 新品 その寡黙泡もはじけて 人々の寝しずまるころ ささやいたとぎれとぎれの 黄色いひびきあなたは かかし トルコ石みにくい まるい 存在にくつ下 はかせ これで安心
2019年2月14日 11:42
砂山住むものあなたを解毒し 救うにはまっすぐ 家路 しめすにはこんな光で十分でこの日 一日 屋根の上心 ひそかにあこがれた臆病者のまなざしに裏庭 どんなに はなやいで色とりどりに ころび 起き白日 傘 さすことでしょうもしも 夜 坂 振り返り採集されたら 枯れはて おしまい繰り返される正当化あなたがのぞんだ真実をシーツで隠して こわがらせるには
2019年2月12日 17:21
遊びたい大気 ふるわせ かたわらでかたちづくられ すすり泣く呼ばれた気がしたから ここに存在したのに 本当の意味をみとめてもらうには長い時間がかかるからゆうべ 水玉 今朝 アーミン理由はひとつ 遊びたいとがった耳で バナナ つみなんて不思議な遠近法ナイチンゲール 香水 ブーツかたくにぎった手のなかで目をぎらつかせ がんばって停電 照らす あなたの本能
2019年2月9日 12:39
待合室眉は木の上 いけにえの無力 噛みしめ 三角錐ゆがみ 共存 ハイビスカスつらら さしのべ 人見知り近づく みみずく やどる 火にめぐみはインク きよらかな水滴 みだれ 白熱しこんな光景 見たくないあわれみなんて 表面につづる 神聖文字 器官なんて孤独な シーソー 悲鳴誤解の言い訳 明白で追いつめるから 恐怖症かたちにすぎない あなたはあなた
2019年2月5日 21:04
すれちがいうす目をあけた 貧血に水銀 洪水 流しこみおりしも 雨季で 泣き虫でうるおう 双心 手遅れだ鈴のひびきは残酷でどこへ行っても見つかって急いで合図を追いかけて木陰に忘れた赤えんぴつ朝食までに出会えない星占いの練習におびえた 子供のころの空 抱きめぐる あなたは から から とよどんで にごって さよならだおいで おいで と うららか 光
2019年2月4日 14:25
※ ストックがなくなりました 次からは新作1篇ずつの発表です 航海記おさない心にひそむもの上から見たらまんまるだおじぎをしたら 針の山べっこう飴でも投げあたえまた やせた首 自販機にうっかり 背中をあずけたら分解されて 床に糸深遠なるもの ドラム缶ポストの森で迷っては母の名前もあやふやで何度も練習 かさねて 受精ひまわり かたどり 切りとった見知らぬ世界に
2019年2月3日 19:06
光合成わたしの体は欠けていて明暗 あざやか ここに谷ひとり 立たされ 英雄のあかしにもらった風ぐるまわたしの正面 熱気球夕日 讃える人々の聖なる結合 緋のころもあざやかすぎてうそみたい膨張させても貯水池で脳みそに血がまわらないこんなに わたし 自分を殺しおみやげだけでもわたせたらもっと会いたくなるでしょう感覚 カラス 宙吊り 木馬 初夏の候生まれて
2019年2月3日 03:29
監禁明日 ください 忘れずに本を片づけ 正座してあなたを待っていますから窓からのぞいてみてくださいともしび ささやか 好き嫌い悪化していく 露をなめ遠ざけ 近づけ 抱きよせて縫合するなら 冒瀆で再会ならば 敬虔で季節にさらされ おもかげを書き換えられない わたし 元気でだまってください もう二度と返事を期待しないからあなたはあなたの復讐 はたして 最悪
2019年2月1日 22:02
球根やわらかい芽をたたえてもアンテナ 豊穣 問いかけるその声 ほろぼすこと できずマリーゴールド 揮発性あなたとちがう顔をして生まれたわたしが帰る家欠けては落ちる 手をこばみ皮膚はだんだんかたくなる嫉妬深いと怒られて刃物を植えつけ まぶしくてかたち 変えれば 悪意も美徳抵抗する気もない 祈り磁場は膨張 もう 折れる深い眠りの最初の呼吸 ピンクブラン