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「事業経営の″成功″とはどのような状態か?」事業戦略大学(教員1名・生徒無限大)なぜ「事業戦略計画」を書くのか?コース第2回

設問1:事業が成功するとはどのような状態だと考えますか?

設問2:あなたにとって資産とはどのようなものですか?

設問3:企業または個人として資産はどの程度保有するのが良いと思いますか?その基準はどのようなものですか?

■投資家の立場で事業の成否を考えてみる

投資家の立場で考えてみると、事業経営の成功とは、事業目的を達成する過程で、お金をどのように使い、どのような成果を残せたのかということである。味気ない言い方になるが、理念やビジョン、事業アイデアといつた事業目的の実現も、その達成過程でのお金の使い方と財務的成果が最終的な評価の対象となる。このような、お金の視点で事業を把握することは、誰に対しても大変わかりやすい評価方法だと言える。なぜなら、お金という尺度は、立場、価値観、国境さえも越えたビジネスの共通言語だからである。事業経営について考える際、お金を投資したり貸したりする人、あるいはその資金を運用する会社の経営者の立場で考えると非常に理解しやすい。


1つの状況を想定してほしい。たとえば、ある事業アイデアや事業コンセプトがあり、それが事業計画化されるとしよう。もし、あなたが投資家や融資元ならば、その事業が一年後にどのような成果を上げているべきだと思
うだろうか。また、それを判断する基本的な考え方や視点にはどのようなものがあるだろうか。


■ 継続中の事業を評価する2つの視点


まず、投資が行われるとして、その後継続する事業をどこかの時点で評価するとすれば、図表のように視点は大きく二つに分けることができる。


20200702事業戦略大学図表第2回


1つは、その時点で″事業活動のための魅力ある資産をどれだけうまく蓄積できているか″ということである。

もう1つは、″その事業は、日々の活動でどれだけ儲けを生み出すことができるか(どれだけのレベルに達しているか)”である。

1つ目の″魅力ある資産をどれだけうまく蓄積できているか″という視点にはどのような要素があるだろうか。まずは、事業のための手元の現金や銀行預金がどれだけあるかということ。そして、いざというときに売却が可能な資材や製品などの在庫がどれくらいあるか。事業のための機器や設備についても同様である。

次に、それらとは違って把握しにくいが、競争上重要な優れた技術やノウハウ、その他の専門知識やそれを生み出す優秀な人材がいるかどうかも挙げられる。他にも、継続して取引をしてくれる顧客や取引先の存在、企業や事業のブランドイメージなども資産と言えよう。どのような種類の資産がどれだけあればよいかは、事業の種類によって異なる。

では、2つ目の″日々の活動でどれだけ儲けを生み出すことができるか″という視点はどうだろうか。ここには、事業からの売上げがどの程度かということ、また、その売上げに対して仕入れコストや経費の割合がどの程度なのか、そして、売上げからコストを差し引いた利益はどの程度なのかといった視点が含まれる。

これらの視点や考え方は、言い換えれば、投資や融資をした人や組織が、どの時点で投入したお金が安全に手元に戻ってくるかを把握するための視点とも言える。つまり、良い事業経営の評価軸とは、調達したお金を使い、約束された事業目標の達成を通じて獲得された、最適な資産の組み合わせと、利益の最大化にあると言えよう。


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