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2020/8/19(うたの日366)

ブレーキは天井、足は届かない、待ってよ痴態、USEN消して、/未補
(2018/8/19「暴走族」)

「暴走族」部屋の短歌なのだけれど、このお題でこの発想はすごいと思う。通常の「暴走族」の意味として詠んでいないことに加えて、体言止めと句読点の多用に息継ぎのような臨場感がある。…おそらくラブホテルのシチュエーション(「USEN」からそう読んだのだけど「暴走族」であるのでもしかすると、USENが流れてるけれどホテルじゃない場所の方が面白いのかも)と読んだ。下の句が面白くて特に「USEN消して」は相手に云っている気がするのだけど「待ってよ痴態」は相手じゃなくて自分に云っているような感じもある。相手の身体に反応している自分に対してというか。もう既にふたりの身体が分かちがたくなってる状態を「痴態」としているようにも思う。
また、面白いなと思った点として、これは男性の方が上になっていると勝手に読んでいて、いうなれば男性の方が「乗る」側。でもこれは女性が下であるけれど、ブレーキを踏む(=乗る側)なのだなあ、と思った。今、天井に足は届いておらずブレーキは踏めてないけれども、主導権が常ならばこちらにあるという風にも読める。「暴走族」はふたりのことを指しながら、一時的にその主導権を明け渡した状態、としても読めて、「暴走族」部屋に投稿されたことですごく読みの幅が広がった歌だと思う。

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