着古したコットンTシャツを、新品のTシャツに生まれ変わらせる
こんにちは、ファクトリエ代表の山田(tocio_yama)です。
ファクトリエは、「語れるもので、日々を豊かに」をミッションとしています。日本各地のこだわりを持った工場と一緒に、語れる(=ストーリーのある)洋服を作り、心の温度を高めるブランドです。
長く使って頂くために・・・
①トレンドではなく普遍的なベーシックなデザイン
②ずっと愛用できる高い品質
③誰かに話したくなる、ユニークな技術による機能性
を大切にしています。
今日は、新しく発売した日本初の「水平リサイクル(循環)したオーガニックコットン100%Tシャツ」について書きます。ファッション業界にとって、チャレンジングで、初の取り組みです。
1.ファッション産業は、石油の次に2番目に環境汚染してる
(一昨日、2021年8月29日の記事)
洋服は、原料調達から製造、輸送、廃棄に至るまで多量の二酸化炭素(CO2)を排出し、水を消費しています。そのためファッション産業は石油産業に次ぎ、世界で2番目の環境汚染要因と言われています。こちらは環境省の作った「サスティナブルファッション」の資料です。
国内における供給数は増加する一方で、衣服一枚あたりの価格は年々安くなり、市場規模は下がっています。傾向として大量生産・大量消費が拡大しているとも言え、衣服のライフサイクルの短期化による大量廃棄への流れが懸念されます。
原料となる植物の栽培や染色などで大量の水が使われ、生産過程で余った生地などの廃棄物も出ます。服一着を作るにも多くの資源が必要となりますが、大量に衣服が生産されている昨今、その環境負荷は大きくなっています。
(環境省HPより引用)
服がごみとして廃棄された場合、再資源化される割合は5%程でほとんどはそのまま焼却・埋め立て処分されます。その量は年間で約48万トン。
この数値を換算すると大型トラック約130台分を毎日焼却・埋め立てしていることになります(手放された服の約20%しかフリマアプリや回収などを通じ、古着としてリユースされていません)。
CO2排出、水消費に対して、原材料の調達・輸送が90%以上を占めます。
コットンのリサイクル(原料の再利用)については例が無いようでした。
それほど、コットンを糸、生地に戻すことは難しい、コストがかかり過ぎる(=捨てて新しいものを作る方がコストが圧倒的に安い)というのが業界の考え方でした。
実現するためには何を解決すれば、できるのか?
2.「生地から生地を作り出す?!」 逆転の発想
今ある素材の中から選ぶだけでなく、根本解決をしたいと考えていました。
考えた末に思いついたのが、「生地を綿に戻すリサイクル」。水平リサイクルとも呼ばれ、使用済製品を原料として用いて同一種類の製品を製造するリサイクルのことを言います。
→使い古した生地を、「綿に戻す」ことがでないだろうか?
そうすれば、綿の海外からの輸入は不要になるし(輸送コストもなくなる)、綿からどんな糸でも作ることができる。これが、最もエコではないだろうか?
私が訪問した700工場の特徴を改めて見つめ直し、機能別に分けていきました。そうすると、課題のほとんどが、工場間の連携によって解決できることが見えてきたのです。
「これはA工場ができる」「ここはB工場で補完」「これはC工場で」など、これまでの工場ネットワークから、どの機能をどの工場に依頼すればできるのかを考え、数珠つなぎで、それぞれの機能を持った工場を繋いでいきました。
こうして、「お客様が使い古したTシャツを送ってもらえれば、再度Tシャツに戻る」という大きな循環サイクルができました。
3.オーガニックコットン100%の”循環”Tシャツ
素材は、世界基準(GOTS)取得のオーガニックコットン100%。
オーガニックコットンの生産に必要とされる淡水は、従来のコットンに比べ91%も少ないとされています。その分だけ、取水している河川や湖沼の水量が維持され、環境が保全されることになります(WWF-JAPANより引用)
今回、オーガニックテキスタイル世界基準(GOTS)を取得しています。 GOTSは繊維製品を製造加工するための国際基準で、 GOTSのラベルが付いた衣服は原料から製品まで全ての工程が第三者から検査・認証されているものです。
サイズはユニセックスで、S・M・L・LL(MENサイズ)
4.税込3,960円(サ・イ・ク・ル)に込めた願い
税込み3,000円台のTシャツは、ファクトリエで販売している他のTシャツの約半額になります。つまり、従来のファッション業界からすると、原価は大幅に高いです(特に日本製だと高いです)。
しかし長期的な視点で考えると、使い古したTシャツが送られてくる量が増えれば、増えるほど、ファクトリエは生地を買うコストが下がっていきます。そのため、未来の価格を先取りして提示しました。ここには、「未来はこういうものであって欲しい」という願いしかありません。
「サスティナブル」ラインを新設
今回のTシャツの発売を良い機会と捉え、「オーガニックコットン100%」「リサイクル可能」「生分解性100%(土に還る)」など、環境に配慮した商品を力を入れて作っていきます。今回、初めてファクトリエのロゴを表に出しましたが、このマークが、サスティナブルラインの一つの旗印になればと思います。
5.最後に
私たちだけでは、ファッション産業の環境問題を解決するのは難しいと考えています。そこで、未来に向けた取り組みとして、このサスティナブルなTシャツとご一緒してくださるアーティスト・ブランド・企業様を募集しています。
この循環する白いTシャツは、サスティナブルなキャンバスと思ってますので、「ちょうど白いTシャツを作ろうと思っていた」というアーティスト、会社、チームの皆さまとの出会いを楽しみにしてます(少しでも興味ある、という方はTwitterなど、気軽にご連絡ください)
以上、最後まで読んでいただき、ありがとうございました!
より良い未来を目指して。
お互い、良き旅路になりますように。
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