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レコーディング日記⑫☆技術の安売りはその業界の安売りと同義だ!

コハラモトシさんの「アニワル」
めっちゃ好きで読ませて頂いていますo(^-^)o

できるとやるは違う

レコーディングエンジニア時代、スタジオ店長をしていたのもあり、
レコーディングスタジオを自由に使わせて頂いていました。
本社も隣駅で、ある意味フリーダムな環境です。

そんなある日、以前レコーディングしたバンドさんから依頼がありました。

「自分達で録音した曲を、ミックスして欲しい」

話を聞くと、自分達で録音しPCに録ってあるデータを、作品として音源にして欲しいというモノでした。
スタジオのコントロールルーム(調整室)だけの利用もできる為、
そちらを案内すると、フリーで配る予定の為、スタジオの利用は考えていないそうです。

では出張扱いという事で、エンジニア代だけを提案しました。
すると「費用が掛かるのなら、販売可能なクオリティでやって欲しい」との回答でした。
折り合いが合わないという事で、この時はお断りをしました。

おそらく技術者には永遠について回る事象なのでしょう。

「ピカソの30秒」という小話がある。

ピカソが市場を歩いていると、ある婦人が呼び止めた。彼女はピカソの大ファンで、絵を描いて欲しいという。

快諾したピカソは、さらさらと絵を描き上げた。婦人は喜び、いくらなら絵を譲ってもらえるか尋ねた。ピカソはこう言った。

「このスケッチは100万ドルです」

婦人は驚き、高すぎると言った。たった30秒で描いた絵が、どうして100万ドルもするのか尋ねた。するとピカソはこう答えた。

「いいえ、30秒ではありません。私は、これまでに30年もの研鑽を積んできました。だから、この絵を描くのにかかった時間は、30年と30秒なのです」

出典:ホイッスラーの「ノクターン」

この記事にある様に、美容師、デザイナー、芸術家、医者、会計士など
あらゆる専門技術、専門知識を持つ人には「友達だから、簡単な仕事だから」と
タダでお願いされる事があります。

しかしそこでもし「Yes」と言ってしまうと、その後も同じ様に「また」とお願いをしてくるでしょう。
更には他の人への依頼が無くなり、業界自体の仕事単価の下落に繋がっていきます。
大げさと思うかもしれませんが、これがバタフライ・エフェクトになるのです。

自分の仕事に誇りを持つ

「お願いして仕事を頂く所から、あなたにお願いしたいと言われる様になりなさい」
エンジニアの師匠に教わった言葉です。
技術屋が技術を安売りし始めたら終わりです。

その技術を使うのは一瞬でも、習得するまでにどれだけの時間、
現場での経験、試行錯誤をしてきている事か。
その全ての結晶が、”技術”なのですから。

誇りを持って、仕事をする。
その為には自分がなぜ、この仕事をしているのか、その先のビジョンが何かを明確に持っておく必要があると思います。


どんな業界であれ、解釈次第で安売りも価値づけもできます。
この方の様に、心に負荷がかかった経験から一念発起し、
「業界イメージを変える」と、自分にできる事から始めた話を聞くと、
本当に尊敬します。

自分の行動の先に、どんな状態を作るのか。

何より努力している自分自身に誇りを持って、動いていきます!

ではでは!

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