モトイ

創作小説と二次創作小説。Outer Wildsに魂を抜かれました。 Blueskyに同…

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創作小説と二次創作小説。Outer Wildsに魂を抜かれました。 Blueskyに同名で棲息してます。Xはほぼ閲覧専用。

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  • LAL二次創作まとめ

    ライブアライブの二次創作小説集です。ほぼ幕末編。

  • こわいはなしまとめ

    創作ホラー小説

最近の記事

【Outer Wilds二次創作】炉辺語り

■ひよっ子とHornfels■ 「なあHornfels、さっきArkoseがまた幽霊物質に石をぶつけて遊んでいたよ。注意したけど、そもそももっとちゃんとした柵で囲うべきじゃないか?」 「心配ないさ。度を越す前にEskerがアトルロックからリトル・スカウトをあの子の足元に飛ばして警告を与えてくれるから」 「そんなピンポイント高精細射撃を!? 月から!?」 「月管制局が宇宙プログラムの最拠点だった頃は “早撃ちのEsker” で鳴らしてたからな」 「月管制局の仕事とは……?」

    • OW 追加要素で遊んだ報告

      2024年6月11日のアップデート(Ver.1.1.15)で追加された要素の探索記録です。めっちゃ楽しかった……… 自分の為のまとめノートにつき、お見苦しき点はご容赦ください。でもなにか間違いがあったら教えてください(他力本願寺) ネタバレしかない記事です。一応の検索よけとしてゲームタイトルやイー………ッグといったワードを避けていますが、画像の前にワンクッションなどはなにもないので、これから自力で探す予定の方はただちにお帰りください。どうぞよい旅を…! ↓ ↓ ↓ ↓

      • 【Outer Wilds二次創作】流動閉鎖領域

         * * * *  雑音まじりのなじみの声が流れ、穏やかなまどろみの時は終わった。  キャンプの焚き火がぱちぱちと爆ぜている。降りしきる小雨の無数の粒が炎へと果敢にとびこんで、消える。  酸素、燃料、その他測定値、おおむね異常なし。 「こちらは木の炉辺管制局のHornfels。Gabbro、応答せよ」  呼びかけが繰り返される。  荷物をかついで立ち上がり、歩きながら、無線機のマイクに話しかけた。 「ハロー、管制局。こちらはGabbro。巨人の大海は今日もいい天気だよ

        • 【Outer Wilds二次創作】航跡と足跡と

           運がよかった! ホワイトホールステーション経由で戻ってきた矢先に、またしてもまたしてもブラックホールに落ちたと思ったのだけど、その途中でどうにか光のエスカレーターに合流した。  ちょうどそこでバンジョーの音が聴こえた。Riebeckのキャンプが近いとわかって、酸素とジェットパックの燃料を補給させてもらいに立ち寄ろうと思った。お返しに新しく探索できたNomai遺跡の話を聞かせたら、きっとすごく喜んでくれるだろう! 「ついに飛び立ったのか! たいしたもんだ、よくやったな。と

        【Outer Wilds二次創作】炉辺語り

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        • LAL二次創作まとめ
          6本
        • こわいはなしまとめ
          4本

        記事

          【Outer Wilds二次創作】不確定性探求者

          「さっきの打ち上げ、Gabbroかい?」  まだ振動の残る発射台のもと、ふらりとやってきたHalがたずねた。 「ああ。木の炉辺の外へのあいつの初飛行だ」  マシュマロを炙る手を休めず、Slateは答える。 「安定していて悪くない飛びっぷりだった。ここ数日は量子の木立に通って詩作にふけってたらしいが、なにか精神集中のコツでも身につけたかな」 「量子の木立? なんでまたそんな所で」  * * * *   「いい四行詩を思いついたんだ、量子の木立で」  初飛行に向けた訓練中のこと

          【Outer Wilds二次創作】不確定性探求者

          ひび割れて、埋まる (二)

           その日の夜。  僕とアキはまたビー玉をひとつずつ枕元に置いた。  なんとなく今日は寝てしまおうと思っていたのに、寝つけない。久しぶりのコーヒーのせいだろうか。  身体を布団の中に押しこめ、ほんのちょっとの隙間からビー玉を凝視する。  部屋の障子窓は開け放たれている。蚊帳の向こうに白い月。部屋の中はほんのり明るい。ビー玉の透明な輪郭が、青っぽい闇をリング状に切り取っている。  どれくらい時間が過ぎたのか。  少しだけうとうとしてきた頃、かさり、という音をたしかに聴いた。  蚊

          ひび割れて、埋まる (二)

          ひび割れて、埋まる (一)

           ひやり、と首になにかが触れた。  眼鏡が飛びそうな勢いで僕は振り返る。笑う祖父が、そこにいた。 「よう冷えとるよ。トオル、アキ、飲まん?」  両手に、ラムネの瓶を持って。  中学二年の夏休み。父さんが一週間の出張に行った。母さんは三年前に他界、父の実家は遠いため、僕は隣県にある母方の祖父の家に泊まることになった。六歳の妹のアキも一緒だ。  ガラス瓶を当てられて冷やされた首筋をなでる。シャツの襟がちょっと濡れていた。 「アキ、じいちゃんがラムネくれたよ」  庭で遊ぶアキに

          ひび割れて、埋まる (一)

          【LAL】手合わせ主従

           慶応二年、蚕起きて桑を食む、小満の初候。  大きな左手が、細筆の柄をつまもうとしては、かたん、かたんと取り落とす。  はたから見ればそれはまるで、勉学に飽きた筆子のさまであるのだが。  斜向かいに座り、声をお掛けした。 「……やはり思うように動きませぬか?」  見慣れぬ生き物を見る顔で、坂本様は、自身の左手を眺めている。    ・・・・・・・・  尾手城での密命と、その後に迷い込んだ異郷での旅。さまざまな出来事を経て現世へと戻ったのち、拙者は坂本様の行方を捜した。  合

          【LAL】手合わせ主従

          【LAL】密命の終わり

           まぶたの裏で光を感じて、目を開けた。  もとの世だ。  誰に教わるでもなく、それと知る。  そこに、尾手の城があった。    ひとの姿も、ひとならざるものの気配もない。   まだ蕾をつけていなかったはずの桜が咲き始めていた。  あの密命の夜から、ひと月というところだろうか。  異郷で過ごした日数と、おなじ。    砕けた屋根瓦、蜘蛛の巣の張った戸板。かわいた褐色の血痕。  闘争のなごりを横目に、本丸を目指す。  戦うのも、身を隠すのも不要となった。走るだけだ。  それ

          【LAL】密命の終わり

          【LAL】胡蝶の残夢、うつつの翅

          「おまんはまっこと喋らんのう」  そう要人から言われたのは、天守上階へあがる縄梯子をようやく見つけだした折。  言うまでもなく、敵地である。 「任務の妨げになりますゆえ」 「ほいたら別に喋るのがきらいという訳でもないがか」  本当に、いちいち意図の見えぬことを言う御仁だ。  覆面の中で嘆息する。とはいえ、この緊張感のかけらもない土佐弁を聞くのも慣れてきた。儀容をたもちつつ端的に答えた。 「情報を伝達する手段を、好きか嫌いかで捉えたことはありませぬ」  必要があれば喋る。必要が

          【LAL】胡蝶の残夢、うつつの翅

          【LAL】胡蝶うつりて

           やけに色の薄い童子がひとり、躑躅の茂みを見つめていた。  花はとうに落ちた時節だ。なにか面白いものでもあるのかと後ろから覗き込んで、ああ、と得心がいった。烏揚羽が一匹、梢にとまって羽を休めている。 「蝶々、好きか、坊は」  童子は、ついとこちらを見上げた。  異人の血でも入っているのだろうか、どこか青みがかった、ふしぎな目をしていた。長歩き向けの草鞋をはき、質素な着物に小さな体を包んでいる。  自分の倍ほど背丈のある大人がいきなり後ろに立って、これは怖がらせるかと思い至

          【LAL】胡蝶うつりて

          【LAL】暗夜光路

           絵に描いたような不満げな顔をされた。 「戦いは拙者に任せ、貴殿は後方に控えていただきたい」  そう伝えての、反応である。 「やみくもに動かれれば、こちらとしても手数が増えます。御身に傷を負わせる訳にはまいりませぬ」  そもそも拙者の密命は、城のあるじの討伐ではない。この要人を救出することだ。戦闘はその付随に過ぎぬ。  それを曲げて、ともに天守六階を目指すという要望に従うのだから、せめて道中の行動はこちらに従ってもらわねば。  丈高い要人は、ひとつ肩をすくめた。 「まあ、

          【LAL】暗夜光路

          三軒の白い家

          「三軒並んだ白い家の真ん中に『イラシ』が住んでいる」  ある年の七月、そんな話を聞いた。  実際は『イラシ』じゃない。もうすこし普通の、女性の名前だ。同名のかたに迷惑がかかるといけないので、元の名前とは違う表記にする。  イラシは女性で、長い黒い髪をしている。捕まると、その白い家に閉じ込められて帰してもらえなくなる。姿を見ただけでもよくないことが起こる。そういう噂が立った。  もしよければ「白い家」でネット検索してみてほしいのだが、それで出てくるような建物が「白い家」

          三軒の白い家

          【LAL】ある街角、ある肖像の話

           期待させちまってたら申し訳ないんだが、俺は正義の保安官様じゃない。恰好いい賞金稼ぎでも、ワイルドな魅力をふりまく悪役でもない。物語の主役を張るようなご身分とは縁のない、その他大勢の一般人だ。  そんな奴の昔話、といってもほんの数年前のことなんだが、まあ聞いてくれ。  俺は新聞社に勤めてる。ああ、『サン』だの『ニューヨーク・ヘラルド』だのの大手大衆紙さまを想像してくれるなよ。どこそこで金が獲れたとか、役者の誰それが興行に来るとか、事実半分、作り話半分に店の広告がついた、ロ

          【LAL】ある街角、ある肖像の話

          ステージ4-2

           兄が中学生、私が小学生の頃のことだった。 「4-2に人が閉じ込められてるんだ。見つけ出して助けてやらないといけない」  そう言って、兄は臙脂色のコントローラーを握った。  4-2は、当時流行っていたゲームのステージ名のひとつだ。  正確には、流行りのピークを過ぎてから兄が中古で買ったソフトだったと思う。  ゲームの名前は伏せておく。この話でなにか迷惑がかかるといけないので。  小学生の私は、自分でゲームを遊ぶより、兄の上手なプレイをだまって眺めるほうが好きだった。なの

          ステージ4-2