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#映画感想

10月17日 台湾のあまりにもドス黒い強姦事件 映画『無聲』が暴く闇

 今回紹介する映画は、2020年の台湾映画『無聲 The Silent Forest』。台湾の聾学校で実際に起きた凄惨な性的虐待事件をもとにした映画だ。監督はコー・チェンニエン。台湾出身の女性映画監督で、作品が日本ではあまり紹介されていないが、これまで社会派ドラマを手掛けてきたようだ。映画の制作は『無聲』が初挑戦で、この作品は台湾主催の映画賞である第57回金馬において新人監督賞とオリジナル脚本賞にノミネートされた。ここでは惜しくも賞を逃すが、最優秀新人男優賞受賞、最優秀サウン

2月13日 映画感想文でネタバレまで書く理由

 いつも映画を視聴し終えると、一般のレビューをちらっと見るのだけど、 「よくわからなかった。☆1」「何をやりたいのかわからない映画だった。☆1」  みたいな雑なレビューが一杯見かける。  そういうのを見るたびに、 「ちょっと待った! これ面白いよ! ちゃんと見ると面白い作品だよ!」  とか思ってしまう。  すると、「ああ、私がちゃんとした《解説》を書かなくちゃいけないんだな」……いや、どう考えても素人である私がそんなものを引き受ける理由はないんだけど。でも性分なんだろうな。「

1月13日 『ラ・ラ・ランド』~ミュージカル映画は難しい……。

 『ラ・ラ・ランド』を観た。実は映画の中でもっとも苦手ジャンルはミュージカル映画。それで「私にはミュージカルは難しいんじゃないかな……」と避けていたのだけど、まあ他に観る映画もなくなってきたし、大ヒット映画だから、一応観ておくか……みたいな感じで視聴。  それで、やっぱりミュージカルは私には難しくて、見終えた後もこりゃガッツリとした感想文は書けないな……。書こうと思ったら、あと3回は最低でも観なくちゃいけない。それはしんどいので、今回は簡単感想文。  ネタバレ全開です。

7月31日 月末あとがたり

 本当は今月まで続いた書籍制作が終わり、しかもそれが大したお金にもならなかった、次の創作の糧どころか生活費にすらならなかった、ということが発覚した時点で働きに出なくてはならなかったのだけど、なんとなくその後もズルズルとこうやってパソコン前でキーボードを打ち続けていて……。  書籍制作最後の追い込みで、2ヶ月ほど書くことや書いたもののチェックに忙殺している間、机の上には大量の本の山ができあがっていて、これを整理しなくちゃな……というのは理由としてあったのだけど……。  本音を言

4月14日 ジョジョアニメを見て熱が上がり、ジョジョ実写映画を見て冷めるの巻

 今さらだが『ジョジョの奇妙な冒険』アニメシリーズ第1期を視聴した。「ファントムブラッド」編と「戦闘潮流」編の26話。  テレビ放送時観なかったのは、第1期の頃は表現に試行錯誤しているな……という感じがあったから。  『ジョジョの奇妙な冒険』はかなり特殊な漫画で、そのままの方法でアニメにすることはできない。どこが「特殊」なのかというと、「時間」と「空間」の捉え方。この辺りの話を追求すると長くなるので省略するが、あの漫画をそのままアニメの映像にしようとすると、かなり奇妙な画に

3月16日 ゴジラ感想文のこぼれ話

 たぶん掲載順が逆になるんじゃないかと思うけど、気にせず、この話。  二日かけてハリウッド映画『ゴジラ キング・オブ・モンスターズ』、初代『ゴジラ』、庵野秀明監督『シン・ゴジラ』を続けて視聴したのだが……。  ここでクイズ!!  この3作品に共通していることは、ゴジラというキャラクター以外に何?  答:伊福部昭のゴジラのテーマ  初代『ゴジラ』1954年の時に作曲された曲だから、実に70年近く。時代を越えて海を越えて繰り返し引用され続けるメロディ。『キング・オブ・モンス

12月21日 ちょっとだけ映画感想文

 個人的に忙しすぎて長い感想文が書けないので、観た映画の軽めの感想を書いていきます。 1917 命をかけた伝令  Amazon Prime Videoにて視聴。  要するに監督サム・メンデスのお爺ちゃんが実際に体験したできごとを映画にしたもの。  ウィリアム・スコフィールドとトム・ブレイクは突如将軍に呼び出され、ある伝令をデヴォンシャー連隊に送ることを命じられる。それは敵陣地のまっただ中を突っ切って行く、という超絶的に危険な任務だった……。  全編ワンショットで撮影された映

10月映画感想 ジュピター

 物語は主人公の両親の馴れ初めから始まる。道端で望遠鏡を見ている男に、通りすがった女が声を掛けるのだが……なにか妙に視野が狭いというか、画角が狭いというか。空間の広がりを感じない。作りものめいた感じがする。  それからいろいろあって主人公ジュピター誕生。ジュピターはシカゴで清掃員として働いていた。ここも妙に「作り物です」という感じのわざとらしさがあって……。なんでこんなに空間の広がりを感じさせない絵になっているのだろう。  そんな主人公の日常はさておきとして、宇宙では何かしら

10月映画感想 300〈スリーハンドレッド〉 ~帝国の進撃~

 この映画に何が足りないかと言えば、筋肉。圧倒的筋肉不足の映画だ。  あの神話的な映画『300』の続編。てっきりあの後のできごとが描かれるのかと思っていたら、その前後の物語。「灼熱の門」での戦いと同じ時、別の場所で起きていた戦いが描かれる。  というその本編に入る前に、10年前の戦いから描かれ、神王ことクセルクセス王誕生の秘話……これが15分ほど。次にエヴァ・グリーン演じる影の王ことアルテミシア誕生の秘話が15分ほど描かれ、本編はそれから。  時間軸があっちこっちに行ったり

10月映画感想 ドント・ブリーズ

 アメリカで一時話題となった作品(どうやらこの映画のヒットで便乗作品がわりと作られたっぽい)。やっと見ることができた。Netflixに入ってて良かった。  大雑把な粗筋を読むと、3人組の強盗が入ったそこは、盲目の達人がいる家だった……という話。  というあらすじしか読んでなかったので、てっきり『13日の金曜日』的な軽薄な若者が出てきて盲目の殺人鬼に殺される話……と思っていたが事情はだいぶ違う。  舞台はデトロイト。かつて車産業で隆盛を極めたが、2000年代に入ってからの車産業

9月映画感想 ジャスティス・リーグ

 映画を見始めて……あら、ずいぶん色調が明るいんだな。  今までのDC映画ならもっと画面は暗かったし、ザック・スナイダー監督はもっとギラギラするような絵画的な画面作りをしていたはず。『ジャスティス・リーグ』は人物のシルエットが明確だし、カット一つ一つに厚みを感じない。物語の進行もテンポが良く、きちんとコントロールされている感じがある。  視聴を終えた後で知ったが、ザック・スナイダー監督は娘の不幸があって途中降板。ジェス・ウェドンが後を引き継いでいたという。ああ、それで……。え

9月映画感想 怪盗グルーのミニオン危機一発

 一日の作業を終えて、ふと時間に空きができた。もうずいぶん前にテレビ録画したもので、ばっちりCMカットしてから視聴。テレビ放送していたのは……Wikipediaを見ると2017年7月22日だ。ずいぶん長いこと録画しっぱなしで放置していたんだな……。  第1作目を見ていないから、経緯がよくわからない。えっと……元悪党だったグルーがどういうわけか3人の娘を持ったパパになっている。前作でなんかあったんだろうね。この辺りのエピソードは知らないから、とりあえず3人の娘を持っているシン

9月映画感想 アナベル 死霊人形の誕生

 『アナベル』は『死霊館』の第1作目よりも少し前に起きた物語を映画にした作品だ。『死霊館』1作目にも出てきた不気味な人形、アナベル人形とはなんだったのか、アナベル人形誕生の経緯が描かれている。  アナベル人形とは何なのか?  ちょうどいい感じにまとめられているサイトを見付けたので、リンクを貼っておこう。 →カラパイア:実在する呪われた人形、アナベルにまつわる本気で怖いサイドストーリー  上が実際のアナベル人形だ。映画中では不気味で、とても子供が喜びそうにないデザインだが、

9月映画感想 劇場版 零~ゼロ~

 9月2日の深夜にニコニコ生放送で映画『零』の上映がある……というのでえらく期待して視聴する。私は『零』シリーズはWiiU版のみしか知らないものの、この作品がものすごく好きで、何周もするくらいに遊んだ。「劇場版なんかあったんだ」と、それくらいの知識しかなかったのだが、ゲーム版が好きだったのでもちろん視聴。  ゲームの『零』はある種の現実感を持った世界観だし、恐怖演出も手法そのものは映画から学ばれているので、映画にするのは案外いけるんじゃないか……と見る前は考えていた。  深夜