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事業コンセプトは事業戦略計画の屋台骨である

事業戦略大学(教員1名・生徒無限大)「成功する事業コンセプトの作り方コース第3回」

■コンセプトが事業戦略計画の骨組みを決める


もし、「事業戦略計画の作成においてどの部分が最も重要か」と聞かれたら、それは事業コンセプトであると答えるだろう。なぜなら、事業コンセプトの良し悪しが、事業戦略計画そして事業そのものの成果を決定づけるからである。


製品開発でよく言われる通説として、「コストの80%は製品コンセプトの企画段階で決定づけられるため、その後の開発段階、製造段階でのコスト改善には限界がある」というものがある。製品であればコンセプト段階でスペックが決まり、およその原価や価格が決まってしまう。同時に対象顧客や競合する製品も決まる。同様に事業コンセプトも、事業そのものの可能性を決定づける思考作業と言える。また、ベンチャーキャピタルや金融機関が投資や融資をする際にも、この事業コンセプトが重要な判断材料となる。


このように、事業コンセプトづくりは事業戦略計画策定やその成功において極めて重要なステップであるにもかかわらず、「事業コンセプトとは何か」「その作成プロセスはどのようなものであるべきか」といったことがビジネススクールや事業計画の書籍などでは十分説明されていない。環境分析や主な戦略アイデアの解説、そして事業計画の計数展開に重点を置いたものが多いのが実状である。


■ 事業コンセプトを表現する要素とは

まず、事業コンセプトとはどのようなものであるかをしっかりと理解しなければならない。図に事業コンセプトの要素を示した。事業コンセプトの表し方は書籍によってさまざまであるが、事業戦略計画を評価する側から見た場合、図で示した要素のどれか一つが欠けていても、コンセプトの良し悪しは評価できない。では、個々の要素をわかりやすく解説していこう。まず、当たり前だが、事業の特徴を表す印象的な事業名が示されていなければならない。次に事業が目指す姿について簡潔に示されている必要がある。

20200711_事業戦略大学図表第3回②


①複数のステークホルダー(利害関係者)を説得しきれるだけの理念とその背景


② 1〜3年後の事業の財務的な目標(定量目標)

③3〜5年後にはどのような姿になっているかという定性目標

これら3つの姿が示されていなければならない。


④以降は、「具体的な目指す姿(戦略ビジョン)とその達成方策(基本戦略とを以下の項目で示す。

④ターゲット顧客=その事業はどのような顧客を狙ったものなのかを示す

⑤ターゲット顧客の状況=ターゲット顧客がどのような状況、どのような場面、シーンでこの事業の商品・サービスを購入するのかを示す


⑥基本コンセプト、事業領域=どのような範囲で事業を行うものなのか、といった事業領域(事業ドメインとも言う)や事業の定義を簡潔に示す

⑦基本戦略=この事業がどのような要素で構成されるのかを示す。

取り上げる要素で重要なものは、主要な商品、サービス、それら商品サービスをつくり出すための業務プロセス、その業務プロセスを回すための人材、技術や専門知識、組織構造などである


⑧収益構造=ビジネスモデルとも呼ばれ、事業の基本的な収益構造を示すものである。

投資したお金がどのような設備や仕組みを用い、どのようにして売上げを生み、またどのような費用を使い、その結果どれだけの利益やキャッシュを生み出すか、をモデルで示す必要がある。


⑨顧客提供価値=この事業が顧客にどのような価値を提供するかを言葉で定義づけたものを示す

⑩市場ポジショニング=⑨で定義づけたものを顧客の視点からマッピングし、図示する

⑪差別化要因=競争を意識した際の差別化要因を示す

⑫提供方法=商品サービスをどんなチャネルで提供するのか、また、どのようにして顧客に情報を伝達するのかを示す

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