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2020/8/16(うたの日366)

星ひとつ滅びる音がしたのだろう猫が出窓に集まる夜明け/芍薬
(2018/11/5「滅」)

実家で猫を飼っているのだけれど、確かに窓辺によく行きたがる。猫の視力はそこまで良いものではないにも関わらず、何か眼で追っている雰囲気がある。かといって、外に出たいのかと思ってベランダに出してやるとすぐ家のなかに入りたがる…「そういうんじゃないんだよ、解ってねえな」って感じを露骨に出される…本によると「猫は安全な場所から外を伺うのが好き」とも書かれていたけれど、その解説よりもこの歌のなかの理由の方がなんとなくしっくりくるような気がしてしまう。
肉眼で捉えられない無数の星が、ここでない何処かで滅びている。…猫がほとんど毎日窓辺にいくあれは、見ていたわけではなく「聞こえた」からというのが、不思議な説得力がある。聞こえて、なんだか解らないけれど、窓の近くに寄っていたのかと思う。また、細かいけれど「集まる」から猫が一匹ではなくて複数いることがさりげなく描かれている。その上で、「窓」ではなく「出窓」なのがいいなと思う。出窓のあの少し張り出した部分はいかにも猫が座るための場所という感じだし、そこに一列に猫が並んでいるイメージが、絵画的でもあると思う。

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