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質の高いアイデアをコンセプトに組み込む

事業戦略大学(教員1名・生徒無限大)「成功する事業コンセプトの作り方コース第2回」


■アイデアだけでは事業戦略計画とは言えない

「数値計画にはなっていませんが、事業の企画はできました。コンサルタントの目で評価してください」といったお話をいただくことがよくある。
しかし、残念ながら評価できない場合が多い。評価できない主な理由は、企画の多くが、まだ事業アイデアレベルの段階だからである。

事業が企画できたというならば、事業コンセプトができあがっていなければならない。評価の対象となるのは、事業アイデアではなく、事業コンセプトレベルでなければならない。

図表ご覧いただくとおわかりいただけると思うが、事業アイデアとは、事業コンセプトを構成する要素だが、それ自体はまだ断片的なものである。事業コンセプトとは、その要素、断片が組み合わさり、顧客に対するインパクトや市場競争力を持つ″ひとかたまりの構造″になっていなければならない。

20200711_事業戦略大学図表第2回①


事業戦略計画を評価するためには、競争市場や顧客の視点から、その構造が明確にされていなければならない。従ってアイデアレベルでは事業は評
価できず、コンセプトレベルが要求されるのである。


■ 優れたアイデアが組み込まれてはじめて競争にうち勝つ

ではアイデアは、事業戦略計画にとつてあまり重要な存在ではないのであろうか。そうとは言えない。成功ケースを見ると、やはり、プロジエクトリーダーや経営者のアイデアが事業成功の大きなきっかけになっていることが多いのだ。


ここから言えるのは、事業アイデアは事業成功の鍵になり得るが、その実現は事業アイデアが全体のコンセプトの中にうまく組み込まれて、差別化された事業コンセプトとなることが前提にある、ということである。

その反対に、たとえ事業のコンセプトがフォーマット通りできあがっていたとしても、顧客にインパクトを与える差別化されたアイデアが組み込まれていなければ、市場の競争には勝てない、ということでもある。


従って、市場で勝てる事業戦略計画を策定するには、ひとかたまりの構造としてのコンセプトを意識しつつも、差別化された強力な事業アイデアを発想し、組み込めるかどうかが大事なポイントとなる。


■ 差別化されたアイデアの源泉は、問題意識・使命感・ビジョン

では、そのような強力な事業アイデアはどうしたら発想できるようになるのか。なかなか難しいことである。筆者が大企業の新事業やスーターとアップを相当数見て思うのは、成功している人のアイデアの源泉は、その人の強い″問題意識、使命感、ビジョン″ではないかということである。

20200711_事業戦略大学図表第3回


問題意識、使命感、ビジョンなどを持つことはリーダーの条件とも言えるが、そのような真のリーダーは現場での気づきが当然多くなる。「こんなレベルで本当によいのだろうか?」「困ったお客様を何とかできないものだろうか?」といった一般の人が気づきにくく、簡単には解決できないことに対する問題意識の裏返しが、事業アイデアになるのだ。


さらに加えるに、このようなリーダーは、現場を知るために自分で行動する現場を観る、そこで聴く、そしてアイデアを数多く出し、書き出し、間髪入れず試してみて、その結果をみてアイデアの組み合わせを変える。差別化された事業アイデアとはリーダーの理念、思い、行動と試行錯誤の結果なのだ。

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