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ソリューションやクリエーションのコンセプトづくりが商品開発

事業戦略大学(教員1名・生徒無限大)顧客経験価値のための商品企画開発の実践コース第48回


商品とは、顧客と企業をつなぐ重要な媒体ではないかと思います。確かに商品は、企業が顧客に提供するものではありますが、商品は顧客に利用され、部分的に改良され、また使い方が工夫され、顧客の暮らしや仕事などで「経験」され、その存在が実感されるものになります。この経験は顧客だけでなく企業にも存在します。企業は、技術開発や製造プロセス、サービス提供などの様々な活動を商品という形にし、その商品を通じて顧客の経験を創り上げるという経験を得るのです。

家電や自動車などのハードウエアだと少し考えにくいのですが、スマホのアプリや、サブスクリプションなどのサービスだと商品は顧客と提供者双方の経験を生成する媒体という概念はあまり違和感がないと思います。家電や自動車のようなハードも、ネット化され、また利用価値を販売するサービスに進化してきましたから同じように考えてもそう無理が無くなってきたと思います。

このように顧客経験価値を重視した場合の商品開発戦略は、過去の、決められたスペック、価格、パッケージといった固定的なゴールありきのものではなく、顧客と企業の相互関係から生み出される経験を表現するもので無ければなりません。一方で経験は、その内容がわかりにくくなりますから、その本質をいかにわかりやすく伝えるかが大事な課題となってきます。

「そうだ。京都、行こう」(JR東海)

「メールを何往復させるより、一杯飲んだ方が気持ちはつながる」    (サントリー)

こういった生きた商品や事業キャッチコピーが顧客経験価値の本質を表す手段となり得ます。

このような経験価値重視の考えを元に、事業構想書の中で商品開発戦略とはどのような表現をすれば良いのでしょうか。以下の4つにまとめてみました。

①どのような場面で顧客と関わるか(ターゲット顧客のシーンと潜在ニーズ)

ターゲット顧客の5つの経験価値のどこから入って行くか?それはどのタイミングなのか?そのときの顧客が潜在的に欲しているのはなにか?それはなぜ重要なのか?

②どのような商品なのか(商品コンセプト)

狙いとする顧客経験価値の視点、タイミング(ユーザーインターフェース)にフィットさせるためどのような機能を持つのか(基本機能、付加機能)。自社以外のパートナーはどう関わって顧客経験価値を支援するのか?(プラットフォームとパートナー)

③どのような顧客経験価値をつくるか(顧客経験価値)

その結果どのような顧客経験価値をつくるのか?それは独自のものか?他で得られないものはなにか?

④どのように発展し変わっていくのか?(進化、発展の可能性)

商品の進化のメカニズムはどのようなものか(ビジネスモデル戦略、ここではビジネスモデル戦略のさわりだけでよい)、発展の方向性は?それはどのような未来をつくるのか?

こう考えていくと商品とは、限りなくソリューションやクリエーションに近づき、顧客経験価値を創造するサービスということになります。企業がそういった概念を持てるかどうかにかかってくると思います。

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