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2020/8/20(うたの日366)

オフサイドを教へてくれしテーブルのカシューナッツのそのままの朝/中牧正太
(2016/8/18「ルール」)

オフサイドのルールをそういえば自分も理解していない。オフサイドトラップに関しては何がどうなってそうなるのか解らない…きっと主体もそういう感じで、付き合って誰かとサッカーの中継を観ていたんだと思う。オフサイドを説明するための人間を、ナッツで説明しているのがいい。それを出して説明することで、主体が口頭での説明で理解できなかったこと、またそれに対して相手が非常に熱心に教えてくれていたことが解る。
結句は体言止めであり、「そのままの」状態のテーブルを見た主体は、初読のときはちょっとうんざりした気持ちなのかと感じていた。…語るだけ語られて、片付けずに寝られるとあまり良い気持ちにはならないので…でも、何度か読むと、テーブルの上の、昨夜の試合がまだ続いている状態なのを見て、昨日の夜は本当にあったんだな、と思い返しているのだと感じた。カシューナッツで説明したのは、その場にあったというだけでなく、双方ともお酒を飲んでいたようにも思う。そのため、昨日の夜はヒートアップしてしまったけれど、あまり覚えていない…けれども、テーブルにはカシューナッツが残っていて、昨夜が本当にあったことを教えてくれている。…たぶん、主体はオフサイドのルールもきっと忘れているだろう。そのたびに、相手はまたテーブルをフィールドに見立てて説明してくれる。そんな予感が感じられる、いい歌だと思った。

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