監禁のコピー

詩 236〜240

  監禁

明日 ください 忘れずに
本を片づけ 正座して
あなたを待っていますから
窓からのぞいてみてください

ともしび ささやか 好き嫌い
悪化していく 露をなめ
遠ざけ 近づけ 抱きよせて
縫合するなら 冒瀆で

再会ならば 敬虔で
季節にさらされ おもかげを
書き換えられない わたし 元気で

だまってください もう二度と
返事を期待しないから
あなたはあなたの復讐 はたして




  最悪

蛇口をひねれば白い泡
顕花植物 よろこばせ
なんになるの と 怒っても
わたしはわたし あなた 無知

否定の産物 結晶体
存在しない栄養素
沈下するのをみとめない
心やさしい あなた 埋め

目つきでばれた 純潔は
罵声でごまかし でも 凍死
透明人間 あまりにも 嘘

香炉のなかに閉じこもり
やっと と つぶやき 肺 破裂
全員 最悪 わたし しかられ




  繚乱

夜道をゆけば血もぬるむ
灰色嫉妬 分裂し
マント なびいて いつも 蛇
起きるべくして起きる 思惟

腐敗するのに不死だから
かならずそこに錯覚が
幻滅が まだ 蔓延し
狂喜しながら定義する

見覚えのない太陽が
人質にする子供たち
けだるい日々に恩寵を乞う

再読 うながす原因は
客観的には分からずに
曼荼羅 繚乱 強制終了




  風見鶏

雑草 からまり 泣きくずれ
天使がみちびく特異点
一縷の望みも裏切られ
あわてて 蹴った 雪だるま

あとのまつりのシルエット
あなた 華麗に ゆるやかに
叡智と呼ばれる存在に
かたちを変える いまや エゴ

処方するならカルシウム
ガスか ニッケル また 炭素
あどけない 口 交換したい

あてにならない風向きに
期待したのが馬鹿だった
笑って へつらう わたしは無傷




  巡礼

歩きつかれて 遠い国
みずから求めた その摂理
トランジスター 針の山
予感とともに墜落し

やっぱり琥珀 いつわりの
よく似た白と黒のしま
自縄自縛のアラベスク
おのぞみならばロマネスク

思いあがったはかない手
あなたのせいで背負わされ
タブーと呼ばれた 最後の晩餐

告白なんて放棄して
標高七〇五メートル
けがれた顔を洗うには まだ

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