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#1 ストレングス&コンディショニングコーチとはどのような職業?

横文字が並ぶ長い名前であまり聴き慣れないかと思います。

チーム関係者や初めて会われる方などに、「ストンレングス&コンディショニングコーチ(S&Cコーチ)とは何をするコーチですか?」と言われることがあります。

スポーツとは違って一般の方からしたらあまり聴き慣れない名前なので、ストレングス&コンディショニングコーチというものについて紹介をしたいと思います。


S&Cコーチとは?

まずはS&CコーチのS&C = ストレングス&コンディショニングについて、以下はNSCAジャパンから引用です。

ストレングスとは、筋力、パワー、筋持久力のみならずスピード、バランス、コーディネーション等の筋機能が関わるすべての体力要素に不可欠な能力であり、単に力発揮の大きさを表すだけでなく、状況に応じて適切に筋活動をコントロールするための「神経-筋系全体の能力」と定義
コンディショニングとは、スポーツパフォーマンスを最大限に高めるために、筋力やパワーを向上させつつ、柔軟性、全身持久力など競技パフォーマンスに関連するすべての要素をトレーニングし、身体的な準備を整えることと定義
ストレングストレーニングは、本来コンディショニングの一部として捉えるべきものですが、NSCAが「ストレングス」と「コンディショニング」の両方を掲げているのは、NSCAがコンディショニングにおけるストレングストレーニングの役割を強調しているためです。

つまり、S&Cはアスリートが競技活動をスムーズに行うために、怪我をしにくい身体作りと競技パフォーマンスを目的にすべての体力要素を向上させるために行うトレーニングのことです。

なので、S&Cコーチはアスリートが怪我をしにくい身体作りと競技パフォーマンスを高めるためにすべての体力要素をトレーニング指導をする専門家です。

日本のスポーツ現場では、S&Cコーチと言うより「トレーナー」の方がまだ聞き慣れているかもしれません。ただ、日本のトレーナー像と言えば、身体のケアやリハビリ、トレーニング指導をする人を指しているのかなと思います。

しかし、アメリカでのスポーツ現場では基本的に大きく二つに分かれます。それが、「アスレティックトレーナー」と「ストレングス&コンディショニングコーチ:S&Cコーチ」です。

S&Cコーチは、上記で説明した通り、アスリートが怪我をしにくい身体作りと競技パフォーマンスを向上させるためにトレーニング指導する専門家です。

アスレティックトレーナーは、怪我をした選手に対して応急処置、競技復帰までのリハビリテーションプログラムを実施、疲労回復のためのケア、怪我の予防のためにテーピングの処方など行います。また、怪我した選手に対して練習や試合に参加できるかを判断を下す責任を負っています。アスレティックトレーナーの資格は、米国アスレティックトレーナー資格認定委員会公認のアスレティックトレーナー(BOC-ATC)と日本スポーツ協会公認のアスレティックトレーナー(JSPO-AT)になります。

なので、一括りに身体のケアやリハビリ、トレーニング指導をする人がトレーナーと呼ぶのではなく、身体のケアやリハビリなどをする人を「アスレティックトレーナー」、各体力要素のトレーニング指導などをする人を「S&Cコーチ」と理解していただければと思います。

仕事内容

S&Cコーチは、主にアスリートを対象に傷害予防とスポーツパフォーマンス向上を目的としてトレーニング指導する専門家と言いました。

みなさんが想像するトレーニング指導者は、筋力・パワーなどを高めるためにバーベルやダンベルを使ったウエイトトレーニング指導だけをしているイメージが強いと思われるので、仕事内容の詳細を以下にまとめました。

・トレーニング指導と監督
(ウエイト、スピード&アジリティ、エンデゥランス、フレキシビリティ、傷害予防など)
・プログラム作成と計画
・テストと評価
・リコンディショニング
・モニタリング管理(負荷管理、健康状態など)
・トレーニング施設管理と運営
・ウォーミングアップ、クールダウン指導
・栄養指導(サプリメント、エルゴジェニックなど)
・教育指導

などです。

体力要素を向上させるためにはただトレーニングで鍛えればいいわけでなく、負荷や量、タイミング、エクササイズなどの変数を操作しながら緻密に計画的にプログラム作成しています。トレーニングの効果を確認するために定期的にフィジカルテストを実施してアスリートの現状を把握し、プラグラムの有効かどうかを評価をしていきます。

また、トレーニングを行うことによりエネルギーが使われるので、筋成長をさせるためには使えわれた分のエネルギーを最適なタイミングや方法で栄養補給したり、練習やトレーニングで積み重なった疲労を取り除くためにストレッチやコンディショニングツールなどを使ってリカバリー指導をしていきます。

さらに、身体活動はトレーニングだけでなく競技練習も行うので二つの要素の量と強度の負荷(sRPE、GPS、VERTなど)を計画的にコントロールしたり、日々の選手の疲労や睡眠など健康状態を確認して練習の参加有無や負荷のコントロールなど決めていく必要もあります。

なので、体力要素を高めていくためには包括的かつ多面的なアプローチをしてアスリートが必要とされるタイミングで最高のパフォーマンスが発揮できるようにサポートしています。

資格

トレーニング関連の資格は数多くあります。資格によって色々な特徴があるのですが、S&Cコーチの代表的な資格と言えばCSCS(認定ストレングス&コンディショニングスペシャリスト)になります。

CSCSは、NSCA(全米ストレングスコンディショニング協会)というストレングストレーニングとコンディショニングに関する分野の発展を促進している国際的な教育団体から発行されている資格です。

この資格はアスリートを対象に傷害予防からスポーツパフォーマンス向上を目的とした、安全で効果的なトレーニングプログラムを計画・実行する知識と技能を有する人材を認定する証明になります。

ちなみに資格を受験するには大学の卒業資格(学士)が必要になります。

資格はあくまでスタートラインであり、S&C専門職として活動しながらも質の向上はいつも求められます。トレーニング科学は日進月歩であり発展を続けているので、S&C専門職はアスリートに安全で効率的かつ効果的なトレーニング指導を提供できるように最新の専門知識や技術を学ぶ必要があります。

まとめ

S&Cコーチは、主にアスリートを対象に傷害予防とスポーツパフォーマンス向上を目的としたトレーニングの専門家です。

あと、トレーナーではなく「コーチ」になのでお忘れのないように。

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