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うたの日366

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うたの日で好きだった短歌に拙いながら評を書いています。主にいいねいいねと云っています。 一日一首、毎日更新。
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2020年8月の記事一覧

2020/8/27(うたの日366)

白波が人魚に変わる瞬間を信じて今日も海へ行かない/小宮子々 (2014/7/3「波」) 下の句が不…

toron*
4年前
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2020/8/26(うたの日366)

ほんとうは真面目じゃないと言うひとの藝術大学みたいな寝顔/鳥尾鮭介 (2018/8/18「寝顔」)…

toron*
4年前
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2020/8/25(うたの日366)

一生を時計のなかに終りたるちいさき鳩を野に弔えり/小野りす (2020/4/6「計」) 個人的に、…

toron*
4年前
7

2020/8/24(うたの日366)

夢の中、撃ちまくれたし、念じればビルも壊せた パンツは穿いてた/ポテト博士 (2020/8/02「…

toron*
4年前
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2020/8/23(うたの日366)

トトロって鳴く生き物がトトロなら僕はさしずめスミマセンかな/長谷川伝 (2019/5/1「トトロ…

toron*
4年前
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2020/8/22(うたの日366)

舟だっておもう、からこそ、こわれたらきみは直ちに逃げてください/山口綴り (2019/6/1「結…

toron*
4年前
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2020/8/21(うたの日366)

おとうとが生まれた夜の長男は自分が泥になる夢を見る/袴田朱夏 (2019/10/21「泥」)それまで長男で、人としてのかたちを持っていたはずなのに「泥」になる。…どうにも不穏なイメージを持ってしまうのだけど、泥は捏ねられて食器にも変わるし、蓮は泥の中から咲く花である。長男が、次男が生まれたことによって自分の立場が再形成されるだろうことを、夢で予感しているのかと思った。…あまり歳の離れていない状態で下の子が生まれると、しっかりしていたはずの子も「赤ちゃん返り」をして、急に甘えて

2020/8/20(うたの日366)

オフサイドを教へてくれしテーブルのカシューナッツのそのままの朝/中牧正太 (2016/8/18「ル…

toron*
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2020/8/19(うたの日366)

ブレーキは天井、足は届かない、待ってよ痴態、USEN消して、/未補 (2018/8/19「暴走族」) …

toron*
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2020/8/18(うたの日366)

ほんたうかわからぬ話を聞きながらしづかに夜をすする猫舌/桔梗 (2018/4/19「舌」)下の句が…

toron*
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2020/8/17(うたの日366)

大陸をいくつも剥いで子午線も取ってあなたにあげるおみかん/小向大也 (2017/11/29「大陸」…

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2020/8/16(うたの日366)

星ひとつ滅びる音がしたのだろう猫が出窓に集まる夜明け/芍薬 (2018/11/5「滅」) 実家で猫…

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2020/8/15(うたの日366)

食パンを一枚握ってつぶしても私が買ったものだから良い/小川けいと (2019/8/22「私」) 食…

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2020/8/14(うたの日366)

愛されているのね あなたから借りた中也詩集はシャボンの香り/朝野陽々 (2019/3/11「自由詠」) 一読して良い歌だな、と解る歌でありながら、読みの解釈は分かれるように思う。というのも、なぜ「シャボンの香り」がしていたのか。…本棚に大切に並べておいてもシャボンの香りがつかない。極端に云えば浴室に持って入ったとしてもシャボンの香りが移るのは難しいので、それを貸したひとが意図的につけていたのではないかと考えられてしまうからだ。一読した当初は下の句を「中也詩集はシャボンの香り(