令和のシンデレラボーイ 林大地~見る者を奮い立たせるビーストの夢の果て

皆さんこんにちは。Toruです。
前回のサガン鳥栖関連のnoteがそこそこ好評で味を占めているToruです。

今回も投稿したい内容を思いついたので、文章を書いてみることにしました。ご一読いただければ幸いです。

さて、どんな世界においても、数少ないチャンスをものにして成功へと駆け上がるシンデレラボーイ的な人って存在しますよね。思いがけないチャンスが巡ってきて、躍進するみたいな。
最近の日本サッカー界においても、そんなシンデレラボーイが誕生したのです。
現在ベルギーリーグのシントトロイデンでプレーをしている、フォワードの林大地という選手です。
今回のワールドカップアジア最終予選に追加メンバーとして招集され、サッカーファンの間では話題になっていますね。

彼はもともとJリーグでサガン鳥栖でプレーしていたことがあり、個人的にも好きな選手なんですね。
その時から見ていた身としては、彼のシンデレラストーリーは実に感慨深いところがあります。。
今回はそんな令和のシンデレラボーイ、林大地についてお話していきたいと思います。

プロ入りまでの軌跡


彼の経歴はウィキペディアなどで調べればすぐに出てきますが、ガンバ大阪Jrユース→履正社高校→大阪体育大学→サガン鳥栖、といった流れ。
ガンバ大阪Jrユースでは日本代表の顔でもある堂安律選手ともプレーしていたようです。
ガンバ大阪のユースチームに入れなかったため履正社に進学したようですが、林大地をもってしても入れないとは、あそこのユースって相当レベル高いんですね。
そして履正社って野球だけじゃなくてサッカーを強いんだな、などと調べてて面白い発見もありました。

そんな林大地は大阪体育大学時代に大活躍したようで、2019年にサガン鳥栖への加入内定が決定します。
前回もお話ししましたが鳥栖は若い才能の発掘に長けているので、この時から林大地の才能を見抜いていたようですね。

加入内定後のサガン鳥栖デビュー戦では早速ゴール。結果を出します。持ってる男ですね。

林大地の何が人々を引き付けるのか


2020年シーズンに林大地はサガン鳥栖に正式に入団します。
そのシーズンではチーム得点王となる9得点をマーク。
プロ1年目でこれですよ。只者ではない。

そんな才能の塊である彼は多くのサガン鳥栖サポーターからも愛されていましたが、彼が愛された所以はゴールという結果だけでなく、もっと別のところにもあったと思います。
彼はゴール数だけで評価できる選手ではないですし、私も彼の真の魅力はゴールとは別にあると思っていましたので。

では、林大地の何がそんなに多くの人々を引き付けてきたのか?
それは、彼のプレースタイルにあると思っています。

実は彼はサポーターの間では、「ビースト」という愛称で親しまれているんです。
ルックスは爽やかなイケメンですが、「ビースト」、獣ですよ。何でそうなる?と思うかもしれません。

彼が出場した試合を見たことがある方はお分かりかと思いますが、彼の試合中のプレーが「ビースト」そのものなのです。
彼のポジションはフォワードで、最前線に位置することが多いです。
最前線でボールを受けると、相手の選手がボールを奪おうと体をぶつけてきたり足を入れてきたりしてきますよね。
普通はそれで倒されたり、ボールを奪われてしまいます。

では林大地はどうなのか?
彼は倒されないし、奪われません。
強靭なフィジカルと巧みな体の使い方で粘り強くボールをキープし、時にはポストプレーで味方のチャンスを演出し、時には自ら突破してゴールを脅かします。
倒されそうになっても驚異の粘りを見せ、踏みとどまって倒れない。
相手がボールを保持しているときの前線からのプレスも欠かしません。
そしてどんな相手にも恐れず勇猛果敢に立ち向かい、半ば強引に突破して相手を振り切るその姿は、まさにビースト。
実況や解説からも「今どきはなかなかいない珍しいタイプ」と言われることもしばしばあります。
泥臭くとも愚直にプレーするその姿勢が、見る者を奮い立たせ、多くのサポーターを虜にしたのです。
そんな彼の勇猛果敢なプレーと努力は、誰もが憧れる夢の舞台へと繋がっていくこととなります。

オリンピック代表に追加招集


林大地のようにひた向きに努力を続ける選手のことは、必ず誰かが見ていてくれているものです。
その評価が形となって表れたのが2021年3月、東京オリンピックを戦うU-24世代の日本代表メンバーに、林大地は追加招集として選ばれることとなったのです。
その追加招集も、かつてガンバ大阪Jrユースで一緒だった堂安律の負傷によるものとあって、なんとも運命を感じさせるものとなっています。

初招集後に行われたU-24世代のアルゼンチン戦では、初ゴールを記録。
このゴールはアシストが元サガン鳥栖の原輝騎(現清水エスパルス)によるものだったので、鳥栖サポーターにとっては感慨深いものとなったでしょう。
ゴールという結果はもちろんのこと、ビーストらしいプレースタイルはここでも健全。
鳥栖で確立された彼の持ち味が、代表でも十分に通用することが証明された一戦となりました。

オリンピックでの活躍、ベルギーへ


アルゼンチン戦から帰還した後も、林大地は変わらぬビーストらしいプレーでチームに貢献していきます。
潮目が変わったのは、2021年の6月、東京オリンピックの代表メンバーが発表された時です。
林大地が選ばれたのは、正式なメンバーではなくサポートメンバー、いわゆる「バックアップ」です。
正式なメンバーに何かあったら代わりに出場する可能性がある、というもの。
もちろんバックアップも重要な戦力ですが、試合に出られずただ所属チームを離れただけということにもなりかねないので、気持ち的にはちょっと複雑ですよね。
このままバックアップで終わるのか。。。そう思われましたが、ここから林大地のシンデレラストーリーが本格的に始まることとなったのです。

ある日突然東京オリンピックのレギュレーションが変更になり、バックアップメンバーが正式なメンバーに昇格することとなりました。
これによって林大地を含む4人の選手がバックアップから正式な代表メンバーとなったのです。
いや、こんなの今まで聞いたことない。最初は何起こったのか訳が分かりませんでしたが。
ともかく林大地は東京オリンピック代表メンバーの座を掴み取ることとなりました。
バックアップからの昇格という劇的な形でのメンバー入りというのも、いい意味で諦めの悪い彼らしいところがありますね。

そうしていよいよ始まった東京オリンピック。
バックアップからの昇格という形で選出された林大地でしたが、蓋を開けてみれば開幕の南アフリカ戦ではスタメン出場。
日本代表は最後の試合となる3位決定戦まで6試合を戦いましたが、彼はそのうちの5試合(グループリーグのフランス戦以外)で先発出場を果たしました。
もはや完全な主力です。
「ポイチ(※)よ、そんなに起用するんなら何で最初から呼ばなかったんだ!」と突っ込みを入れた鳥栖サポも多かったようですね、。※A代表監督兼U-24日本代表監督、森保一氏の愛称
先にもお話ししたように林大地の最大の持ち味の一つが周りの選手を活かすポストプレーですから、そこが評価されたのでしょうね。
たかがポストプレーと侮ることはできません。あれを高いレベルでこなせる選手はなかなかいないのです。
だからこそポストプレーの申し子とも言われる大迫選手は代表で重宝されてるわけですし。

こうしてバックアップから先発の座を掴み取り五輪代表の主力にまで上り詰めるという見事な逆転劇を成し遂げた林大地。
努力は必ず報われるっていうのを身をもって示してくれているようで、勇気づけられますよね。
そんな彼の快進撃は、この東京オリンピックだけでは終わらなかったのです。

東京オリンピック終了後の2021年8月、いよいよ林大地も鳥栖の戦線に戻ってくるか、と思っていたら、衝撃のニュースが。
オリンピックでの活躍が評価され、ベルギー1部リーグのシントトロイデンへの移籍が決定したのです。
シントトロイデンは経営権を日本企業が保有しており、これまでも多くの日本人選手が在籍してきました。
今や欧州の第一線で活躍している鎌田大地(フランクフルト)や冨安健洋(アーセナル)をも輩出し、日本人選手にとっての欧州挑戦の登竜門とされているクラブです。
(最近はその登竜門的役割をスコットランドのセルティックにとって代わられつつありますが。)
海外初挑戦の移籍先としては、申し分ありません。オリンピックのバックアップから主力に這い上がってその活躍が評価されたのですから、大逆転の大出世とも言えるでしょう。
鳥栖サポーター的には、「えっ、鳥栖に戻らないでそのまま行っちゃうの!?」という気持ちはもちろんありましたが。

オリンピックでの活躍が評価されて移籍を勝ち取った林大地はベルギーでも温かく迎え入れられ、チームにも早くフィットしたようです。
デビュー戦ではいきなりゴールを決め結果を残しています。やはり持ってる男。
ですが特筆すべきはやはりプレースタイル。
ベルギーリーグの試合はDAZNでも見れるのですが、林大地の持ち味である前線でのボールキープやビースト張りの推進力は健在。
ベルギーでの試合を見ていると、「ああ、いつもの林大地だ。」という気持ちが湧き、実家のような安心感を覚えることもあります。
もはや林大地が私の実家といっても過言ではないでしょう。

ちなみに彼は多くの鳥栖サポーターからも今も根強く支持されており、シントトロイデンの試合を見る鳥栖サポーターの方々は、「#林大地を見守る会」と呼ばれているそうです。愛され具合も健在。

ベルギーでも主力に定着し、2022年3月末時点で6ゴールを記録。初めての海外挑戦でも変わらぬ活躍とビーストらしさを見せる林大地。
そんな彼のシンデレラストーリーはまだまだ終わりません。なんと更なる続きがあったのです。

弛まぬ努力で掴んだA代表の座


そのシンデレラストーリー続きは、2022年3月に起こりました。
カタールワールドカップのアジア最終予選、オーストラリア戦とベトナム戦を戦う代表メンバーが発表されたのですが、最初の発表の時点では林大地は招集外でした。
しかしその発表後、日本代表でも主力として活躍する大迫勇也がケガで不参加となることが発表されます。
その大迫に代わって追加招集されたのが、ベルギーで活躍していた林大地だったのです。
大迫と同等レベルのポストプレーができる人材として、白羽の矢が立ったのでしょう。ポストプレーができる人材は貴重なようですし、ベルギーでも林大地の実力は通用していますからね。

追加招集の東京オリンピックで活躍し海外移籍からの、またしても追加招集でA代表へ。
これほどまでに見事で、心を奮い立たせるシンデレラストーリーが今まであったでしょうか。凄すぎる、の一言に尽きます。

もちろん林大地のシンデレラストーリーは運だけによるものではなく、彼の才能と努力により掴み取ったものです。
普段から努力を続けていたら来るべき時にチャンスが来た、多大な努力と少しの運で成し遂げたシンデレラストーリーとも言えますね。

不断の努力を続けていればいつかチャンスが巡ってきて、オリンピックやA代表という輝かしい舞台さえも掴み取ることができる。
そんな林大地の生き様を見ていると、胸が熱くなり勇気づけられるのです。努力って無駄にはならないんだな、と信じることができるのです。

シンデレラストーリーは終わらない


2022年3月に行われたアジア最終予選のオーストラリア戦とベトナム戦。残念ながら林大地がピッチに立つことはなく、A代表デビューとはなりませんでした。
しかしながら、彼のシンデレラストーリーがここで終わったとは思っていません。
林大地のプレーは唯一無二のものであり、未来の日本サッカーにおいても必ず必要となる戦力です。
彼はこれからもビーストらしく愚直にサッカーを続けていくでしょう。
そのプレーをもってして、今日も明日も、もっと先の未来でも、林大地は私たちサッカーファンを奮い立たせてくれることでしょう。

だから私は信じているのです。確信しているのです。
林大地はこれからも躍進を続け、彼のシンデレラストーリーもまだまだ続いていくと。
そして、林大地が世界のサッカーの第一線で活躍し、日本代表を高みへ導く存在となる日が来ることを。
私はそれを信じることをやめません。
林大地という令和のシンデレラボーイが、その歩みを止めない限り。


いかがだったでしょうか。
林大地の良さを少しでも多くの方に伝えたいと思い立って思いつくままに書いてみました。
林大地はこれからの日本と世界のサッカーをけん引する存在となる可能性を持つ選手です。
ゴールのような目立つプレーも、一見すると目立たない献身的なプレーも、一つ一つに魅力がある選手です。
この文章を読んでいただいた方に、少しでも林大地の良さが伝わったのであれば、これほどの喜びはありません。
長文となりましたが、ここまでお付き合いいただきありがとうございました。

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