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フォトエッセイ

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写真と共に私の考えている事などを綴ったものです。
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#fujifilm_xseries

カメラと共に未知の銀世界へ

最近何かを目の前にしてドキドキしたりワクワクしたりする事はあっただろうか。 大人になり生活が固まってきてしまうと、そういった事が少なくなってしまう気がする。新しいことも減ってしまうし、そうして生活しているとどんどん心の反応が鈍くなって感動しにくくなってしまうという悪循環。 良くないなぁと思いながらも、とりあえず生きる為に生活をする日々。 しかしそんな日々でも時として目の前に心を突き動かす何かが現れてくれる。 広島の私の住む地域はあまり雪が降らない。毎年降っても積もる程には

全て忘れる為に一回いろいろなぞってみる

10月のテーマは「全て忘れる」 この「忘れる」というのは結構前から大事にしている言葉でもある。 元々はこれは私の好きなジャズミュージシャンのマイルス・デイヴィスがチャーリー・パーカーから「沢山練習して後は本番で全て忘れるんだ」という趣旨の事を言われた、というのをどこかで見た事から来ている。 本番で忘れちゃったら意味ないじゃないか! と思うかもしれないが、それでいいのだ。 私なりにかなりわかりやすく解釈した言葉で言えば「練習は身体に染み付いてるから本番では爆発することだけ考

文字通り休むということを知る

別に「私の人生は休みというものを知らなかったぜ」みたいな話ではなく。 ただ単に外に出てぼーっとベンチに座るみたいなことを最近ようやく覚えたというだけ。 昔から暇があればカメラを持って外に出るようにしているのだが、心身の不調によりここ最近はあんまり外に出られなくなっていた。 私の場合は花を撮りにいこうとかここの景色を撮ろうとかそういった目的はあまりないので、とりあえず歩きにいこう、という感覚だったのだがそれすらも出来ない。 休む期間に入り、自分の普段の行いを省みる時間が増え

普通の生活

前回の投稿通り、今月は仕事もほとんど休ませて頂いている。 疲弊した心と身体を回復させてここからもう一踏ん張りする為。 思えば本当に不健康な状態だった。 身体は常に重く頭の回転も鈍い。 何をしても集中出来ないし面白くない。 写真を撮る気が起きない日がどんどん増えていっていた。 窓の外には綺麗な空が広がっているのに、カメラとレンズは準備しているのに、どうにも外に行く勇気が出ない。 そして結局悩み疲れて椅子に死んだように座っているという1日を過ごし、1日無駄になったと感じながら

人生の小休止

今年で28歳になった。 まだまだ20代。しかしもうすぐ終わる20代。 まだまだ若いと余裕を持つ自分もいれば、もうすぐ30歳かという感慨を持つ自分もいる。 歳を取る事は全く嫌ではない。 順当に年齢を重ねられるなら、それは素晴らしい事だと思う。 対して未来の事を考えすぎるのは好きではない。 ライフプランという言葉はくだらないと思う。 そんな私なのだが、根拠はないが30歳というのを人生の節目のように捉えている。20代が修行の期間だとすれば、30代は花開く期間にしたい。 なので3

想い出の栃木 後編

今回栃木に来てからやる事の一つに「祖母の写真を撮る事」があった。 以前父方の祖母の写真を撮り、プリントした物を父にプレゼントした事があった。その事から今回は母方の祖母の写真を撮ってくれと両親からお願いされての事だった。 祖母は写真があまり好きではないらしく気乗りしない。「いいよそんなの、撮らなくて」と断られる。しかしこちらとしてもどこかのタイミングで写真は残しておかないといけない。すぐに終わるから、無理に笑ったりしなくていいから、と説得したり、私が写真の仕事も行っているとい

想い出の栃木 中編

二日目の朝。6時のアラームで目が覚める。 初日はよくよく考えたら8時ぐらいに寝てしまっていたので、早く長く寝る事が出来てびっくりする程すっきりしている。ここ1年ぐらい頭も身体もすっきりしない日が続いていたので久しぶりの感覚が嬉しい。やはり栄養と睡眠は大事なようだ。 この日はチェックアウトをしたらまっすぐ祖母の家に帰る予定。 着替えて朝食を食べ、家族が揃うのをラウンジでコーヒーを飲みながら待つ。ラウンジからは川を挟んで向かいのホテルと奥に山が見える。何をするでもなく一人コーヒ

想い出の栃木 前編

私の母は栃木県の出身で、父と結婚して香川県に移り、そして私や兄妹が生まれた。夏になると、母方の実家である栃木に行くのが恒例だった。少年時代の夏という大事な時期を沢山過ごしてきた場所。大人になってからは家族と都合も合わないのもあり夏以外の季節に一人訪ねることも増えた。といっても広島からはそうしょっちゅう行ける訳もなく、尚且つコロナも重なってここ数年は全然訪れる事が出来なかった。 そして今年、ようやく久しぶりに栃木に行く予定が出来た。 きっかけは母からの電話。 「栃木で法事もあ

雲は簡単なモチーフなのに飽きない

6月になり、天気の良い日は気温がぐんと上がって暑い日が増えてきた。 同時に広島は梅雨入りもしたらしいので雨の日も増えるだろうが、それが明ければいよいよ夏がやってくるという時。 同じ晴れた日でも四季によって表情は違う。 寒い季節はすっきりと澄んだ空、雲もキラキラしている。 暑い季節は視界のコントラストが高く、雲は生きものような迫力を持つ。 まだまだ本格的に暑い訳ではないので夏本番の空模様には遠いが、それに近いものを感じるようになってきた。 雨が降った翌日、散歩に出かけると空

かれこれ2年ぐらいテレビのない生活をしている

※この記事は2021年に執筆したものです。 タイトルそのままで、もうかれこれ2年ぐらい家にテレビがない。 これを周りに言うと驚かれることが多いのだが、よく言われるのが「家で何してるの」 私は家で何をしているのだろうと一瞬考えるが逆にテレビ見る以外でする事は沢山あると思うんだけど、まぁそれは良いとして。とりあえずテレビがなくても暇はしないことだけは言える。 どうも周りの話を聞いた感じだと ・とりあえずつけっぱなしで暇つぶし&寂しいのを紛らわせたい(無音が嫌) ・時報みたいな

夏に浮かぶ

「もうすぐ夏が来る」と感じた瞬間だったり、夏が訪れた中で過ごしたりしていると、ふと急に特別な感覚になる。 夏の日差し、セミの泣き声、風に揺らめく緑… 全ては生き生きしているのに、その中に混じる切ない感覚。 子供の頃を思い出して寂しいような、懐かしいような、複雑な感覚。 この感覚は夏のどこから来るのだろうと少し考えるが、おそらく子供の時の経験、体験から来るのだろう。 夏は子供の時代において重要な期間だと思う。夏休みという一年の中で一番長い休みがあり、その時子供は様々な経験をす

夏はベルビア冬はエテルナ

タイトルに関して、わかる人はわかる、わからない人にとっては何のこっちゃといった内容だろう。 今回は富士フイルムのカメラを使うようになってから思うようになった事を綴っていく。 ベルビアとエテルナというのは富士フイルムから発売されていたリバーサルフィルムと映画用フィルムの名前である。 フィルムにも実はいろいろ種類があって、そろぞれに名前が付いている。 プロヴィア、アスティア、ベルビア、スペリア、アクロス、エテルナ… そしてそれぞれで色の乗り方などが違う為、フィルム時代のカメ